遊びのなかで、幼児に「順番こ」を教える
すべり台の列に割りこむ、ゲームで自分の番が終わってもやめない。「順番ね」と言っても、なかなか伝わらないものです。その裏には、この子はがまんができないのでは、教えかたがまずいのでは、という心配があるかもしれません。まずは子どもの今の力、その場面が求めていること、安全の心配を分けて考え、家族が無理なくくり返せる遊びを1つ選びましょう。
ひと言でいうと
順番は、短く、目に見えて、予測できると、わかりやすくなります。ボールを転がし合う、積み木を1つずつのせる、歌に合わせて1つずつ動きをする。長いボードゲームを待たせるより、ずっとうまくいきます。子どもが頭の中で順番を保てるようになるまでは、大人が形をつくってあげましょう。
実際には
「わたしのばんね」「つぎは、どうぞ」のように、毎回同じことばを使い、動く人を指さします。うまくいっているうちに終わりにしましょう。待つのがむずかしいなら、次のピースを持っている、といった役目を任せます。待つ時間は少しずつのばし、待てないことを、協力したくない証拠と受けとらないでください。
はじめに見ておきたいこと
順番の場面をいくつか見てみましょう。直前に何があったか、子どもがどう伝えたか、大人がどうしたか、ぐずったらどれくらいで立ちなおったか。眠さ、体調、まわりの音、人の多さ、預け先の変化も気にとめておきましょう。1回の場面やほかの子とのくらべっこより、場面をこえたパターンのほうが多くを教えてくれます。
順番こが身につく4つの遊び
- ボールを転がし合う。
- 積み木を1つずつのせて、塔をつくる。
- 順番に、動物の鳴きまねをする。
- おもちゃにごはんをあげるまねをしながら、スプーンを渡し合う。
待てるかどうかのテストではなく、小さな実験として。まずはいちばん短い順番から。ボールをころころ転がして「はい、どうぞ」、返ってきたら「ありがとう、つぎは、わたしね」。必要な線引きは短く、新しい遊びかたの練習は、子どもが落ち着いて楽しめるときに。
よくある質問
どうしてこんなに待つのがいやなの?
待つには、衝動をおさえる力が必要で、それはまだ育っている途中だからです。はじめの順番は短く、予測できるものにしましょう。
画面の上での順番も同じ?
顔を合わせた遊びのほうが、視線、身ぶり、表情といった、人との関わりの手がかりがずっと豊かです。
順番の遊びはどれくらい続ければいい?
数分で十分なこともあります。いやになる前にやめましょう。
まわりの大人と、同じことばで
祖父母や保育士さんとも、同じように気づいてくり返せる遊びを分かち合いましょう。たとえば「ボールを転がし合う」と「積み木を1つずつのせる」。どれだけ早く待てるようになるかではなく、大人が何をするかを決めます。性格は違っても、同じ合図が通じて、同じ大事な線引きがあることが子どもの助けになります。
1週間でふり返る
保育園の日、友だちと遊ぶ日、家ですごす日をふくむ1週間で、順番の場面をふり返りましょう。書くのは、次の判断を変えそうなことだけ。何がきっかけだったか、子どもが使えた伝えかた、大人の対応、安全、どう立ちなおったか。採点や細かな記録はいりません。
1週間たったら、順番の場面が前より安全に、予測しやすく、子どもが気持ちを伝えやすくなったかを考えます。役に立ったことは残し、誰にも続けられないことはもっと簡単に。変化がない、発達全体が気がかり、というときは、具体的な場面を持って専門家へ。
安全と、遊ぶ楽しさ
順番の練習のあいだも、年齢に合った見守りと安全の線は保ち、できる範囲の自立は認めましょう。予想できる危ないことは環境で防ぎ、もどかしさが爆発する前に手を貸しましょう。恥をかかせる、無理にだきしめさせる、つながりを引っこめる、を教えかたにしないでください。
つまずきやすいこと
- 待てることを、なぐさめやつながりをもらうための合格テストにしてしまう。
- 子どもがもういっぱいいっぱいなのに、話しかけを足しつづける。
- あれこれいっぺんに変える。
- アプリにお墨付きをもらうまで、心配をそのままにする。
よい変化の見つけかた
順番こが身についてきたしるしは、まず、手を出す前にひと呼吸おく、「つぎ、ぼく」の合図がはっきりする、手助けを受け入れる、待てないときの激しさが小さくなる、立ちなおりが早くなる、といった形で現れることがあります。1〜2週間で方向を見て、今の子どもが使えるより多くのことば、がまん、自立を求めているようなら、遊びかたを変えましょう。
相談したいとき
順番をめぐる困りごとが、けがにつながる、どこでも続く、毎日の暮らしに大きくさしつかえる、あるいは聞こえ、コミュニケーション、体の動き、人との関わりの心配や、できていたことの消失をともなうときは、小児科医、保健師、発達の専門家に相談しましょう。誰かに今すぐ危険がある、子どもが急に具合が悪そうに見える、というときは、119番など急ぎの窓口へ。
覚えておきたいこと
順番こは、その子の今の力に合わせて。待ちやすい環境をつくり、使える言いかたを見せ、安全の線ははっきり保ち、育ちを子どもや親への評価にしないこと。変化や暮らしぶり、発達の全体像がまだ気になるなら、次は専門家にみてもらう番です。
ポイント: 順番こは、いちばん安全で役に立つ次の一歩を選び、くり返せる形にしましょう。