出産後のお祝いの来客、上の子を置いてけぼりにしない
「わあ、かわいい」と赤ちゃんをのぞきこむお客さん。そのうしろで、ひとりでおもちゃをいじる上の子。お祝いの訪問はうれしいものですが、上の子にとっては、自分が見えなくなる時間にもなりがちです。きょうだいの関係には、愛情も、いらいらも、張りあいも、仲なおりも、ときには数分のうちにぜんぶ入っています。安全と、どちらの子もちゃんとお世話されることを守るのは大人で、子どもには、決まった役を背負わされずに、まざった気持ちのままでいられる場所が必要です。まずは、訪問を家族が疲れない長さにとどめましょう。
ひと言でいうと
お客さんは手助けと愛情を運んできてくれますが、同時に、にぎやかさ、病気をもらう心配、そして上の子の「わすれられている」感じも増やします。お客さんが来る前に、訪問の時間帯、手洗い、赤ちゃんを抱っこすること、家族が休む必要について、線を決めておきましょう。
実際には
お客さんには、上の子にもあいさつして輪に入れてもらうようお願いしましょう。ただし、きょうだい愛を見せる場にはしません。助かるお客さんとは、食べものを持ってきてくれる、何か用事を片づけてくれる、上の子と静かに過ごしてくれる人です。生まれたばかりの赤ちゃんの親に、もてなしを期待する人ではありません。
はじめに見ておきたいこと
親とどのくらい過ごせているか、毎日の流れ、眠り、身のまわりのこと、ことば、遊びに、どんな変化があるかを見てみましょう。うまくいっている瞬間にも目を向けます。抱っこと見守りの線をお客さんに伝えるときも、上の子の今の発達と、つながりを求める気持ちを忘れずに。お客さんの前で赤ちゃんをかわいがることや、感謝することを、上の子に求めなくていいのです。
来客のときのプラン
- 訪問は、家族が疲れない長さにとどめる。
- お客さんには、上の子にもあいさつしてもらう。
- きょうだいの「見せもの」を求めない。
- 抱っこと見守りについての線を、はっきり伝える。
まずは、訪問の長さと、上の子へのあいさつから。「1時間くらいでお願いね」「来たら、まず上の子に声をかけてもらえるとうれしい」と前もって伝えておきます。説明は具体的に、安全の線はその場ですぐに。上の子には「お客さんにお茶を出す?それともお部屋で遊ぶ?」のような小さな選択肢をわたし、なじみの流れを残しましょう。抱っこやお手伝い、お客さんの前での「いいお兄ちゃん」を無理にさせなくても、赤ちゃんへの興味は育ちます。
4つのステップのつながり
最初は、訪問を短くすること。次に、上の子へのあいさつ。それから、きょうだいの見せものを求めないこと。最後に、抱っこと見守りの線を伝えること。危ない場面ではまず赤ちゃんを守り、教えたり仲なおりしたりするのは、落ち着いてからにします。
ほかの大人とそろえておくこと
パートナーとは、最初のふたつ、訪問の長さと上の子へのあいさつのお願いをそろえておきましょう。祖父母に、親せきへの連絡役をお願いするのも手です。みんながことばまでそろえなくても、上の子が「いつものだ」とわかる対応ならじゅうぶんです。赤ちゃんを守るのは誰か、落ち着いたあとにどんな現実的な仲なおりをするかも、大人どうしで決めておきます。
ためしてみる期間
訪問を短くするやりかたは、たまたま静かだった日や大にぎわいだった日ひとつで判断せず、何回かの訪問を重ねてためしましょう。状況、上の子の反応、家族の一日の回りぐあいを短くメモします。記録のために疲れてしまっては本末転倒なので、走り書きで十分です。
ふり返りでは、きょうだいの見せものを求めなかった日の上の子の様子とくらべてみましょう。上の子が安心していられた工夫は残し、家族が続けられないことはかんたんに。変えるのは一度にひとつ。体のこと、安全のこと、発達のことで気になる点があれば、工夫より先に専門家へ。
大人にできることと、できないこと
お客さんに上の子へのあいさつをお願いするのは、大人の仕事です。大人は見守り、注意を意識して分け、上の子の流れを守れます。でも、上の子に毎日赤ちゃんを喜べとか、お客さんの前でいつもお行儀よくいろとは求められません。やきもちも赤ちゃん返りも、気持ちを伝えるサインとして受けとめていい。でも、それは人を傷つけていいという意味ではありません。
安全と、子どもの尊厳
抱っこと見守りの線は、大人の安全の計画の一部です。小さなきょうだいを大人の目の届かないところでふたりにしない、手が出たらその場で止める、赤ちゃんの見張り番やお世話係を上の子に任せきりにしない。お客さんにも、抱っこの前の手洗いや、体調の悪いときは訪問を控えてもらうことをお願いしましょう。
つまずきやすいこと
訪問を短くしても、お客さんが「お兄ちゃんになったんだから」とずっと同じ役を押しつける、赤ちゃんへのチューやすぐのごめんなさいを上の子に無理にさせる、まったく同じにすることだけを公平と呼ぶ、危なさや力の差があるのに子どもどうしで解決させる、といったことで、くずれてしまうことがあります。
よい変化の見つけかた
お客さんが帰ったあと、上の子が前より早く気持ちを立てなおす、「ぼくも見て」とまっすぐ求めてくる、少しのあいだなら大人が赤ちゃんにかかりきりでも待てる、プレッシャーなしに自分から赤ちゃんに近づく。そうした様子が前進です。愛情にむらがあってもかまいません。完璧なきょうだい写真より、安全と育っていく信頼のほうが役に立つものさしです。
書くことは4つ。きっかけ、ふたりの力関係、大人のしたこと、落ち着くまでの流れです。責める材料ではなく、次に生かせるパターン探しの道具として使いましょう。
もっと支えが必要なとき
けがをくり返す、強いおびえやつらさがある、上の子がずっとふさぎこんでいる、できていたことを失った、眠りや暮らしが大きくくずれている、大人だけでは安全を守りきれない。そんなときは、小児科医や地域の保健師さんなど専門家に相談しましょう。「気になる」という親の感覚だけで、相談するにはじゅうぶんです。限界まで待つ必要はありません。
覚えておきたいこと
めざすのは、言うことを完璧に聞く子や、完璧な家の毎日ではありません。訪問を家族が疲れない長さにとどめるところから始めて、つながりと安全を大切にし、時間をかけて方向を見守りましょう。一般的な助言で答えが出ないときは、その子をみてくれる専門家の力を借ります。
ポイント: まずは、お客さんの訪問を家族が疲れない長さにとどめることから。続けやすい形にしたら、あとは変化をふり返るだけです。
American Academy of Pediatrics, Preparing an older child for a new baby