幼児との絵本の読み聞かせが、発達を支える理由

絵本を開いたとたん、ページを勝手にめくる、途中で立ちあがって歩いていく。「ちゃんと聞いてくれない」と、読み聞かせが苦手になってしまう親もいます。その裏には、この子の育ちは大丈夫か、読みかたが悪いのでは、という心配があるかもしれません。まずは子どもの今の力、その場面が求めていること、安全の心配を分けて考え、家族が無理なくくり返せる形を1つ選びましょう。

ひと言でいうと

いっしょの読み聞かせは、全部のページを読みきることも、幼児をじっとさせておくことも必要としません。大切なのは、絵、音、考えを、いっしょに見て、注意を分かち合うことです。ページを逆にめくる、同じ本を何度も読んでとせがむ、動きまわりながら聞く。どれも、ちゃんとした参加のしかたであることがあります。

実際には

子どもに選ばせ、子どもが気づいたことにコメントし、まなざし、指さし、声が返ってくるのを待ちましょう。絵を実際の暮らしと結びつけ、ひと言の返事には、なおさずにことばを足して返します。絵本は手の届くところに置き、一日のなかで短く何度も読みます。絵本がいつももめごとになるなら、読み聞かせを決まった授業にするのではなく、流れをもっとシンプルにしましょう。

はじめに見ておきたいこと

読み聞かせの場面をいくつか見てみましょう。直前に何があったか、子どもがどう伝えたか、大人がどうこたえたか、ぐずったらどれくらいで立ちなおったか。眠気、体調、まわりの音、人の多さ、預け先の変化も見ておきます。1回の出来事やほかの子とのくらべっこより、場面をまたいで見えるパターンのほうが、ずっと多くを教えてくれます。

読み聞かせの4つのコツ

  • 絵本は手の届くところに置く。
  • 効果音や身ぶりを使う。
  • ときどきかんたんな質問をしつつ、コメントもする。
  • お気に入りは、くり返しをあやまらずに何度でも読む。

読み聞かせの出来をはかるテストではなく、小さな実験として。まずは環境から。低い棚に表紙が見えるように絵本を並べ、「ガタンゴトン」「もぐもぐ」と音をつけて読む。必要な線引きは短く、新しい楽しみかたの練習は、落ち着いて楽しめるときに。

よくある質問

幼児は、1冊まるごとじっとすわっていないといけない?

いいえ。短くて、やりとりのある読み聞かせが、発達に合っています。

同じ本を何度も読むのは役に立つ?

はい。くり返しは、なじみ、次を予想する力、ことばの学びを支えます。

朗読の音声だけで十分?

音声も楽しめますが、顔を合わせていっしょに読むと、やりとり、指さし、こたえ合う会話が加わります。

家族とも楽しみかたを共有

祖父母や保育士さんとも、同じように気づいてくり返せる楽しみかたを分かち合いましょう。たとえば「絵本は手の届くところに」と「効果音や身ぶりを使う」。子どもがどれだけ早く変わるかではなく、大人が何をするかを決めておきます。読みかたの個性はそれぞれでいいのです。子どもの伝えかたを同じように受けとめてもらえることが助けになります。

1週間ふり返る

保育園の日、忙しい日、のんびりした日をふくむ1週間で、読み聞かせの様子をふり返りましょう。メモするのは、次の判断を変えそうなことだけ。きっかけ、子どもが使えた伝えかた、大人のこたえかた、安全、立ちなおり。採点や細かな記録はいりません。

1週間後、読み聞かせが前より楽しく、予測しやすく、子どもが気持ちを伝えやすくなったかを考えます。効いたことを続け、続けにくいことはもっと簡単に。変化がない、発達全体が気になるときは、具体的な場面を持って専門家に相談しましょう。

読む楽しさを守る

読み聞かせやことばを、食べもの、なぐさめ、手助け、愛情の条件にしないでください。はっきりした身ぶりにはこたえ、人前で言わせるのはさけましょう。ことばの伸び、理解、人とのやりとりが気になるとき、なかでも話せていたことばが消えたときは、聞こえやことばの検査を頼みましょう。

つまずきやすいこと

  • 読み聞かせを、なぐさめやつながりをもらうための合格テストにする。
  • 子どもがいっぱいいっぱいなのに、ことばを足しつづける。
  • あれこれいっぺんに変える。
  • アプリにお墨付きをもらうまで、心配を口にしない。

よい変化の見つけかた

読み聞かせのなかの前進は、話すことばだけでなく、音の種類がふえる、身ぶりがふえる、同じページをいっしょに見る時間がふえる、といった形でも現れます。何週間かかけて、自分から伝える、新しく言ってみる、やりとりが続く、を見ていきましょう。方向がはっきりしない、もどかしさが強い、聞こえが心配、伝える力が一つでも消えたときは、評価をお願いしてください。

相談したいとき

ことばや関わりのことで、けがにつながる、どこでも続く、暮らしに大きくさしつかえる、聞こえ、コミュニケーション、体の動き、人との関わりの心配や、できていたことの消失をともなうときは、小児科医、保健師、発達の専門家に相談しましょう。今すぐ危険がある、急に具合が悪そう、というときは119番など急ぎの窓口へ。

覚えておきたいこと

読み聞かせは、その子の今の力に合わせて。楽しめる環境をつくり、使える言いかたを見せ、安全の線ははっきり保ち、ことばの育ちを子どもや親への評価にしないことです。伸び、暮らし、発達全体がまだ心配なら、専門家にみてもらいましょう。

ポイント: 読み聞かせは、いちばん安全で役に立つ次の一歩を選び、くり返せる形にしましょう。

American Academy of Pediatrics, Positive discipline

CDC, Developmental Milestones