イヤイヤ期、何でも「イヤ!」と言うのはなぜ?

「お着がえしよう」「イヤ!」「ごはんだよ」「イヤ!」。朝から晩まで続く「イヤ」に、親の気力もすりへります。その裏には、この子はわがままになるのでは、自分の言いかたが悪いのでは、という心配があるかもしれません。まずは子どもの今の力、その場面が求めていること、安全の心配を分けて考え、家族が恥ずかしさや無理な期待なしにくり返せる対応を1つ選びましょう。

ひと言でいうと

「イヤ」は、自分で決めたい気持ちに気づきはじめた幼児にとって、とても便利なことばです。自分で決めたい、もう少し時間がほしい、わからなかった、あるいはこの強いことばを練習しているだけ、ということもあります。大人がすべての「イヤ」を受け入れる必要はありませんが、すべての「イヤ」を反抗と受けとると、いらない勝負がふえてしまいます。

実際には

きっぱりやりとおすのは、安全と、欠かせないお世話のときだけにしましょう。ふだんのことには、どちらでもいい選択肢を2つ出し、最初の一歩を伝え、気持ちを切りかえる数秒を待ちます。「イヤ」と言いながら、体は協力しはじめていることもあります。ことばにこだわって言い合うと、その流れを止めてしまいかねません。大人自身が、短く落ち着いたことばで、相手を尊重した断りかたを見せることもできます。

はじめに見ておきたいこと

「イヤ」が出た場面をいくつか見てみましょう。直前に何があったか、子どもがどう伝えたか、大人がどうしたか、どれくらいで切りかわったか。眠気、体調、音、人の多さ、預け先の変化にも気を配ります。1回の大荒れやほかの子とのくらべっこより、場面をこえたパターンのほうが多くを教えてくれます。

「イヤ」とつきあう4つのこと

  • 指示の前に、まずつながる。
  • どちらでもいいときは、選択肢を2つ出す。
  • 切りかえの前に、短く予告する。
  • 「言うことを聞きなさい」ではなく、協力できたことを具体的に伝える。

言うことを聞くかどうかのテストではなく、小さな実験として。まずは、つまずきを防げそうな工夫から。遊んでいる横にしゃがんで「電車、速いね」と声をかけてから「青いパジャマと黄色いパジャマ、どっちにする?」。必要な線引きは短く、新しいやりとりの練習は落ち着いているときに。

よくある質問

選択肢を出すのはやめたほうがいい?

選択肢は、どちらを選ばれても困らないときに役立ちます。多すぎると小さな子は迷ってしまいます。

どちらの選択肢にも「イヤ」と言ったら?

線引きをもう一度伝え、必要なら落ち着いて大人が選びましょう。「選んでいいよ。選ばなかったら、青いコップにするね」。

「イヤ」と言うのは発達の目安?

自分でやりたい気持ちが強くなるのは幼児期によくあることですが、「何でもイヤと言う」という決まった発達の目安があるわけではありません。

家族や保育園と、同じ対応を

パートナー、祖父母、保育士さんとも、同じ合図に気づいて、同じようにくり返せる対応を決めておきます。たとえば「指示の前にまずつながる」と「どちらでもいいときは選択肢を2つ」。どれだけ早く「イヤ」が減るかではなく、大人が何をするかを約束します。性格は違っても、同じ伝えかたが通じて、同じ大事な線引きがあることが子どもの助けになります。

1週間でふり返る

保育園の日、忙しい日、のんびりした日をふくむ1週間で、「イヤ」の場面をふり返りましょう。書くのは、次の判断を変えそうなことだけ。引き金になったこと、子どもの伝えかた、大人の対応、安全、落ち着くまでの様子。採点や細かな記録はいりません。

1週間たったら、「イヤ」の場面が前より安全に、予測しやすく、子どもが気持ちを伝えやすくなったかを考えます。続けられた工夫はそのままに、続かないものは軽くしましょう。変化が見られない、発達全体が気になる、というときは、具体例を持って専門家に。

安全と、子どもの尊厳

「イヤ」で暴れて危ないときは、教えるより安全が先です。近くに寄って、最小限の力で危ないことを止め、話すのは少しだけ。みんなの気持ちがおさまってから、つながりなおして、安全なやりかたをいっしょに練習しましょう。やさしさと線引きは両立しますし、きっぱりした態度に、はずかしめやおどしや体罰はいりません。

つまずきやすいこと

  • 「イヤ」と言わないことを、なぐさめやつながりをもらうための合格テストにしてしまう。
  • 子どもがいっぱいいっぱいなのに、説得を続ける。
  • 対応をいくつも同時に変えてしまう。
  • アプリの結果で確かめられるまで、気がかりを誰にも言わない。

よい変化の見つけかた

イヤイヤ期の前進は、まず、「イヤ」のあとにひと呼吸おく、合図がはっきりする、手助けを受け入れる、激しさが小さくなる、切りかえが早くなる、といった形で現れることがあります。方向は1〜2週間で見ましょう。今の子どもにできる以上のことばやがまんや自立を求めているようなら、工夫を変える合図です。

相談したいとき

「イヤ」をめぐる困りごとが、けがにつながる、どこでも続く、毎日の暮らしに大きくさしつかえる、あるいは聞こえ、コミュニケーション、体の動き、人との関わりの心配や、できていたことの消失をともなうときは、小児科医、保健師、発達の専門家に相談しましょう。今まさに危ない、急な体調の変化がある、というときは、すぐに119番など急ぎの窓口に連絡を。

覚えておきたいこと

イヤイヤ期への関わりは、その子の今の力に合わせて。協力しやすい環境をつくり、使える言いかたを見せ、安全の線ははっきり保ち、「イヤ」を子どもや親への評価にしないこと。変化が見えない、暮らしが回らない、発達全体が気がかり、というときは、専門家にみてもらうのが次の一歩です。

ポイント: 「イヤ」には、いちばん安全で役に立つ次の一歩を選び、くり返せる形にしましょう。

American Academy of Pediatrics, Positive discipline

CDC, Developmental Milestones