幼児が同じことばやフレーズをくり返すのはなぜ?
「おなかすいた?」と聞くと、「おなかすいた?」と返ってくる。お気に入りのアニメのせりふを、1日に何度も口にする。同じことばやフレーズのくり返しに、「どういう意味だろう」と首をかしげることもあるでしょう。出発点は、いつ、なぜくり返しているかに気づくこと。ことばの育ちは、単語の数だけでなく、理解、しぐさ、声、発音、遊び、人とのやりとりのすべてで見ていきます。大切なのは言わせることではなく、ふだんのコミュニケーションをよく知ること。そして必要なときに、迷わず評価につなげることです。
ひと言でいうと
くり返しは、音の並びを練習する、ことばを記憶にとどめる、いつもの流れに加わる、ひとかたまりで覚えたフレーズで気持ちを伝える、といった役割を果たしていることがあります。その意味は、いつ起きるか、そしてしぐさや、いろいろに変えられることば、人とのやりとりもあわせて使っているかで変わります。
実際にはどうするか
すぐに別の言いかたをさせようとするのではなく、伝えたいらしい意味にこたえましょう。くり返しが伝える方法の中心になっている、つらそう、どの場面でも決まった形のまま変わらない、理解、遊び、聞こえの心配やできていたことの後戻りがある、といったときは相談しましょう。
はじめに見ておきたいこと
くり返しの種類、どのくらい続いているか、体の力み、呼吸や声の変化、話すのを避ける様子、いらだち、家族歴、そして話しやすそうな場面を見てみましょう。「伝える力が広がらないときは、相談する」ほうが、くり返しを全部数えたり、むずかしい文を言い直させたりするより、ずっと役に立ちます。
くり返しへの関わりかた
- いつ、なぜくり返しているかに気づきましょう。
- 伝えたいらしい意味にこたえましょう。
- 求めずに、いろいろに言いかえたお手本を見せましょう。
- 伝える力が広がらないときは、相談しましょう。
「いつ、なぜくり返しているかに気づく」ことと「伝えたいらしい意味にこたえる」ことで、会話のあわただしさをやわらげましょう。ことばを先回りしたり、直したり、言い直させたりせず、最後まで聞きます。意味にこたえ、特別な支援が必要かどうかは言語聴覚士に判断してもらいましょう。
4つのステップのつながり
順番としては、「いつ、なぜくり返しているかに気づく」からはじめ、「伝えたいらしい意味にこたえる」「求めずに、いろいろに言いかえたお手本を見せる」と進み、「伝える力が広がらないときは、相談する」で締めくくります。どの段階でも、子どものこたえを受けとめ、次につながることばを1つお手本で示すだけ。上手に言わせようとしなくて大丈夫です。
家族や保育園と、そろえておくこと
祖父母や保育園の先生とは、「いつ、なぜくり返しているかに気づく」「伝えたいらしい意味にこたえる」という最初の2つを決めておきましょう。全員が同じ台詞を言う必要はありません。子どもがわかりやすい反応を受けとれることが大切です。話しことばが育つまでは、どの大人もしぐさとすべての家庭のことばを、伝える力として数えます。
しばらく続けて、ふり返る
最初のステップは、特別にうまくいった日や大変だった日の1回で判断せず、いつもの何回かの機会で試しましょう。メモするのは、状況、子どもの反応、家族への影響。観察がプレッシャーにならないよう、短くていいのです。
見直しのときは、3つめのステップではどうだったかを確かめましょう。役に立ったことは続け、続けられないことは削り、変えるのは1つずつ。健康や安全、発達に気になることがあれば、まず専門家の評価を受けることが優先です。
大人にできること、できないこと
「伝えたいらしい意味にこたえる」ことは、大人がコントロールできることです。順番に話すことや、家族の会話のペースも同じです。けれど、言い聞かせでくり返しを消すことはできません。安心させるつもりでも、「ゆっくり話して」「ちゃんと言って」と言うことが、かえってプレッシャーになることがあります。
安全と、子どもの尊厳を守る
力み、苦しそうな様子、つらさ、話すのを避ける、家族歴、保護者の心配があるときは「相談する」ことです。それまでの間も、からかわれないように守り、人前でやらせることは避け、なめらかに話せるまで手助けや注目をお預けにすることは決してしないでください。
うまくいかなくなる理由
会話より質問が増える、くり返しを求める、しぐさをわからないふりをする、行きづまっているのに待ち続ける。こうしたことで、工夫の効果は薄れます。こたえるやりとりと専門家の評価は役目が違います。どちらも、発表させる場にはしないでおきましょう。
前進のしるし
くり返しの回数だけでなく、話しやすさ、話したい気持ち、体の力み、参加の様子に目を向けましょう。くり返しがあっても、やりとりがだんだん楽になっていくことがあります。苦しそうな様子や避ける様子が強くなるときは、早めに専門家に相談しましょう。
記録は短くてかまいませんが、回数だけでなく場面と参加のしかたも書いておきましょう。あとで判断するとき、テストの結果ではなく、ふだんのやりとりを土台にできます。
専門家に相談したいとき
理解、表現、発音、なめらかさ、人とのやりとりのどこかが伸びない、聞こえが心配、いらだちが大きい、力が後戻りした。そんなときは、小児科や言語聴覚士に相談しましょう。診断や、基準に届かなかったという確証は必要ありません。評価では、子どもが使うどのことばも考えに入れてもらいましょう。
覚えておきたいこと
ゴールは、素直に言うとおりにする子や、乱れのない日課ではありません。まずは最初の一歩。つながりと安全を守りながら、長い目で変化の向きを確かめ、一般論でわからないことは、その子を見てくれる専門家に頼りましょう。
ポイント: 「いつ、なぜくり返しているかに気づく」ではじめて、続けやすい形にし、変化をふり返りましょう。
ASHA, Communication milestones