赤ちゃんが生まれる前に、上の子にできる準備

「もうすぐお兄ちゃんになるんだよ」とおなかをさわらせても、2歳の子はきょとんとしているだけ。小さな子に、まだ見えない赤ちゃんのことを伝えるのはむずかしいものです。きょうだいの関係には、愛情も、いらいらも、張りあいも、仲なおりも、ときには数分のうちにぜんぶ入ってきます。安全と、どちらの子もちゃんとお世話されることを守るのは大人の役目で、子どもには、決まった役を背負わされずに、まざった気持ちのままでいられる場所が必要です。準備は、かんたんで具体的なことばから始めましょう。

ひと言でいうと

小さな子は、何か月も前の長い説明ではなく、目に見える変化を通して新しい赤ちゃんを理解します。かんたんなことば、絵本、本物の赤ちゃん用品を使い、赤ちゃんに何が必要になるかだけでなく、自分のお世話がどうなるのかも話してあげましょう。

実際には

できるなら、トイレトレーニングや寝る部屋の変更、入園などの大きな切りかえは、出産の前にすませるか、家族の暮らしが落ち着くまで待ちましょう。約束するのは、大人が守れることだけに。出産のあいだ誰がいっしょにいてくれるのか、ママとどうやってまた会えるのか、どのいつもの流れが変わらないのか、です。

はじめに見ておきたいこと

上の子が親にどれくらい関われているか、毎日の流れ、眠り、自分でできること、ことば、遊びの変化を見ておきましょう。うまくいっている瞬間にも目を向けます。産前から手伝いを準備するときも、上の子の今の発達と、つながりを求める気持ちに合わせます。生まれる前から赤ちゃんをかわいがることや、感謝することを求める必要はありません。

生まれる前のプラン

  • かんたんで、具体的なことばで説明する。
  • 新生児のお世話が実際にどんなものか、見せておく。
  • なじみの毎日の流れを、いくつか守る。
  • お世話を手伝ってくれる大人を、前もって手配しておく。

まずは、具体的なことばと、新生児のお世話を見せることから。「赤ちゃんはたくさん泣くよ。ママはおっぱいやミルクをあげるから、ちょっと待っててねって言うこともあるよ」。人形にオムツをあててみる、赤ちゃんのころのアルバムをいっしょに見る、母子健康手帳の上の子の記録を見せる、のもいいでしょう。小さな選択肢をわたし、なじみの流れを残し、親とつながれる見通しのある時間をつくります。抱っこやお手伝いを無理にさせなくても、興味は育っていきます。

4つのステップのつながり

最初は、かんたんで具体的な説明。次に、新生児のお世話を見せること。それから、なじみの流れを守ること。最後に、手伝ってくれる大人の手配。赤ちゃんが来てから危ない場面があれば、まず弱いほうを守り、教えたり仲なおりしたりするのは落ち着いてからにします。

ほかの大人とそろえておくこと

パートナーや、出産のあいだ上の子を見てくれる祖父母とは、最初のふたつ、具体的な説明と新生児のお世話の見せかたをそろえておきましょう。同じことばを使う必要はありませんが、上の子にとって見ればわかる対応にします。赤ちゃんが来たあと、赤ちゃんを守るのは誰か、落ち着いたあとにどんな現実的な仲なおりをするかも決めておきます。

ためしてみる期間

具体的な説明は、一度でわかってもらおうとせず、ふつうの日のいろいろな場面で何度かくり返してためしましょう。状況、上の子の反応、家族の毎日の回りぐあいを短くメモします。書くことが負担にならない、ほんの数行でかまいません。

ふり返りでは、なじみの流れがどれだけ守れているかとくらべてみましょう。上の子が安心していられた工夫は残し、家族が続けられないことはかんたんに。変えるのは一度にひとつ。健康、安全、発達に心配があるときは、まず専門家にみてもらいます。

大人にできることと、できないこと

新生児のお世話を見せて、心の準備を手伝うのは大人の仕事です。大人は、赤ちゃんが来てからも見守り、注意を意識して分け、上の子の流れを守れます。でも、上の子に毎日赤ちゃんを喜べとか、いつも大人びていろとは求められません。やきもちや赤ちゃん返りを気持ちの表れとして受けとめることは、相手を傷つける行動を許すこととは違います。

安全と、子どもの尊厳

手伝いの大人の手配も、安全の計画の一部です。赤ちゃんが来たら、赤ちゃんと小さな子だけで過ごさせない。たたく、乱暴にさわる、はすぐに止める。赤ちゃんを守ることやお世話を、上の子のいつもの役目にしない。これを最初から決めておきましょう。

つまずきやすいこと

準備をていねいにしても、「お兄ちゃんになるんだからしっかりして」とずっと同じ役を押しつける、仲よくすることやすぐのごめんなさいを無理にさせる、まったく同じにすることだけを公平と呼ぶ、危なさや力の差があるのに子どもどうしで解決させる、といったことで、くずれてしまうことがあります。

よい変化の見つけかた

赤ちゃんが来たあと、上の子が前より早く気持ちを立てなおす、「抱っこして」とまっすぐ求めてくる、少しのあいだなら親が赤ちゃんにかかりきりでも待てる、プレッシャーなしに自分から赤ちゃんに近づく。そうした様子が前進です。愛情にむらがあってもかまいません。写真映えする仲よしの場面より、安全と少しずつの信頼こそが、本当のものさしです。

メモをとるなら、何がきっかけか、ふたりの力の差、大人の対応、どう落ち着いたかを。誰が悪いかを決めるためではなく、くり返す流れに気づくためのメモです。

もっと支えが必要なとき

けがが続く、ひどくこわがったりつらそうにしたりする、上の子がひきこもったままになる、できていたことができなくなる、眠りや毎日の暮らしが大きく乱れる、大人が安全に対応しきれない、という場合は、小児科医や地域の保健師さんなど専門家に相談しましょう。親が心配だということ自体が、家族が追いつめられる前にたずねる、じゅうぶんな理由です。

覚えておきたいこと

言うことをすぐ聞く子や、いつも予定どおりの毎日をめざす必要はありません。かんたんで具体的な説明から始めて、つながりと安全を大切にし、時間をかけて方向を見守りましょう。一般論ではわからないことは、わが子をみてくれる専門家といっしょに考えればいいのです。

ポイント: まずは、かんたんで具体的なことばで伝えることから。家族が続けられるやりかたにして、しばらくしたら何が変わったか確かめましょう。

American Academy of Pediatrics, Preparing an older child for a new baby

American Academy of Pediatrics, Positive discipline