上の子が赤ちゃんをたたくとき、まずすること
赤ちゃんをのぞきこんでいた上の子が、いきなりぺちん。思わず大きな声が出てしまった、という親は少なくありません。きょうだいの関係には、愛情も、いらいらも、張りあいも、仲なおりも、ときには数分のうちにぜんぶ入っています。安全を守ること、どちらの子もお世話を受けられるようにすることは大人の責任です。子どもたちには、ひとつの役にしばられず、まぜこぜの気持ちを抱えていていい自由が必要です。いちばん最初にすることは、たたく手を止められる距離にいることです。
ひと言でいうと
新生児は自分を守れないので、たたく行動はすぐに防ぐ必要があります。手の届くところにいて、その動きを止め、赤ちゃんの様子を見て、落ち着いた短い線引きをひとつ。上の子の「もうしない」の約束やごめんなさいを、安全の計画にしてはいけません。
実際には
あとで、たたく前に、まわりが混みあっていなかったか、待たされていなかったか、親の注目がなくなっていなかったかを考え、かわりに使える安全な合図や行動を教えましょう。最近はやさしく接していたとしても、上の子と赤ちゃんをふたりきりにしないでください。
はじめに見ておきたいこと
上の子が親にどれくらい関われているか、毎日の流れ、眠り、自分でできること、ことば、遊びの変化を見ておきましょう。うまくいっている瞬間にも目を向けます。落ち着いてから安全な合図を教えるときも、上の子の今の発達と、つながりを求める気持ちに合わせます。赤ちゃんをすぐかわいがることも、ありがたく思うことも、求める必要はありません。
たたいたときのプラン
- たたこうとする手を止められる距離にいる。
- まず、赤ちゃんの安全を確かめる。
- 落ち着いた、短い線引きをひとつだけ。
- 落ち着いてから、安全な合図を教える。
まずは、止められる距離にいることと、赤ちゃんの安全を先にすることから。説明は具体的に、安全の線はその場ですぐに。「たたかないよ。赤ちゃんのからだを守るよ」。ひと言で十分です。落ち着いたら、「さわりたくなったら、足をなでなでしようね」「いやなときは『ママ、来て』って言ってね」と、使える行動を教えましょう。上の子には小さな選択肢をわたし、なじみの流れを残し、親とつながれる見通しのある時間もつくります。抱っこやお手伝いを無理にさせなくても、興味は育ちます。
4つのステップのつながり
最初は、止められる距離にいること。次に、赤ちゃんの安全の確認。それから、落ち着いた短い線引き。最後に、落ち着いてからの安全な合図。弱い赤ちゃんを守るのが先で、教えたり仲なおりしたりするのは、上の子の体が落ち着いてからです。
ほかの大人とそろえておくこと
パートナーや祖父母とは、最初のふたつ、止められる距離にいることと赤ちゃんの安全を先にすることをそろえておきましょう。誰かひとりでも、上の子と赤ちゃんをふたりきりにしてしまうと、計画がくずれます。ことばまでそろえなくても、上の子が「いつものだ」とわかる対応ならじゅうぶんです。誰が赤ちゃんを守るか、落ち着いたあとにどんな現実的な仲なおりをするかも決めておきます。
ためしてみる期間
そばにいるやりかたは、たまたま何もなかった日や、何度もたたいた日ひとつで判断せず、ふつうの日を何回か重ねてためしましょう。どんな場面か、上の子がどう反応したか、家族の一日がどう回ったかを、短く書きとめます。記録のために疲れてしまっては本末転倒なので、走り書きで十分です。
ふり返りでは、落ち着いた短い線引きができた場面とくらべてみましょう。赤ちゃんが安全で、上の子にもわかりやすくなった工夫は残し、家族が続けられないことはかんたんに。変えるのは一度にひとつ。けががある、健康や発達に心配があるときは、まず専門家にみてもらいます。
大人にできることと、できないこと
赤ちゃんの安全を先にするのは、大人の仕事です。大人は見守り、注意を意識して分け、上の子の流れを守れます。でも、上の子に毎日赤ちゃんを喜べとか、いつも年相応にふるまえとは求められません。やきもちや赤ちゃん返りを気持ちの表れとして受けとめることは、たたくことを許すこととは違います。
安全と、子どもの尊厳
安全な合図を教えることも、大人の安全の計画の中で。赤ちゃんと小さな子をふたりきりにしない、たたいたり乱暴にさわったりしたらすぐに止める、そして上の子に赤ちゃんを守る役目をいつも負わせない。上の子を「乱暴な子」と呼んだり、はずかしめたりしないことも、尊厳を守ることです。
つまずきやすいこと
そばで守っていても、「乱暴なお兄ちゃん」とずっと同じ役を押しつける、赤ちゃんへのチューやすぐのごめんなさいを無理にさせる、まったく同じにすることだけを公平と呼ぶ、力の差が大きいのに子どもどうしで解決させる、といったことで、くずれてしまうことがあります。
よい変化の見つけかた
たたく前に親を呼べるようになる、気持ちの立てなおしが早くなる、「抱っこして」とまっすぐ求めてくる、少しのあいだなら親が赤ちゃんにかかりきりでも待てる、プレッシャーなしにやさしく赤ちゃんに近づく。そうした様子が前進です。愛情にむらがあってもかまいません。安全と、少しずつ育つ信頼をものさしにしましょう。
メモには、たたく前に何があったか、ふたりの力の差、大人がどう対応したか、どう落ち着いたかを。上の子を責める証拠ではなく、防げるパターンを見つけるための記録にしましょう。
もっと支えが必要なとき
赤ちゃんのけがが続く、ひどくこわがったりつらそうにしたりする、上の子がひきこもったままになる、できていたことができなくなる、眠りや毎日の暮らしが大きく乱れる、大人が安全に対応しきれない、という場合は、小児科医や地域の保健師さんに相談しましょう。家族が限界になる前に、親が心配に思うことそのものが、たずねる理由になります。
覚えておきたいこと
目標にしたいのは、聞きわけのいい子や、ほころびのない暮らしではありません。たたく手を止められる距離にいるところから始めて、つながりと安全を大切にし、時間をかけて方向を見守りましょう。一般的な助言で答えが出ないときは、その子をみてくれる専門家の力を借ります。
ポイント: まずは、たたく手を止められる距離にいることから。無理なく続く形に整え、変化を見守りましょう。
American Academy of Pediatrics, Preparing an older child for a new baby