きょうだいげんかのあと、本当の仲なおりを教える
泣いている妹と、ふくれっつらの兄。「ほら、ごめんなさいは?」と言わせても、口先だけの「ごめん」で終わってしまう。そんな場面に心あたりのある親は多いでしょう。きょうだいの関係は、愛情と、いらだちと、張りあいと、仲なおりが、めまぐるしく入れかわるものです。大人が受けもつのは、安全と、どちらの子にも目が届くこと。子どもに必要なのは、「しっかり者」「やんちゃ」といった役を背負わずに、いろいろな気持ちをもっていていい場所です。仲なおりは、ふたりとも落ち着くまで待つところから始めましょう。
ひと言でいうと
仲なおりは、命令されて「ごめんなさい」を言うことだけではありません。相手が大丈夫か見に行く、取った物を返す、こわしたものをいっしょに作りなおす、少し距離をあげる、次はもっと安全に遊びに戻る方法を考える。仲なおりの行動は、起きたことの重さと、その子の発達に合ったものにしましょう。
実際には
体が落ち着いて、参加できる状態になるまで待ち、ゆるすことを強制しないようにしましょう。大人自身が仲なおりのお手本を見せ、ふたりのしてほしいことを認めながらも、安全の線は消さないようにします。
はじめに見ておきたいこと
きっかけ、誰の物か、眠さ、場所のせまさ、大人の注目、ふたりの力の差、それぞれの子がその場を離れられるかを見て、大人が入ったあとどうなったかを書きとめましょう。からっぽのごめんなさいを強制しないときも、気持ちがいっぱいの最中にむずかしい解決を求めるのではなく、子どもが実際に使える力に合わせます。
仲なおりのプラン
- ふたりとも落ち着くまで待つ。
- 何が起きたか、具体的な影響をことばにする。
- 現実的な仲なおりの選択肢を差しだす。
- からっぽのごめんなさいを強制しない。
まずは、落ち着くのを待つことと、具体的な影響をことばにすることから。「積み木のお城がこわれて、妹は悲しかったんだね」。その場では、けがを止めて線をはっきりさせ、裁判のような取り調べはしません。落ち着いたら、「いっしょに作りなおす?それとも、妹の好きな絵本を持ってきてあげる?」と、できそうな仲なおりを選ばせます。いつも同じ状況でけんかになるなら、その状況のほうを変えましょう。
4つのステップのつながり
最初は、ふたりが落ち着くのを待つこと。次に、具体的な影響をことばにすること。それから、現実的な仲なおりの選択肢を差しだすこと。最後に、からっぽのごめんなさいを強制しないこと。けがや危なさがあれば、弱いほうを守るのが先です。
ほかの大人とそろえておくこと
パートナーや祖父母とは、最初のふたつ、落ち着くのを待つことと、影響をことばにすることをそろえておきましょう。ある大人はすぐに「あやまりなさい」と言い、別の大人は待つ、では子どもが混乱します。同じことばでなくても、見ればわかる対応にします。弱いほうの子を誰が守るか、落ち着いたあとにどんな現実的な仲なおりをするかも決めておきます。
ためしてみる期間
落ち着くのを待つやりかたは、すんなりいった日やこじれた日ひとつで判断せず、何回かのけんかを重ねてためしましょう。状況、子どもの反応、家族の毎日の回りぐあいを短くメモします。観察が新しいプレッシャーにならない程度の短さで十分です。
ふり返りでは、現実的な仲なおりの選択肢を差しだせた場面とくらべてみましょう。安全で、わかりやすくなったことは残し、家族が続けられないことはかんたんに。変えるのは一度にひとつ。健康、安全、発達に心配があるときは、まず専門家にみてもらいます。
大人の役目と、その限界
何が起きたかをことばにするのは、見守りや安全の線とあわせて、大人の役目です。大人は、きょうだいにゆるしあえとか、仲よく感じろとは求められません。でも、力の差を「おあいこのけんか」とまちがえないようにし、仲なおりの力が育つにつれて、少しずつ子どもたちに任せていくことはできます。
安全を先に
からっぽのごめんなさいを強制しない、というのは、体の安全が戻ってからの話です。たたく、首をしめる、危ない物を使う、こわがっている、逃げられない子がいる、というときはすぐに入りましょう。ごめんなさいが言えたからといって、もう見守らなくていい証拠にはなりません。
落とし穴
待つことを大事にしても、「いつもお兄ちゃんがあやまる係」とずっと同じ役を押しつける、仲なおりのハグや、すぐのごめんなさいを無理にさせる、まったく同じにすることを唯一の公平とする、危なさや力の差が残っているのに子どもに解決させる。こうしたことで、仲なおりは形だけのものになってしまいます。
前進のしるし
「たすけて」と大人を呼べる、手が出る前にひと呼吸おける、離れることを受け入れる、順番を待てる、大人に言われなくても自分から仲なおりの行動ができる。そんな姿が前進です。いつも仲よしでいることより、安全なけんかと早い立ちなおりのほうが大切です。けがやこわがることがくり返されるときは、専門家に相談しましょう。
けんかのメモは、何がきっかけで、どちらが強い立場で、大人がどうして、どう落ち着いたかを短く。どちらが悪いかを決めるためではなく、くり返すパターンに気づくためのものです。
相談したいとき
けががくり返される、こわがったりひどく取りみだしたりする、毎日の暮らしが大きく乱れている、家でも園でも同じパターンが続く、大人が安全を保てない、という場合は、小児科医や地域の保健師さん、子育ての相談窓口に相談しましょう。今まさに危険があるときは、すぐに地域の救急の窓口へ。早めに相談しても、どちらかの子に一生の診断名がつくわけではありません。
覚えておきたいこと
ゴールは、いつも素直な子や、いつも整った家ではありません。ふたりが落ち着くまで待つところから始めて、つながりと安全を大切にし、時間をかけて方向を見守りましょう。一般的な助言で答えが出ないときは、その子をみてくれる専門家に相談します。
ポイント: まずは、ふたりとも落ち着くまで待つことから。続けられる形にして、何が変わったかをふり返りましょう。
American Academy of Pediatrics, Preparing an older child for a new baby