下の子が生まれて上の子が赤ちゃん返り、どう向き合う?

赤ちゃんの哺乳びんをほしがる。赤ちゃんみたいな話しかたになる。トイレに行けていたのに、またおもらしが増える。下の子が生まれたあとの上の子の赤ちゃん返りに、とまどう親はたくさんいます。きょうだいのあいだには、好きも、いらいらも、競争も、仲なおりも、数分のうちに次々とやってきます。大人が受けもつのは、安全と、どちらの子にも目が届くこと。子どもに必要なのは、「しっかり者」「やんちゃ」といった役を背負わずに、いろいろな気持ちをもっていていい場所です。まずは、その行動の下にある気持ちに、落ち着いてこたえましょう。

ひと言でいうと

赤ちゃんが来たあと、上の子が哺乳びんをほしがる、赤ちゃんことばを使う、トイレの失敗が増える、手伝いをたくさん求める、ということがあります。それはたいてい「ぼくのお世話も、まだしてもらえる?」という問いかけです。その行動をはずかしめたり、しっかりしなさいと求めたりすると、不安がかえって強まることがあります。

実際には

安全や健康のための決まった流れはそのままに、短い赤ちゃんごっこのようなお世話あそびにつきあいましょう。そのうえで、年齢に合った「自分でできた」にも気づいて声をかけます。ただし、愛情がそれしだいだと感じさせないように。できていたことがずっと戻らない、いたみがある、ひきこもる、という場合は、発達や体のことも含めて、もっと広く相談する価値があります。

はじめに見ておきたいこと

上の子の様子では、親といられる時間、生活の流れ、睡眠、自分でできること、話しかた、遊びかたの変化に注目します。うまくいっている瞬間にも目を向けます。少しずつ元に戻っていくかを見守るときも、上の子の今の発達と、つながりを求める気持ちに合わせます。すぐに赤ちゃんをかわいがることも、感謝することも、求めなくていいのです。

赤ちゃん返りへのプラン

  • 行動の下にある気持ちに、落ち着いてこたえる。
  • 赤ちゃん返りをはずかしめずに、近さを差しだす。
  • 年齢に合った「自分でできる」機会も残しておく。
  • 少しずつ元に戻っていくかを見守る。

まずは、落ち着いてこたえることと、はずかしめずに寄りそうことから。「赤ちゃんみたいに抱っこしてほしいんだね。ちょっとだけ、赤ちゃんごっこしようか」。説明は具体的に、安全の線はその場ですぐに。「靴、自分ではく?手伝う?」のような小さな選択肢をわたし、なじみの流れを残し、親とつながれる見通しのある時間をつくりましょう。抱っこやお手伝い、来客の前での「お兄ちゃんらしさ」を無理にさせなくても、赤ちゃんへの興味は育っていきます。

4つのステップのつながり

最初は、気持ちに落ち着いてこたえること。次に、はずかしめずに近さを差しだすこと。それから、年齢に合った機会を残しておくこと。最後に、少しずつ元に戻っていくかを見守ること。危ない場面があればまず弱いほうを守り、教えたり仲なおりしたりするのは、体が落ち着いてからです。

ほかの大人とそろえておくこと

パートナーや祖父母、保育園の先生とは、最初のふたつ、落ち着いてこたえることとはずかしめないことをそろえておきましょう。「赤ちゃんじゃないでしょ」と言う大人がひとりでもいると、子どもは混乱します。同じことばである必要はありませんが、上の子にとって見ればわかる対応にします。赤ちゃんを守る担当と、落ち着いてからの仲なおりのしかたも、決めておくと安心です。

ためしてみる期間

落ち着いてこたえるやりかたは、とくに赤ちゃん返りがひどかった日や、まったくなかった日ひとつで判断せず、ふつうの日を何回か重ねてためしましょう。どんな場面か、上の子がどう反応したか、家族の一日がどう回ったかを、短く書きとめます。記録が新しいプレッシャーにならない程度の短さで十分です。

ふり返りでは、年齢に合った機会をどれだけ残せていたかとくらべてみましょう。上の子が安心していられた工夫は残し、家族が続けられないことはかんたんに。変えるのは一度にひとつ。ただ、健康や安全、発達に気がかりがあるなら、まず専門家に相談するのが先です。

大人にできることと、できないこと

はずかしめずに近さを差しだすのは、大人の仕事です。大人にできるのは、見守ること、注意を意識してふりわけること、上の子のいつもの流れを守ることです。でも、上の子に毎日赤ちゃんを喜べとか、いつも年相応にしっかりしていろとは求められません。やきもちや赤ちゃん返りをメッセージとして受けとることと、乱暴を見のがすことは、まったく別のことです。

安全と、子どもの尊厳

元に戻るのを見守るあいだも、大人の安全の計画の中で。赤ちゃんと小さな子をふたりきりにしない、たたいたり乱暴にさわったりしたらすぐに止める、そして上の子に赤ちゃんを守ったりお世話したりする役目をいつも負わせない。おもらしをしても、叱ったりはずかしめたりせず、さらりと片づけましょう。

つまずきやすいこと

落ち着いてこたえようとしても、「お兄ちゃんでしょ」とずっと同じ役を押しつける、赤ちゃんへのチューやすぐのごめんなさいを無理にさせる、まったく同じにすることだけを公平と呼ぶ、危なさや力の差があるのに子どもどうしで解決させる、といったことで、くずれてしまうことがあります。

よい変化の見つけかた

上の子が前より早く気持ちを立てなおす、赤ちゃんのまねではなくことばで「抱っこして」と求めてくる、少しのあいだなら親が赤ちゃんにかかりきりでも待てる、プレッシャーなしに自分から赤ちゃんに近づく。そうした様子が前進です。愛情にむらがあってもかまいません。写真映えする仲よしの場面より、安全と少しずつの信頼こそが、本当のものさしです。

メモをとるなら、何がきっかけか、ふたりの力の差、大人の対応、どう落ち着いたかを。どちらかを責める証拠ではなく、家族が使えるパターンを見つけるための記録にしましょう。

もっと支えが必要なとき

けがが続く、ひどくこわがったりつらそうにしたりする、上の子がひきこもったままになる、できていたことができなくなったまま戻らない、眠りや毎日の暮らしが大きく乱れる、大人が安全に対応しきれない、という場合は、小児科医や地域の保健師さんなど専門家に相談しましょう。親が心配だということ自体が、家族が追いつめられる前にたずねる、じゅうぶんな理由です。

覚えておきたいこと

完璧に言うことを聞く子も、一度もくずれない毎日も、目標ではありません。行動の下にある気持ちに落ち着いてこたえるところから始めて、つながりと安全を大切にし、時間をかけて方向を見守りましょう。どんな記事にも答えられないことは、その子を直接みてくれる専門家にたずねましょう。

ポイント: まずは、赤ちゃん返りの下にある気持ちに、落ち着いてこたえることから。できる形で続けてみて、そのあとで変わったことを見直しましょう。

American Academy of Pediatrics, Preparing an older child for a new baby

American Academy of Pediatrics, Positive discipline