スクリーンタイムは、ことばの発達に影響する?
夕ごはんの支度の間だけ、と見せはじめた動画。気づけば毎日の習慣になっていて、「ことばが遅いのは、このせい?」と不安になる保護者は少なくありません。考えるときの出発点は、画面が何の時間を置きかえているかに気づくこと。そして、伝える力はことばの数だけではなく、理解、しぐさ、声、発音、遊び、やりとりのすべてをふくむものだと覚えておくことです。目的は子どもに言わせることではなく、ふだんのコミュニケーションを知り、成長、聞こえ、保護者の心配から必要なときに評価につなげることです。
ひと言でいうと
ことばがいちばんまっすぐ育つのは、相手が子どもの関心についていき、子どものサインにこたえてくれるやりとりの中です。画面を見る時間は、そうしたやりとりを押しのけてしまうことがあります。また、誰もちゃんと見ていなくても、つけっぱなしのテレビや動画は、大人の話しかけの量と質を下げることがあります。
実際にはどうするか
年齢に合った番組や動画なら、いっしょに見て、出てきたものを実際の暮らしと結びつけましょう。番組がひとりでことばを教えてくれると期待しないことです。減らす必要があるなら少しずつ減らし、歌、絵本、お手伝い、顔を合わせた遊びなど、大人が続けられる日課に置きかえましょう。
はじめに見ておきたいこと
子どもが今いちばん興味をもっているもの、自然に出てくるしぐさ、声、ことば、そしてやりとりがとぎれやすい場面。この3つを見ておくと、手がかりが見えてきます。どの工夫も、絵本や歌、ごっこ遊び、生活の場面を、言わせるための練習にしないように使いましょう。
画面との付き合いかた
- 画面が何の時間を置きかえているかに気づきましょう。
- 画面を使うときは、いっしょに見て話しましょう。
- 毎日の、顔を合わせたやりとりを守りましょう。
- まず、つけっぱなしの動画やテレビを減らしましょう。
ポイントは、楽しい日課に組みこむこと。「画面が何の時間を置きかえているかに気づく」と「画面を使うときは、いっしょに見て話す」を試しながら、子どもがはっきりこたえたら間をあけて、その意味にこたえ、ことばを少し足しましょう。動きまわる、しぐさを使う、ページをめくる、まねをしない。どれも子どもなりの参加です。
4つのステップのつながり
流れはこうです。まず「画面が何の時間を置きかえているかに気づく」。それから「画面を使うときは、いっしょに見て話す」、続いて「毎日の顔を合わせたやりとりを守る」。そして「まず、つけっぱなしの動画やテレビを減らす」。子どもがどうこたえても受けとめ、役に立つ一歩をお手本で見せましょう。言わせようとしないことが大切です。
家族や保育園と、そろえておくこと
「画面が何の時間を置きかえているかに気づく」と「画面を使うときは、いっしょに見て話す」を、家族や先生との共通の一歩にしましょう。ことば選びは人それぞれでかまいませんが、子どもには毎回わかりやすいこたえが返るように。話しことばが伸びていく間は、しぐさや家で使うどのことばも、立派な伝える力として数えてください。
しばらく続けて、ふり返る
ふだんの数回の場面で、最初のステップを試してみましょう。たまたま楽だった日や大変だった日だけで決めないことが大切です。状況、子どものこたえ、家族の暮らしへの影響を、負担にならない短さで書きとめておきます。
ふり返るときは、3つめのステップと照らし合わせてみましょう。参加が安全に、はっきりしてきたことは残し、家で続かないことはシンプルにし、一度に変えるのは1つだけ。健康、安全、発達の心配があるなら、まず専門家にみてもらいましょう。
大人にできること、できないこと
大人の手の中にあるのは、やりとりの質です。関心に寄りそい、はっきりしたことばで話し、待って、こたえましょう。どの工夫もそのためのものですが、どんな遊びでも子どもに特定のことばを言わせることはできず、成長がはっきりしないときは評価が必要です。
安全と、子どもの尊厳を守る
がんばらせないことが大切です。絵本のために体をおさえる、ことばを言わないと必要なものをもらえない、確かなやりとりは画面だけ、という状態はつくらないでください。聞こえの心配、失われた力、大きないらだちがあれば、専門家にみてもらいましょう。
うまくいかなくなる理由
せっかくはじめた工夫も、話しかけるより質問ばかりになる、くり返しを求める、はっきりしたしぐさをわからないふりをする、伸びが止まっているのにいつまでも待つ、といったことでくずれてしまいます。こたえるやりとりと専門家の評価は役割が違い、どちらも発表の場にしてはいけません。
前進のしるし
数週間単位で、いっしょに見ることが増えたか、しぐさや声の種類が広がったか、自分から伝えようとすることが増えたか、会話の往復が楽になったかを見ます。楽しんで参加できているかも大事な指標です。大人のことばをそのまままねできたかは、成功の物差しではありません。
書きとめるときは、頻度だけでなく、場面と、子どもがどう参加していたかも。次の判断をするとき、言わせた1回ではなく、ふだんの伝えかたにもとづいて決められます。
専門家に相談したいとき
次のようなときは、小児科や言語聴覚士に相談しましょう。わかる力、伝える力、発音、話のなめらかさ、人とのやりとりが進まない。聞こえがはっきりしない。いらだちが強い。できていたことができなくなった。診断名や基準からの遅れがはっきりしていなくても、相談していいのです。評価は、家庭で使うすべてのことばをふまえてもらいましょう。
覚えておきたいこと
大切なのは、従順さでも完璧な日課でもなく、子どもとのつながりです。最初の一歩からはじめ、安全を守り、時間をかけて流れを見て、一般的なガイドで答えが出ないときは、その子のための専門家の評価を使いましょう。
ポイント: 最初の一歩は「画面が何の時間を置きかえているかに気づく」。家族が続けられる形に整えて、何が変わったかを見直しましょう。
ASHA, Communication milestones