毎日の暮らしでできる、幼児のことば遊び
ことばを育てるには、知育教材や特別な時間が必要なのでは。そう思うと、忙しい毎日のなかで焦ってしまいますね。その焦りの裏には、ちゃんと育っているか、関わりが足りないのでは、という心配がひそんでいます。まずは子どもの今の力、その場面が求めていること、安全の心配を分けて考え、家族が無理なくくり返せる関わりを1つ選びましょう。
ひと言でいうと
いちばんのことば遊びは、たいていふだんの暮らしのなかにあります。意味が目に見え、プリントなしでもくり返しが起こるからです。着がえには体のことばと選ぶ場面が、料理には動きと順番が、お散歩には音や位置のことばと、いっしょに見つける発見があります。子どもが大人のことばを毎回まねしなくても、やりとりは十分に意味があります。
実際には
短くコメントして、待ち、子どもの身ぶりや声を、意味のあるひと言として返しましょう。子どもが伝えたことにひと言足し、同じ場面では同じ便利な言いかたをくり返します。つながりの多い時間をいくつか選んで、そのときはテレビをつけっぱなしにしないように。2分続く楽しいやりとりのほうが、どちらも楽しめない大がかりなレッスンより、ずっと続けやすいものです。
はじめに見ておきたいこと
ふだんの場面をいくつか見てみましょう。直前に何があったか、子どもがどう伝えたか、大人がどうこたえたか、どれくらいで落ち着いたか。眠気、体調、まわりの音、人の多さ、預け先の変化も気にとめます。1回の場面やほかの子とのくらべっこより、場所をこえたパターンのほうが多くを語ります。
暮らしのなかの4つのことば遊び
- 着がえを実況する。「くつ下、はいた。くつ、はいた」。
- お散歩では、子どもが気づいたものに名前をつける。
- 食事のときは、選ぶことばを使う。
- 遊びでは、子どもの声をまねして、ひと言足す。
できばえをはかるテストではなく、小さな実験として。いちばんやりやすい場面から始めましょう。お散歩で子どもが犬を指さしたら「わんわん、いたね」、ごはんのときは「おみそしると、ごはん、どっちから?」。必要な線引きは短く、新しいことばの練習は、落ち着いて楽しめるときに。
よくある質問
ことばを育てるのに、知育おもちゃは必要?
いいえ。身のまわりの物、絵本、歌、おしゃべりが、ことばの豊かな機会になります。
たくさん質問したほうがいい?
ある程度の質問はかまいませんが、多すぎるとテストのように感じられます。コメントと間が、伝えるすきまをつくります。
身ぶりで答えたら?
身ぶりにこたえて、そのことばを聞かせましょう。身ぶりはコミュニケーションの大切な一部です。
まわりの大人と分かち合う
祖父母や保育士さんとも、同じように気づいて、くり返せる遊びを分かち合いましょう。たとえば「着がえを実況する」と「お散歩で気づいたものに名前をつける」。子どもがどれだけ早く話すかではなく、大人が何をするかを決めておきます。関わりかたの個性はそれぞれでいいのです。子どもの伝えかたを同じように受けとめてもらえることが助けになります。
1週間ふり返る
保育園の日、忙しい日、のんびりした日をふくむ1週間で、ことばの様子をふり返ってみましょう。メモするのは、次の判断に関わることだけ。きっかけ、子どもが使えた伝えかた、大人のこたえかた、安全、落ち着くまで。採点や細かな記録はいりません。
1週間たったら、伝えるのが楽になってきたか、やりとりが予測しやすくなったかを考えます。効いたことを続け、続けにくいことはもっと簡単に。変化がない、発達全体が気がかり、というときは、具体的な場面を持って専門家に相談しましょう。
伝える気持ちを大切に
ことばを、食べもの、なぐさめ、手助け、愛情の条件にしないでください。はっきりした身ぶりにはそのままこたえ、人前でことばを言わせるのはやめましょう。ことばの伸び、理解、人とのやりとりが心配なとき、とくにできていたことができなくなったときは、聞こえやことばの検査をお願いしましょう。
つまずきやすいこと
- ことば遊びを、なぐさめやつながりをもらうための合格テストにする。
- 子どもがいっぱいいっぱいなのに、ことばを足しつづける。
- 一度にいくつも変える。
- アプリで確かめられるまで、心配を誰にも言わない。
よい変化の見つけかた
ことばの前進は、話すことばだけでなく、音の種類がふえる、身ぶりがふえる、いっしょに同じものを見る時間がふえる、といった形でも現れます。何週間かかけて、自分から伝える、新しく言ってみる、やりとりが続く、を見ていきましょう。方向がはっきりしない、もどかしさが強い、聞こえが心配、伝える力が一つでもなくなったら、評価をお願いしてください。
相談したいとき
ことばのことで、けがにつながる、どこでも続く、暮らしに大きくさしつかえる、聞こえ、コミュニケーション、体の動き、人との関わりの心配や、できていたことの消失をともなうときは、小児科医、保健師、発達の専門家へ。誰かに今すぐ危険がある、子どもが急に具合が悪そうに見える、というときは、119番など急ぎの窓口へ。
覚えておきたいこと
ことば遊びは、その子の今の力に合わせて。伝えやすい環境をつくり、使える言いかたを見せ、安全の線ははっきり保ち、ことばの育ちを子どもや親への評価にしないことです。伸び、暮らし、発達全体がまだ心配なら、専門家にみてもらいましょう。
ポイント: 毎日のことば遊びは、いちばん安全で役に立つ次の一歩を選び、くり返せる形にしましょう。