3歳の子の発音は、どのくらいはっきりしていればいい?
「さかな」が「たかな」、「ひこうき」が「ちこうき」。かわいい言いまちがいも、3歳が近づくと「このままで大丈夫?」と気になりはじめますね。3歳児健診で聞かれて、はじめて意識する人もいるでしょう。まずは、家族と家族以外の人に、どのくらい伝わっているかを見てみましょう。発音は、伝える力の一部にすぎません。理解、しぐさ、声、遊び、やりとりもふくめて見ること、そして言わせるのではなく、ふだんの姿を知り、必要なときに評価につなげることが大切です。
ひと言でいうと
3歳の子の話しことばには、まだ育っている途中の音があってかまいません。それでも、よく知っている大人には、だんだん聞きとりやすく、長く、まとまったお話になっていくのがわかるはずです。大切なのは、すべての音が大人と同じかどうかではなく、どのくらいやりとりがとぎれるか、子どもが気持ちよく会話に参加できているかです。
実際にはどうするか
何度も言い直させるのではなく、正しいことばを自然にお手本として聞かせましょう。とても聞きとりにくい、いらだちが強い、口の動きや声がいつもと違うように感じる、聞こえが心配、聞きとりやすさがよくならない、といったときは、評価を受けましょう。
はじめに見ておきたいこと
記録したいのは、理解していること、話していること、やりとりがうまくいく場面といかない場面です。しぐさ、遊び、発音、話しかたのなめらかさ、家庭のどのことばか、できなくなった力。相談や検査は、細かい基準に届かないのを確かめてからではなく、専門家が判断しやすい情報を加えるためにするものです。
発音が気になるときの進めかた
- 家族と、家族以外の人に、どのくらい伝わっているかを見ましょう。
- 言い直させずに、正しいことばを自然に聞かせましょう。
- 聞きとりやすさが伸びているかを、見ていきましょう。
- 専門家にみてもらうときは、聞こえの確認もふくめましょう。
「家族と、家族以外の人に、どのくらい伝わっているかを見る」「言い直させずに、正しいことばを自然に聞かせる」を、いつもの数日の中で続けてみましょう。集まった具体的な例は、小児科や言語聴覚士に見せます。相談している間も、こたえるやりとりは続けてかまいません。ただし家での練習が、聞こえや発達の評価の代わりになるわけではありません。
4つのステップのつながり
順番としては、「家族と、家族以外の人に、どのくらい伝わっているかを見る」からはじめ、「言い直させずに、正しいことばを自然に聞かせる」「聞きとりやすさが伸びているかを見ていく」と進み、「専門家にみてもらうときは、聞こえの確認もふくめる」で締めくくります。どの段階でも、子どものこたえを受けとめ、次につながることばを1つお手本で示すだけ。上手に言わせようとしなくて大丈夫です。
家族や保育園と、そろえておくこと
祖父母や保育園の先生とは、「家族と、家族以外の人に、どのくらい伝わっているかを見る」「言い直させずに、正しいことばを自然に聞かせる」という最初の2つを決めておきましょう。全員が同じ台詞を言う必要はありません。子どもがわかりやすい反応を受けとれることが大切です。話しことばが育つまでは、どの大人もしぐさとすべての家庭のことばを、伝える力として数えます。
しばらく続けて、ふり返る
最初のステップは、特別にうまくいった日や大変だった日の1回で判断せず、いつもの何回かの機会で試しましょう。メモするのは、状況、子どもの反応、家族への影響。観察がプレッシャーにならないよう、短くていいのです。
見直しのときは、3つめのステップではどうだったかを確かめましょう。役に立ったことは続け、続けられないことは削り、変えるのは1つずつ。健康や安全、発達に気になることがあれば、まず専門家の評価を受けることが優先です。
大人にできること、できないこと
大人にできるのは、観察と、こたえることと、相談を進めること。前もって診断を決めることも、練習を重ねれば必ず追いつくと約束することもできません。発音、ことば、聞こえ、やりとりは重なることがあるから、全体を見る評価が必要なのです。
安全と、子どもの尊厳を守る
できていたことの後戻り、はっきりしない聞こえ、大きないらだち、伸びない伝える力があるときは、すぐに相談しましょう。人前での質問攻め、無理なくり返し、ことばが出るまでお預け、は避けます。様子を明らかにする間も、伝える力と子どもの尊厳を大切にします。
うまくいかなくなる理由
会話より質問が増える、くり返しを求める、しぐさをわからないふりをする、行きづまっているのに待ち続ける。こうしたことで、工夫の効果は薄れます。こたえるやりとりと専門家の評価は役目が違います。どちらも、発表させる場にはしないでおきましょう。
前進のしるし
見るべきなのは、うながして出た1回ではなく、ふだんの理解、しぐさ、声、ことば、つながり、はっきりさ、参加です。ある力の伸びは役立つ手がかりですが、それで別の力の心配が帳消しになるわけではありません。
記録は短くてかまいませんが、回数だけでなく場面と参加のしかたも書いておきましょう。あとで判断するとき、テストの結果ではなく、ふだんのやりとりを土台にできます。
専門家に相談したいとき
理解、表現、発音、なめらかさ、人とのやりとりのどこかが伸びない、聞こえが心配、いらだちが大きい、力が後戻りした。そんなときは、小児科や言語聴覚士に相談しましょう。診断や、基準に届かなかったという確証は必要ありません。評価では、子どもが使うどのことばも考えに入れてもらいましょう。
覚えておきたいこと
ゴールは、素直に言うとおりにする子や、乱れのない日課ではありません。まずは最初の一歩。つながりと安全を守りながら、長い目で変化の向きを確かめ、一般論でわからないことは、その子を見てくれる専門家に頼りましょう。
ポイント: 「家族と、家族以外の人に、どのくらい伝わっているかを見る」ではじめて、続けやすい形にし、変化をふり返りましょう。
ASHA, Communication milestones