小さなきょうだいの張りあい、どう受けとめる?
「ぼくが先にお風呂!」「わたしのほうがたくさん食べた!」。小さなきょうだいは、何でも競争にしてしまいます。きょうだいのあいだには、好きも、いらいらも、競争も、仲なおりも、数分のうちに次々とやってきます。安全と、どちらの子もちゃんとお世話されることを守るのは大人で、子どもには、ずっと同じ役を背負わされずに、まざった気持ちのままでいられる場所が必要です。まずは、家族の中で決まった役をわりあてないことから始めましょう。
ひと言でいうと
相手の立場で考える力や、話し合う力がまだ育っている途中の小さな子にとって、大人の注目、物、主導権をめぐる競争はよくあることです。めざすのは、けんかのない家ではなく、より安全な言いあいと、小さな問題を少しずつ自分たちで解けるようになることです。
実際には
取りあいになるとわかっている物の足りなさを減らし、決めつけたレッテルを避け、それぞれの子とふたりの時間をもちましょう。危ない行動には早めに入ります。小さなもめごとなら、ふたりのしてほしいことをことばにして、裁判のような取り調べをせずに、次の一歩をひとつだけ手伝います。
はじめに見ておきたいこと
きっかけ、誰の物か、眠さ、場所のせまさ、大人の注目、ふたりの力の差、それぞれの子がその場を離れられるかを見て、大人が入ったあとどうなったかを書きとめましょう。仲よさではなく立ちなおりで前進を見るときも、気持ちがいっぱいの最中にむずかしい解決を求めるのではなく、子どもが実際に使える力に合わせます。
張りあいへのプラン
- 家族の中で、決まった役をわりあてない。
- 取りあいになるとわかっている物の、足りなさを減らす。
- 今してほしいことを、ことばで言えるよう手伝う。
- 前進は、仲よさではなく、立ちなおりで見る。
まずは、決まった役をつけないことと、取りあいの種を減らすことから。「いつも赤いコップの取りあいになるなら、赤いコップをふたつ」「玄関のドアを開ける係は、曜日で交代」。もめたときは、けがを止めて、その場の線をはっきりさせ、落ち着いたら、たのみかた、順番、離れること、仲なおりのうち、場面に合うものを教えます。いつも同じ状況でもめるなら、その状況のほうを変えましょう。
4つのステップのつながり
最初は、決まった役をつけないこと。次に、取りあいの種を減らすこと。それから、今してほしいことを言えるよう手伝うこと。最後に、仲よさではなく立ちなおりで前進を見ること。危ない場面では弱いほうを先に守り、教えたり仲なおりしたりするのは、体が落ち着いてからです。
ほかの大人とそろえておくこと
祖父母や保育園の先生とは、最初のふたつ、役をつけないことと取りあいの種を減らすことをそろえておきましょう。「お姉ちゃんはしっかり者」「弟はやんちゃ」といった呼びかたが家の外で使われていないかも気にかけます。同じことばでなくても、見ればわかる対応にします。小さいほうの子を誰が守るか、落ち着いたあとにどんな現実的な仲なおりをするかも決めておきます。
ためしてみる期間
役をつけないやりかたは、とくに平和だった日や大もめの日ひとつで判断せず、ふつうの日を何回か重ねてためしましょう。どんな場面だったか、子どもがどうしたか、家の一日がどう回ったかを、ひと言ずつ書いておきます。観察が新しいプレッシャーにならない程度の短さで十分です。
ふり返りでは、子どもが今してほしいことを言えた場面とくらべてみましょう。安全で、わかりやすくなったことは残し、家族が続けられないことはかんたんに。変えるのは一度にひとつ。ただ、健康や安全、発達に気がかりがあるなら、まず専門家に相談するのが先です。
大人の役目と、その限界
取りあいの種を減らすことは、見守りや、足りない物の扱い、安全の線とあわせて、大人の役目です。大人は、きょうだいに意見を合わせろとか、仲よく感じろとは求められません。でも、力の差を「おあいこのけんか」とまちがえないようにし、力が育つにつれて少しずつ子どもに任せていくことはできます。
安全を先に
立ちなおりを見守るのは、体の安全が戻ってから。たたく、首をしめる、危ない物を使う、こわがっている、逃げられない子がいる、というときはすぐに入りましょう。無理にさせたごめんなさいを、もう見守らなくていい証拠にはしないでください。
落とし穴
役をつけないつもりでも、ふとした場面で「お兄ちゃんだから」と同じ役を押しつける、仲なおりのハグやすぐのごめんなさいを無理にさせる、まったく同じにすることを唯一の公平とする、危なさや力の差があるのに子どもに解決させる。そうしたことで、張りあいはかえって強まってしまいます。
前進のしるし
「たすけて」と大人を呼べる、取る前にひと呼吸おける、離れることを受け入れる、順番を待てる、大人の手をあまり借りずに仲なおりできる。そんな姿が前進です。いつも仲よしでいることより、安全なけんかと早い立ちなおりのほうが大切です。けがやこわがることがくり返されるときは、専門家に相談しましょう。
もめごとのメモは、何がきっかけで、どちらが強い立場で、大人がどうして、どう落ち着いたかを短く。どちらが悪いかを決めるためではなく、くり返すパターンに気づくためのものです。
相談したいとき
けががくり返される、こわがったりひどく取りみだしたりする、毎日の暮らしが大きく乱れている、家でも園でも同じパターンが続く、大人が安全を保てない、という場合は、小児科医や地域の保健師さん、子育ての相談窓口に相談しましょう。今この瞬間に危険があるなら、迷わず119番など急ぎの窓口へ。早めにたずねたからといって、どちらかの子にずっと消えないレッテルがはられるわけではありません。
覚えておきたいこと
めざすのは、言うことを完璧に聞く子や、完璧な家の毎日ではありません。家族の中で決まった役をつけないところから始めて、つながりと安全を大切にし、時間をかけて方向を見守りましょう。一般的な助言で答えが出ないときは、その子をみてくれる専門家に相談します。
ポイント: まずは、家族の中で決まった役をわりあてないことから。続けやすい形にしたら、あとは変化をふり返るだけです。
American Academy of Pediatrics, Preparing an older child for a new baby