上の子に赤ちゃんのお世話を手伝ってもらうとき

「おむつ持ってきてくれる?」と声をかけると、張りきって走っていく日もあれば、「やだ」と背中を向ける日もある。上の子のお手伝いは、日によってまったく違うものです。仲がいいと思えばけんかになり、すぐにまた笑いあう。きょうだいとは、そういうものです。安全を守り、どちらの子にもお世話が行きわたるようにするのは大人の仕事です。そして子どもには、決まった役を押しつけられずに、複雑な気持ちのままでいられる余地がいります。出発点は、お手伝いを「お願い」にして、「しなければならないこと」にしないことです。

ひと言でいうと

お手伝いがうまくいくのは、それが自由参加で、短くて、本当にできることのときです。おむつを持ってくる、赤ちゃんに歌う歌を選ぶ、そばに座っている。そうしたことが「いっしょにしている」感覚を育てます。赤ちゃんをあやしたり、見張ったりすることを上の子に期待すると、大人の責任を子どもにわたしてしまうことになります。

実際には

「いや」と言われても、「お手伝いしない子」とレッテルをはらずに受けとめましょう。お兄ちゃんお姉ちゃんであることとはまったく関係のない、その子の好きな遊びの時間も守ります。ほめるときは「タオルを持ってきてくれて助かった」と具体的にし、家族の中での居場所が、いつも赤ちゃんをかわいがっていることにかかっているように感じさせないようにします。

はじめに見ておきたいこと

上の子の様子では、親といられる時間、生活の流れ、睡眠、自分でできること、話しかた、遊びかたの変化に注目します。うまくいった瞬間にも目を向けます。がんばりに「ありがとう」を伝えるときも、その子の今の発達と、親とつながりたい気持ちに合わせます。すぐに赤ちゃんをかわいがることも、感謝することも、求める必要はありません。

お手伝いのプラン

  • お手伝いは誘うだけにして、強制しない。
  • 本当に安全な、小さな仕事をわたす。
  • はっきりした「いや」を受けとめる。
  • がんばりには感謝しても、お世話係の役はわりあてない。

まずは誘うことと、小さな安全な仕事から。「おむつ、どこにあるか知ってる?」「赤ちゃんに、どのうたを歌おうか?」と具体的に声をかけ、安全の線はその場ですぐに伝えます。小さな選択肢をわたし、上の子のなじみの流れを残し、親とつながれる見通しのある時間をつくりましょう。抱っこやお手伝い、来客の前で「えらいお姉ちゃん」を演じることを無理にさせなくても、赤ちゃんへの興味は育っていきます。

4つのステップのつながり

最初は、強制せずに誘うこと。次に、本当に安全な小さな仕事。それから、はっきりした「いや」を受けとめること。最後に、お世話係にせずにがんばりに感謝すること。危ない場面があれば、まず赤ちゃんを守り、教えたり仲なおりしたりするのは落ち着いてからにします。

ほかの大人とそろえておくこと

祖父母や手伝いに来てくれる人とは、最初のふたつ、誘うだけにすることと安全な小さな仕事をそろえておきましょう。みんなが同じことばを使う必要はありませんが、上の子が見ればわかる対応にします。赤ちゃんを守るのは誰か、落ち着いたあとにどんな現実的な仲なおりをするかも、大人どうしで決めておきます。

ためしてみる期間

誘うだけのやりかたは、上の子がはりきった日や、まったく乗らなかった日ひとつで判断せず、ふつうの日を何回か重ねてためしましょう。状況、上の子の反応、家族の毎日の回りぐあいを短くメモします。記録が新しいプレッシャーにならない程度で十分です。

ふり返りでは、上の子が「いや」と言ったときの受けとめかたとくらべてみましょう。上の子が安心して関われたことは残し、家族が続けられないことはかんたんに。変えるのは一度にひとつずつ。ただ、健康や安全、発達に気がかりがあるなら、まず専門家に相談するのが先です。

大人にできることと、できないこと

安全な仕事を選ぶのは、大人の役目です。大人にできるのは、見守ること、注意を意識してふりわけること、上の子のいつもの流れを守ることです。でも、上の子に毎日赤ちゃんを喜べとか、いつも大人びていろとは求められません。やきもちも赤ちゃん返りも、気持ちを伝えるサインとして受けとめていい。でも、それは人を傷つけていいという意味ではありません。

安全と、子どもの尊厳

感謝を伝えることも、大人の安全の計画の中で。赤ちゃんと小さな子をふたりきりにしない、たたいたり乱暴にさわったりしたらすぐに止める、そして上の子に赤ちゃんを守ったりお世話したりする役目をいつも負わせない。お手伝いはあくまでおまけで、責任ではありません。

つまずきやすいこと

お手伝いを誘いにしても、「お兄ちゃんだからやって」とずっと同じ役を押しつける、ほっぺにチューやすぐのごめんなさいを無理にさせる、まったく同じにすることだけを公平と呼ぶ、危なさや力の差があるのに子どもどうしで解決させる、といったことで、くずれてしまうことがあります。

よい変化の見つけかた

上の子が前より早く気持ちを立てなおす、「いっしょにして」とまっすぐ求めてくる、少しのあいだなら親が赤ちゃんにかかりきりでも待てる、プレッシャーなしに自分から赤ちゃんのそばに来る。そうした様子が前進です。愛情にむらがあってもかまいません。完璧なきょうだい写真より、安全と育っていく信頼のほうが役に立つものさしです。

メモをとるなら、何がきっかけか、ふたりの力の差、大人がどうしたか、どう落ち着いたかを。どちらかを責める証拠ではなく、家族が使えるパターンを見つけるためのものにしましょう。

もっと支えが必要なとき

けがが続く、ひどくこわがったりつらそうにしたりする、上の子がひきこもったままになる、できていたことができなくなる、眠りや毎日の暮らしが大きく乱れる、大人が安全に対応しきれない、という場合は、小児科医や地域の保健師さんなど専門家に相談しましょう。親が心配だということ自体が、家族が追いつめられる前にたずねる、じゅうぶんな理由です。

覚えておきたいこと

ゴールは、いつも素直な子や、いつも整った家ではありません。強制せずに誘うところから始めて、つながりと安全を大切にし、時間をかけて方向を見守りましょう。一般的な助言で答えが出ないときは、その子をみてくれる専門家の力を借ります。

ポイント: まずは、お手伝いを強制せずに誘うことから。続けられる形にして、何が変わったかをふり返りましょう。

American Academy of Pediatrics, Preparing an older child for a new baby

American Academy of Pediatrics, Positive discipline