幼児が噛みつくのはなぜ?理由に合わせた対応

保育園からの連絡帳に「お友だちを噛んでしまいました」。読んだとたん、血の気が引く思いがした方もいるでしょう。その裏には、乱暴な子になるのでは、しつけがまずいのでは、という心配があるかもしれません。まずは3つを分けてみましょう。子どもの今の力、その場面のむずかしさ、安全の心配。そして、家族が無理なく、恥ずかしさなしにくり返せる対応を1つ選びます。

ひと言でいうと

噛みつきは、場面ごとに違う役目をもっていることがあります。小さな幼児は、歯が生えかけていたり、口に強い刺激を求めていたりするのかもしれません。別の子は、友だちが近づきすぎたとき、ことばが出ないとき、興奮があふれたときに噛むのかもしれません。だから役に立つ計画は、乱暴や悪気と決めつけるのではなく、噛む直前に何があったかを見ることから始まります。

実際には

落ち着いて子どもたちを離したら、まず噛まれた子を確かめて、手当てをしましょう。どちらでもない短い線引きを1つ伝え、次に起きそうな場面では見守りを強めます。口の刺激を求めているなら合った歯がためが、友だちとのもどかしさなら、もっと広いスペース、同じおもちゃを2つ、教えておいた「たすけて」の合図が役立つことがあります。皮ふが破れるほどの噛みつきがくり返されるなら、まわりの大人と連携した計画が必要です。

はじめに見ておきたいこと

噛みつきの場面をいくつか見てみましょう。その直前の出来事、子どもの伝えかた、大人の対応、落ち着くまでにかかった時間。眠気や体調、騒がしさ、人ごみ、預け先が変わったことも関係していないか見てみます。1回の出来事やほかの子とのくらべっこより、場面をこえたパターンのほうが多くを教えてくれます。

噛んだときの4つのこと

  • そばに寄って、噛むのを止める。
  • 「噛ませないよ。噛むと痛いよ」と伝える。
  • 噛まれた人のほうを気づかう。
  • 落ち着いたら、「やめて」「ぼくの」「たすけて」、その場を離れる、といった代わりを教える。

噛まずにいられるかのテストではなく、小さな実験として。まずは、つまずきを防げそうな工夫から。友だちとの距離が近くなりやすい遊びのときは大人がそばにつき、歯がむずむずしていそうなら冷やした歯がためを用意する。必要な線引きは短く、代わりの行動の練習は落ち着いて学べるときに。

よくある質問

特定の子だけを噛むのはなぜ?

その子がきらいなのではなく、近さ、おもちゃの取り合い、興奮、予測できる関わりの場面と結びついたパターンかもしれません。

タイムアウトをしたほうがいい?

今すぐの目標は、安全と、代わりの行動を教えることです。落ち着くための短い切りかえは役立つこともありますが、長い罰で足りない力が身につくことはあまりありません。

歯が生えるときは噛みつきやすくなる?

歯が生えるころは噛みたい気持ちが強くなることがありますが、友だちを噛むことには、伝えかたや気持ちの整えかたのきっかけもありえます。

保育園や家族と、連携する

保育士さんや祖父母とも、同じように気づいてくり返せる対応を決めておきましょう。たとえば「そばに寄って噛むのを止める」と「噛ませないよ、噛むと痛いよ、と伝える」。どれだけ早くなくなるかではなく、大人が何をするかを約束します。性格は違っても、同じ伝えかたが通じて、同じ大事な線引きがあることが子どもの助けになります。

1週間で見直す

保育園の日、友だちと遊ぶ日、家ですごす日をふくむ1週間で、噛みつきの場面をふり返りましょう。書くのは、次の判断を変えそうなことだけ。きっかけ、子どもが使えた合図やことば、大人がどうしたか、安全面、立ちなおるまで。採点や細かな記録はいりません。

1週間たったら、噛みつきが起きそうな場面が前より安全に、予測しやすく、子どもが気持ちを伝えやすくなったかを考えます。効いたことを続け、誰も続けられないことは簡単にし、変化がない、発達全体が気になるときは、具体的な場面を持って専門家に相談しましょう。

安全と、子どもの尊厳

噛みつきのときは、教えるより安全が先です。そばに寄り、必要最小限の力で止め、ことばは少なく。みんなの気持ちがおさまってから、つながりなおして、安全なやりかたをいっしょに練習しましょう。やさしさと線引きは両立しますし、きっぱりした態度に、はずかしめやおどしや体罰はいりません。

つまずきやすいこと

  • 噛まずにいることを、なぐさめやつながりをもらうための合格テストにしてしまう。
  • 子どもがいっぱいいっぱいなのに、お説教を続ける。
  • 対応をいくつも同時に変えてしまう。
  • アプリで裏づけがとれるまで、相談を待ってしまう。

よい変化の見つけかた

噛みつきの前進は、まず、口が出る前にひと呼吸おく、「やめて」の合図がはっきりする、大人の手助けを受け入れる、激しさが小さくなる、立ちなおりが早くなる、といった形で現れることがあります。1〜2週間かけて向きを見て、今の子どもが使える以上のことば、がまん、自立を求めているなら、やりかたのほうを変えます。

相談したいとき

噛みつきが、けがにつながる、どこでも続く、毎日の暮らしに大きくさしつかえる、あるいは聞こえ、コミュニケーション、体の動き、人との関わりの心配や、できていたことの消失をともなうときは、小児科医、保健師、発達の専門家に相談しましょう。目の前に危険がある、急に体調が悪そう、というときは、迷わず119番などへ。

覚えておきたいこと

噛みつきへの関わりは、その子の今の力に合わせて。噛みにくい環境をつくり、使える代わりの行動を見せ、安全の線ははっきり保ち、噛みつきを子どもや親への評価にしないこと。それでも変化、毎日の暮らし、発達全体に心配が残るなら、専門家の評価が次の一歩になります。

ポイント: 噛みつきには、いちばん安全で役に立つ次の一歩を選び、くり返せる形にしましょう。

American Academy of Pediatrics, Positive discipline

CDC, Developmental Milestones