本当に回る、幼児の1日の生活リズムのつくりかた

ネットで見かける「理想の1日スケジュール」どおりにはいかず、朝から夜まで、毎日が綱渡り。生活リズムの悩みの裏には、うちの子の育ちは大丈夫か、自分の段取りが悪いのではという心配がありがちです。まずは子どもの今の力、その日の予定が子どもに求めること、安全の心配を分けて考え、家族が恥ずかしさや無理な期待なしにくり返せる工夫を1つ選びましょう。

ひと言でいうと

幼児の生活リズムとは、わかりやすい順番のことで、分刻みの時間割ではありません。起きる、食べる、外遊び、休む、寝る、といった柱があると、子どもは次に何が来るかを予想しやすくなり、それでいて通院や家庭の習慣、家族の予定が入る余地も残せます。よい生活リズムとは、まわりの大人が実際にくり返せるリズムのことです。

実際には

まずは、いちばん大変な切りかえを2つ選びましょう。毎回同じ短い合図を使い、必要な物を準備しておき、子どもに小さな仕事を1つ任せます。ことばの声かけはすぐ消えてしまうので、絵カードが役立つこともあります。1日が予定どおりにいかなくなっても、のがした時間を全部取りもどそうとせず、次の柱から戻ればいいのです。柔軟にすることは失敗ではありません。

はじめに見ておきたいこと

大変な切りかえの場面をいくつか見てみましょう。その前に何があったか、子どもがどう伝えたか、大人がどうしたか、立ちなおるまでにどれくらいかかったか。眠気、体調、音、人の多さ、預け先の変化にも目を向けます。1回の大荒れやほかの家庭とのくらべっこより、いろいろな場面に共通するパターンのほうが多くを教えてくれます。

リズムをつくる4つのこと

  • よくある切りかえには、いつも同じ短い流れを使う。
  • 遊びをやめる前に予告する。
  • 流れのなかで、限られた選択肢を出す。
  • うまくいかなかった日のあとは、罪悪感なしにリセットする。

1日の出来をはかるテストではなく、小さな実験として。たとえば朝の着がえと、保育園から帰ってからの手洗いの2つだけ、いつも同じ「くつ下、ズボン、シャツの順だよ」「ただいま、手を洗おう」の流れにします。必要な線引きは短く、新しい習慣の練習は子どもが落ち着いているときに。

よくある質問

幼児には、きっちりした時間割が必要?

そうとは限りません。予測できる順番と、だいたいの時間で、うまくいく家族はたくさんあります。

保育園の流れが家と違ったら?

子どもは、場所ごとに違う、予測できる流れを覚えることができます。

新しい流れが身につくまで、どれくらいかかる?

子どもによって違います。早く従わせることより、毎日同じであることが大切です。

預け先とも、ゆるくそろえる

祖父母やシッターさんにお願いするときも、同じように気づいてくり返せる流れを伝えておきましょう。共有したいのは、たとえば「よくある切りかえは同じ短い流れで」と「遊びをやめる前に予告する」。どれだけ早く子どもが変わるかではなく、大人が何をするかを約束します。性格がちがっても大丈夫。同じ合図が通じて、同じ大事な線引きがあることが、子どもの安心になります。

1週間で見直す

保育園の日、予定のつまった日、家でゆっくりした日をふくむ、ふつうの1週間を選びましょう。書くのは、次の判断に役立つことだけ。きっかけ、子どもが使えた伝えかた、大人のこたえかた、安全、立ちなおるまで。子どもを採点したり、細かいことを全部書いたりする必要はありません。

週の終わりに、切りかえが前より安全で、予測しやすく、子どもが気持ちを伝えやすくなったかを考えます。効いたことは続け、誰も続けられないことは簡単に。変化が見られない、発達全体が気になるときは、具体的な場面を持って専門家へ。

安全と、自分でやりたい気持ち

生活リズムを整えるあいだも、年齢に合った見守りと、ふだんの安全の線は保ち、そのうえで、できる範囲の「自分で」は認めましょう。予想できる危険は環境で防ぎ、もどかしさがあふれる前に手を貸します。恥をかかせる、無理にだきしめさせる、つながりを引っこめる、といったことは、教えかたにしないでください。

つまずきやすいこと

  • 流れを、なぐさめやつながりをもらうための合格テストにしてしまう。
  • 子どもがいっぱいいっぱいなのに、ことばを重ねる。
  • 一度にいくつもの工夫を変える。
  • アプリにお墨付きをもらうまで、心配をそのままにする。

よい変化の見つけかた

生活リズムが整ってきたしるしは、まず、動く前にひと呼吸おく、合図がはっきりする、手助けを受け入れる、ぐずりが小さくなる、立ちなおりが早くなる、といった形で現れることがあります。1〜2週間で方向を見て、今の子どもが使えるより多くのことば、がまん、自立を求めているようなら、流れのほうを変えましょう。

相談したいとき

1日の流れのなかの困りごとが、けがにつながる、どこでも続く、暮らしに大きくさしつかえる、あるいは聞こえ、コミュニケーション、体の動き、人との関わりの心配や、できていたことの消失をともなうときは、小児科医や保健師、発達の専門家に相談しましょう。今すぐ危険がある、急に具合が悪そう、というときは、119番など急ぎの窓口へ。

覚えておきたいこと

生活リズムは、その子の今の力に合わせて。環境を整え、使える流れを見せ、安全の線はゆずらず、うまくいかない日を子どもや親への評価にしないこと。変化が見えない、暮らしが回らない、発達全体が心配、というときは、専門家にみてもらうのが次の一歩です。

ポイント: 1日の流れは、いちばん安全で役に立つ次の一歩を選び、くり返せる形にしましょう。

American Academy of Pediatrics, Positive discipline

CDC, Developmental Milestones