きょうだいに「貸してあげなさい」と言うべき?

「お兄ちゃんなんだから、貸してあげなさい」。言ったあとで、もやもやしたことはありませんか。きょうだいの関係は、愛情と、いらだちと、張りあいと、仲なおりが、めまぐるしく入れかわるものです。安全と、どちらの子もちゃんとお世話されることを守るのは大人で、子どもには、決まった役を背負わされずに、まざった気持ちのままでいられる場所が必要です。まずは、自分だけの持ち物と、みんなのおもちゃを分けるところから始めましょう。

ひと言でいうと

無理に手ばなさせると、貸してあげたように見えても、ゆずる心や、持ち主であること、待つことについては、ほとんど何も教えられません。子どもには、守られた自分だけの持ち物と、はっきりした順番のルールのある家族の物の、両方が必要です。

実際には

親がゆずるお手本を見せ、命令するのではなくたずね、待っている子がほかの遊びを見つけたり、順番がいつ終わるかわかったりするよう手伝いましょう。共有の物を安全に使うことは大人が求めてかまいませんが、すべての持ち物をいつでも差しだすよう求める必要はありません。

はじめに見ておきたいこと

きっかけ、誰の物か、眠さ、場所のせまさ、大人の注目、ふたりの力の差、それぞれの子がその場を離れられるかを見て、大人が入ったあとにどうなったかを書きとめましょう。ゆずる姿を見せるときも、気持ちがいっぱいいっぱいの最中にむずかしい解決を求めるのではなく、子どもが実際に使える力に合わせます。

貸し借りのプラン

  • 自分だけの持ち物と、みんなのおもちゃを分ける。
  • 特別な物をいくつか、守ってあげる。
  • みんなの物は、順番で使う。
  • 押しつけずに、ゆずる姿を見せる。

まずは、自分の物とみんなの物を分けることと、特別な物を守ることから。誕生日にもらったぬいぐるみは本人の棚へ、積み木やボールはみんなの箱へ。もめたときは、裁判のような取り調べはせず、けがを止めて、その場の線をはっきりさせます。落ち着いたら、たのみかた、順番、離れること、仲なおりのうち、その場面に合うものを教えましょう。いつも同じ時間や場所でもめるなら、そうなりやすい状況のほうを変えます。

4つのステップのつながり

最初は、自分の物とみんなの物を分けること。次に、特別な物を守ること。それから、みんなの物は順番で使うこと。最後に、押しつけずにゆずる姿を見せること。危ないことが起きたら先に弱いほうを守り、教えたり仲なおりしたりするのは、体が落ち着いてからです。

ほかの大人とそろえておくこと

祖父母や、遊びに来る親せきとも、最初のふたつ、自分の物とみんなの物の区別と特別な物の守りかたをそろえておきましょう。「お兄ちゃんだから貸してあげて」と言う大人がいると、線がぼやけます。同じことばでなくても、子どもにとって見ればわかる対応にします。小さいほうの子を誰が守るか、落ち着いたあとにどんな現実的な仲なおりをするかも決めておきます。

ためしてみる期間

物を分けるやりかたは、とくに平和だった日や大もめの日ひとつで判断せず、ふつうの日を何回か重ねてためしましょう。どんな場面だったか、子どもがどうしたか、家の一日がどう回ったかを、ひと言ずつ書いておきます。記録が新しいプレッシャーにならない程度の短さで十分です。

ふり返りでは、みんなの物を順番で使えた場面とくらべてみましょう。安全で、わかりやすくなったことは残し、家族が続けられないことはかんたんに。変えるのは一度にひとつ。健康、安全、発達に心配があるときは、まず専門家にみてもらいます。

大人の役目と、その限界

特別な物を守ること、見守り、取りあいになりやすい物の扱い、安全の線は大人の役目です。きょうだいに意見を合わせろとか、仲よく感じろとは求められません。でも、力の差のある関係を「おあいこのけんか」とまちがえないようにし、力が育つにつれて、少しずつ子どもたちに任せていくことはできます。

安全を先に

ゆずる姿を見せるのは、体の安全が戻ってから。たたく、首をしめる、危ない物を使う、こわがっている、その場から逃げられない子がいる、というときはすぐに入りましょう。無理にさせたごめんなさいを、もう見守らなくていい証拠にはしないでください。

落とし穴

物を分けても、「下の子にはいつもゆずってね」とずっと同じ役を押しつける、仲よしのハグやすぐのごめんなさいを無理にさせる、まったく同じにすることを唯一の公平とする、危なさや力の差があるのに子どもに解決させる。こうしたことがあると、せっかくの工夫がくずれてしまいます。

前進のしるし

「たすけて」と大人を呼べる、取る前にひと呼吸おける、離れることを受け入れる、順番を待てる、大人の手をあまり借りずに仲なおりできる。そんな姿が前進です。いつも仲よしでいることより、安全なけんかと早い立ちなおりのほうが大切です。けがやこわがることがくり返されるときは、専門家に相談しましょう。

もめごとのメモは、何がきっかけで、どちらが強い立場で、大人がどうして、どう落ち着いたかを短く。どちらが悪いかを決めるためではなく、くり返すパターンを見つけるためのものです。

相談したいとき

けががくり返される、こわがったりひどく取りみだしたりする、毎日の暮らしが大きく乱れている、家でも園でも同じパターンが続く、大人が安全を保てない、という場合は、小児科医や地域の保健師さん、子育ての相談窓口などの専門家に相談しましょう。今この瞬間に危険があるなら、迷わず119番など急ぎの窓口へ。早めにたずねたからといって、どちらかの子にずっと消えないレッテルがはられるわけではありません。

覚えておきたいこと

目標にしたいのは、聞きわけのいい子や、ほころびのない暮らしではありません。自分の物とみんなの物を分けるところから始めて、つながりと安全を大切にし、時間をかけて方向を見守りましょう。一般的な助言で答えが出ないときは、その子をみてくれる専門家に相談します。

ポイント: まずは、自分だけの持ち物とみんなのおもちゃを分けることから。無理なく続く形に整え、変化を見守りましょう。

American Academy of Pediatrics, Preparing an older child for a new baby

American Academy of Pediatrics, Positive discipline