下の子が生まれたら、上の子とのふたりの時間を
赤ちゃんが来てから、上の子とゆっくり向き合う時間がなくなった。そう感じている親は多いでしょう。でも、上の子に必要なのは、特別なお出かけより、毎日の小さな約束かもしれません。仲がいいと思えばけんかになり、すぐにまた笑いあう。きょうだいとは、そういうものです。安全と、どちらの子もちゃんとお世話されることを守るのは大人で、子どもには、決まった役を背負わされずに、まざった気持ちのままでいられる場所が必要です。出発点は、毎日の小さな、決まったひとときを選ぶことです。
ひと言でいうと
つながりに、毎日の長いお出かけはいりません。毎日決まった10分の、ほかに気をとられない時間、なじみの寝る前のひととき、いっしょに行く小さなおつかい。そのほうが、たまの豪華なごほうびより、ずっと確かに上の子を安心させてくれます。
実際には
その時間がいつ来るのかを子どもに伝え、できるかぎり守りましょう。ただし、新生児が割りこんでくるかもしれない約束はしないこと。ほかの信頼できる大人とのつながりもうれしいものですが、関われる時間が変わってしまった親とつながりなおしたいという上の子の気持ちの、代わりにはなりません。
はじめに見ておきたいこと
親との時間、いつもの流れ、眠り、自立、ことば、遊び。この6つのどこに変化が出ているかを見ておきましょう。うまくいっている瞬間にも目を向けます。ほかの大人とふたりの時間のプランを分けあうときも、上の子の今の発達と、つながりを求める気持ちに合わせます。すぐに赤ちゃんをかわいがることや、感謝することを求めるものではありません。
ふたりの時間のプラン
- 毎日の、小さくて決まったひとときを選ぶ。
- その時間がいつ来るのかを、子どもに伝える。
- いつものじゃまからは、その時間を守る。
- 手のあいている大人どうしで、プランを分けあう。
まずは、小さな決まったひとときを選ぶことと、それがいつか伝えることから。「赤ちゃんがお昼寝したら、ふたりでブロックしようね」「お風呂のあとの10分は、あなたの時間だよ」。説明は具体的に、安全の線はその場ですぐに。何をして遊ぶかは子どもに選ばせ、なじみの流れを残しましょう。抱っこやお手伝い、来客の前でのお披露目を無理にさせなくても、赤ちゃんへの興味は自然に育ちます。
4つのステップのつながり
最初は、毎日の小さな決まったひとときを選ぶこと。次に、それがいつ来るか伝えること。それから、いつものじゃまから守ること。最後に、ほかの大人とプランを分けあうこと。危ない場面ではまず弱いほうを守り、教えたり仲なおりしたりするのは、気持ちが落ち着いてからです。
ほかの大人とそろえておくこと
パートナーとは、最初のふたつ、決まったひとときを選ぶことと、その予告をそろえておきましょう。ふたりの時間のあいだ、もうひとりが赤ちゃんを見る、と決めておくと守りやすくなります。同じことばを使う必要はありませんが、上の子にとって見ればわかる対応にします。赤ちゃんを守るのは誰か、落ち着いたあとにどんな現実的な仲なおりをするかも決めておきます。
ためしてみる期間
毎日のひとときは、うまくいった日やつぶれてしまった日ひとつで判断せず、1週間ほどのふつうの日を重ねてためしましょう。状況、上の子の反応、家族の毎日の回りぐあいを短くメモします。記録が新しいプレッシャーにならない程度で十分です。
ふり返りでは、ほかの大人とプランを分けあえた日とくらべてみましょう。上の子が安心できた工夫は残し、家族が続けられないことはかんたんに。たとえば10分がむずかしいなら5分に。変えるのは一度にひとつ。健康、安全、発達のどれかに不安があるときは、家での工夫より、専門家にみてもらうことを優先しましょう。
大人にできること、できないこと
ふたりの時間を予告するのは、大人にできることです。見守る、注意の向けかたを工夫する、上の子のリズムを守る。そこは大人が動かせる部分です。でも、ふたりの時間をつくったからといって、上の子が毎日赤ちゃんを喜んだり、いつもお兄ちゃんらしくふるまったりするとはかぎりません。やきもちや赤ちゃん返りも気持ちの表れですが、それは相手を傷つけていいということではありません。
安全と、子どもの尊厳
ふたりの時間のプランを分けあうことは、安全の計画とも重なります。ふたりの時間のあいだも、赤ちゃんと小さな子をふたりきりにしない、たたいたり乱暴にさわったりしたらすぐに止める、そして上の子に赤ちゃんを見ている役目をいつも負わせない。誰が赤ちゃんを見るのかを、大人が決めておきましょう。
うまくいかなくなるとき
ふたりの時間をつくっても、ほかの場面で「お姉ちゃんなんだから」とずっと同じ役を押しつけていたり、赤ちゃんへのやさしさやすぐのごめんなさいを無理にさせていたりすると、その効果はうすれてしまいます。まったく同じにすることだけを公平と呼ぶこと、危なさや力の差があるもめごとを子どもに解決させることも、同じようにつまずきのもとになります。
前に進んでいるサイン
上の子が、ふたりの時間を楽しみに待てるようになる、気持ちの立てなおしが早くなる、「あとで遊ぼうね」と自分から言える、少しのあいだなら親が赤ちゃんにかかりきりでも待てる、プレッシャーなしに赤ちゃんに近づく。そうした様子が前進です。愛情にむらがあってもかまいません。安全と、少しずつ育つ信頼をものさしにしましょう。
メモには、ふたりの時間がつぶれたときのきっかけ、上の子がどう受けとめたか、大人がどうしたか、どう落ち着いたかを書いておくと役立ちます。誰かを責めるためではなく、家族の中のパターンに気づくための記録です。
専門家に相談したいとき
けがが重なる、ひどくおびえる、上の子が閉じこもったまま、できていたことが消えた、睡眠や日常が大きく乱れた、大人の手に負えない。こうしたときは、小児科医や地域の保健師さんに相談しましょう。家族がいっぱいいっぱいになる前でかまいません。親が気になっていること、それだけでたずねる理由になります。
覚えておきたいこと
ゴールは、いつも素直な子や、いつも整った家ではありません。毎日の小さな決まったひとときを選ぶところから始めて、つながりと安全を大切にし、時間をかけて方向を見守りましょう。一般論ではわからないことは、わが子をみてくれる専門家といっしょに考えればいいのです。
ポイント: まずは、毎日の小さな決まったひとときを選ぶことから。続けられる形にして、何が変わったかをふり返りましょう。
American Academy of Pediatrics, Preparing an older child for a new baby