聞こえとことばの発達:保護者が気づいておきたいこと

名前を呼んでも振り向かないときがある。テレビの音を大きくしたがる。中耳炎をくり返している。聞こえのことは、ことばの発達と深くかかわっているのに、家では気づきにくいものです。出発点は、静かな場所とにぎやかな場所での反応を見ること。覚えておきたいのは、伝える力はことばの数だけでは決まらないということ。理解、しぐさ、声、発音、遊び、やりとりをまとめて見ます。上手に言わせる必要はなく、ふだんのやりとりを知り、成長や聞こえ、保護者の心配があれば相談につなげればいいのです。

ひと言でいうと

ある音には反応していても、聞こえにむずかしさがあることがあります。特に、耳の病気で聞こえが上下したり、一部の高さの音だけが聞こえにくかったりする場合です。名前や小さな声への反応、音のする方向がわかるか、ことばの伸び、中耳炎をくり返していないかに目を向けましょう。

実際にはどうするか

専門家による聞こえの検査は、家で大きな音に反応するかを確かめるのとはまったく違います。ことばや理解が遅れている、反応がまちまち、声がとても大きい、これまでよく反応していた子に変化があった、といったときは、検査を頼みましょう。

はじめに見ておきたいこと

静かな場所とにぎやかな場所で、ふつうの話し声、名前、まわりの音にどう反応するかを見てみましょう。中耳炎、鼻づまり、音量の好み、伝える力の変化もメモしておきます。「中耳炎などの耳の病気と、ことばの様子を伝える」ことは医師の助けになりますが、家で大きな音をたてておどろかせても、聞こえがふつうかどうかはわかりません。

聞こえが気になるときの手順

  • 静かな場所とにぎやかな場所で、反応を見てみましょう。
  • 大きな音で、聞こえを試さないようにしましょう。
  • 資格のある専門家による、聞こえの検査を受けましょう。
  • 中耳炎などの耳の病気と、ことばの様子を伝えましょう。

まずは「静かな場所とにぎやかな場所での反応を見る」こと、そして家で何度も試すのではなく、資格のある機関で「聞こえの検査を受ける」ことです。待っている間も、顔を合わせたやりとりと、はっきりしたことばを続けましょう。ある音に反応していても、ことばの発達に影響する聞こえのむずかしさがあることもあるからです。

4つのステップのつながり

最初は「静かな場所とにぎやかな場所での反応を見る」。次に「大きな音で聞こえを試さない」、そして「資格のある聞こえの検査を受ける」。最後に「中耳炎などの耳の病気と、ことばの様子を伝える」です。子どものこたえをそのまま受けとめ、役に立つ次の一歩をお手本として1つ見せましょう。言ってみせてと求める必要はありません。

家族や保育園と、そろえておくこと

まわりの大人とは、「静かな場所とにぎやかな場所での反応を見る」と「大きな音で聞こえを試さない」の2つを共有しておくと安心です。言いかたまでそろえなくてもかまいません。子どもにとって見覚えのあるこたえが返ってくることが大事です。ことばが育つ途中は、しぐさも、家庭のどのことばも、ちゃんと数えましょう。

しばらく続けて、ふり返る

1日だけの、いつもよりうまくいった日や大変だった日で判断せず、ふだんの何回かの場面で最初のステップを試してみましょう。どんな状況だったか、子どもがどうこたえたか、家族の暮らしにどう影響したかを、プレッシャーにならない程度に短くメモします。

ふり返りでは、3つめのステップの様子と見くらべます。安全に、わかりやすく参加できるようになったことは残し、家族の負担が大きいことは簡単にして、変化は1回に1つずつ。体調、安全、発達の心配があるときは、評価を先にしてください。

大人にできること、できないこと

大人にできるのは、まわりの音を減らす、近くで話す、伝わりやすくする、といった工夫です。けれど、ふるまいだけで、どのくらいの音が聞こえているかを判断することはできません。「資格のある聞こえの検査を受ける」ことで、家でのやりとりの工夫と、聞こえのむずかしさの種類や程度を調べる医学的な検査とを分けて考えられます。

安全と、子どもの尊厳を守る

「中耳炎などの耳の病気と、ことばの様子を伝える」ときは正確に。耳を痛がる、耳だれ、ふらつき、急に聞こえが変わった、といったときは受診しましょう。耳に物を入れたり、大きな音で試したりしないでください。伝える力ができなくなったときは、すぐに動きましょう。

うまくいかなくなる理由

よくあるつまずきは、いつのまにか質問攻めになる、言わせようとする、はっきりしたしぐさを受けとらないふりをする、伸びが止まっても様子見を続ける、の4つです。日々のやりとりも専門家の評価も、子どもにとってのテストではありません。

前進のしるし

反応しやすくなった、会話が聞きとりやすくなった、伝える力が伸び続けている、といった変化を見ましょう。ただし、調子のいい日や、ひとつの音に反応したことを、聞こえがふつうだという証拠にはしないでください。検査の結果と、その後の予定に沿って進めましょう。

メモには、何回言えたかだけでなく、どんな状況で、どう参加したかも残しておきます。後で判断するとき、うながした結果ではなく、ふだんの姿にもとづいて考えられるからです。

専門家に相談したいとき

わかる力、話す力、発音のはっきりさ、話しかたのなめらかさ、人とのやりとりが伸びていない、聞こえがはっきりしない、いらだちが強い、できていたことができなくなった、といったときは、小児科や言語聴覚士に相談しましょう。診断名や、はっきり基準に届かなかった証拠がなくても相談してかまいません。評価は、子どもが使うすべてのことばをふまえて行われるべきです。

覚えておきたいこと

完璧に従う子どもも、完璧な毎日も、目標ではありません。最初の一歩を出発点に、つながりと安全を大切にし、時間をかけた変化の方向を見て、一般的なアドバイスで答えが出ないときは、その子に合った専門家の評価を受けましょう。

ポイント: まず「静かな場所とにぎやかな場所での反応を見る」から。無理なく続けられる形にして、何が変わるかを見直しましょう。

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