上の子と赤ちゃん、仲よくなるのを急がずに

赤ちゃんを見せても、上の子はちらっと見ただけでおもちゃに戻ってしまう。そんな姿にがっかりする親は少なくありません。でも、きょうだいの関係には、愛情も、いらいらも、張りあいも、仲なおりも、ときには数分のうちにぜんぶ入っているものです。安全と、どちらの子もちゃんとお世話されることを守るのは大人。子どもには、決まった役を背負わされずに、まざった気持ちのままでいられる場所が必要です。いちばんの出発点は、上の子の興味が、押しつけなしに育つのを待つことです。

ひと言でいうと

きずなは、目に見える愛情ではなく、興味や、がまんや、ちょっとしたくり返しのならわしから始まることがあります。赤ちゃんに歌ってあげる、着る服を選ぶ、何かを見せてあげる、と上の子を誘ってみましょう。でも、ことわってもいいこと、お兄ちゃんお姉ちゃんの役とは関係のない、自分の好きなことももち続けていいことも大切にします。

実際には

赤ちゃんの体はしっかり守り、写真を撮るためでも、上の子の手にあまるお手伝いのためでも、ふたりきりにはしないようにしましょう。あたたかい関係は、大人に見せるための愛情のプレッシャーではなく、安全でふつうのふれあいから育っていきます。

はじめに見ておきたいこと

親とどのくらい過ごせているか、毎日の流れ、眠り、身のまわりのこと、ことば、遊びに、どんな変化があるかを見てみましょう。うまくいっている瞬間にも目を向けます。赤ちゃんとの距離を上の子に選ばせるときは、その子の今の発達と、親とつながりたい気持ちに合わせます。すぐに赤ちゃんをかわいがることも、感謝することも、求めなくていいのです。

きずなを育てるプラン

  • 押しつけずに、興味が育つのを待つ。
  • 少しのあいだ、いっしょに赤ちゃんを見る。
  • 小さな楽しい時間を、ふたりのあいだにつくる。
  • 赤ちゃんとの距離は、上の子に選ばせる。

まずは、興味が育つのを待つことと、いっしょに少し赤ちゃんを見ることから。「あ、今あくびしたね」「ちっちゃい指だね」と具体的なことばで話し、安全の線はその場ですぐに伝えます。「歌う?絵本を見せる?」のような小さな選択肢をわたし、上の子のなじみの流れをいくつか残し、親とつながれる見通しのある時間をつくりましょう。抱っこやお手伝い、来客の前での「いいお兄ちゃん」を無理にさせなくても、興味は育っていきます。

4つのステップのつながり

最初は、興味が育つのを待つこと。次に、いっしょに少し赤ちゃんを見ること。それから、ふたりのあいだの小さな楽しい時間。最後に、距離を上の子に選ばせること。危ない場面があれば、まず赤ちゃんを守り、教えたり仲なおりしたりするのは、みんなが落ち着いてからにしましょう。

ほかの大人とそろえておくこと

パートナーや祖父母、手伝いに来てくれる人とは、最初のふたつ、押しつけないことと、いっしょに少し見ることをそろえておきましょう。誰もが同じことばを使う必要はありませんが、上の子にとって見ればわかる対応にします。誰が赤ちゃんを守る係か、落ち着いたらどう仲なおりするかも、前もって大人で話しておきましょう。

ためしてみる期間

押しつけないやりかたは、たまたま上の子がやさしかった日や、そっけなかった日ひとつで判断しないで、ふつうの日を何回か重ねてためしましょう。どんな状況だったか、上の子がどう反応したか、家族の一日の回りぐあいを短くメモします。記録が新しいプレッシャーにならない程度の短さで十分です。

ふり返りでは、ふたりのあいだの小さな楽しい時間がどんなふうに生まれたかを見てみましょう。上の子が安心して関われた工夫は残し、家族が続けられないことはもっとかんたんに。変えるのは一度にひとつずつ。健康、安全、発達に心配があるときは、まず専門家にみてもらいます。

大人にできることと、できないこと

いっしょに赤ちゃんを見る時間をつくるのは、大人の仕事です。大人は見守り、注意を意識して分け、上の子の流れを守れます。でも、上の子に毎日赤ちゃんに夢中でいろとか、いつも大人びていろとは求められません。やきもちや赤ちゃん返りを、気持ちの表れとして受けとめることは、相手を傷つける行動を許すこととは違います。

安全と、子どもの尊厳

距離を選ばせるときも、大人の安全の計画の中で。赤ちゃんと小さな子をふたりきりにしない、たたいたり乱暴にさわったりしたらすぐに止める、そして上の子に赤ちゃんを守る役やお世話の係をいつも負わせない。これが土台です。

つまずきやすいこと

興味が育つのを待とうとしても、「お姉ちゃんでしょ」とずっと同じ役を押しつける、ほっぺにチューやすぐのごめんなさいを無理にさせる、まったく同じにすることだけを公平と呼ぶ、危なさや力の差があるのに子どもどうしで解決させる、といったことで、くずれてしまうことがあります。

よい変化の見つけかた

上の子が前より早く気持ちを立てなおす、「ぼくとも遊んで」とまっすぐ求めてくる、少しのあいだなら親が赤ちゃんにかかりきりでも待てる、プレッシャーなしに自分から赤ちゃんに近づく。そうした様子が前進です。愛情にむらがあってもかまいません。完璧なきょうだい写真より、安全と、少しずつ育つ信頼のほうが役に立つものさしです。

メモをとるなら、何がきっかけか、ふたりの力の差、大人がどうしたか、どう落ち着いたかを。どちらかを責める証拠ではなく、家族が使えるパターンを見つけるためのものにしましょう。

もっと支えが必要なとき

けががくり返される、ひどくこわがったりつらそうにしたりする、上の子がひきこもったままになる、できていたことができなくなる、眠りや毎日の暮らしが大きく乱れる、大人が安全に対応しきれない、という場合は、小児科医や地域の保健師さんなど専門家に相談しましょう。親が心配に思っていること自体が、家族が追いつめられる前にたずねる、じゅうぶんな理由です。

覚えておきたいこと

めざすのは、言われたとおりにする子や、完璧な家族の毎日ではありません。上の子の興味が押しつけなしに育つのを待つところから始めて、つながりと安全を大切にし、時間をかけて方向を見守りましょう。一般的な助言では、この子に何が起きているのかわからないときは、その子をみてくれる専門家の力を借ります。

ポイント: まずは、上の子の興味が押しつけなしに育つのを待つことから。無理なく続く形に整え、変化を見守りましょう。

American Academy of Pediatrics, Preparing an older child for a new baby

American Academy of Pediatrics, Positive discipline