きょうだいを比べないために、親ができる声かけ

「お姉ちゃんはこのくらいでできたのに」「弟はもっと食べるよ」。くらべるつもりはなくても、つい口から出てしまうものです。きょうだいのあいだには、好きも、いらいらも、競争も、仲なおりも、数分のうちに次々とやってきます。安全と、どちらの子もちゃんとお世話されることを守るのは大人で、子どもには、ずっと同じ役を背負わされずに、まざった気持ちのままでいられる場所が必要です。まずは、順位をつけずに行動を伝えることから始めましょう。

ひと言でいうと

くらべっこは、一時の違いを家族の中のキャラクターに変えてしまうことがあります。「手のかからない子」「かしこい子」「むずかしい子」。ほめことばのレッテルでさえプレッシャーになり、きょうだいがそれぞれ自分にわりあてられた役を守ろうとすることもあります。

実際には

もう一方の子をものさしにせずに、それぞれの子の具体的な行動、がんばり、必要としていることを伝えましょう。発達について気になることがあれば、ふたりのときにきちんと目を向けます。くらべないことは、意味のある違いや、支えの必要がないふりをすることではありません。

はじめに見ておきたいこと

大人のくらべっこ、家族の冗談、決めつけたレッテル、知らないうちにどちらかを上に置く期待に耳をすまし、それぞれの子がどう反応するかを見てみましょう。くらべっこが口から出てしまったら、そのことばを具体的に言いなおし、新しいほめレッテルではなく、行動、がんばり、必要についての見たままのことばに置きかえます。

くらべないためのプラン

  • 順位をつけずに、行動を伝える。
  • 期待は、それぞれの子のできることに合わせる。
  • ほかの大人が使うレッテルには、やんわり割って入る。
  • くらべっこが出てしまったら、言いなおす。

行動を伝えることと、その子に合った期待を、毎日の声かけに生かしましょう。「早く着がえられたね」ではなく「ボタン、ひとりでとめられたね」。何が起きたか、この子にはどんな支えが合うかを、きょうだいをものさしにせずに伝えます。くり返しレッテルを使うほかの大人には変えてもらうようお願いし、自分がくらべてしまったら、かんたんに言いなおせば十分です。

4つのステップのつながり

まず、順位をつけずに行動を伝える。次に、その子のできることに合った期待をもつ。それから、ほかの大人のレッテルに割って入る。最後に、くらべっこが出たら言いなおす。危ないことがあれば先に弱いほうを守り、教えたり仲なおりしたりするのは、気持ちが落ち着いてからにしましょう。

ほかの大人とそろえておくこと

祖父母や親せき、園の先生とも、最初のふたつ、行動を伝えることとその子に合った期待をそろえておきましょう。同じことばである必要はありませんが、子どもにとって見ればわかる対応にします。弱い立場の子を誰が守るか、落ち着いたあとにどんな現実的な仲なおりをするかも、大人どうしで決めておきます。

ためしてみる期間

順位をつけない声かけは、たまたまうまくいった日や、うまくいかなかった日ひとつで判断せず、ふつうの日を何回か重ねてためしましょう。どんな場面だったか、子どもがどうしたか、家の一日がどう回ったかを、ひと言ずつ書いておきます。記録が新しいプレッシャーにならないよう、短くていいのです。

ふり返りでは、ほかの大人のレッテルにどれだけ割って入れたかとくらべてみましょう。子どもが安心して過ごせたことは残し、家族が続けられないことはかんたんに。変えるのは一度にひとつ。体のこと、安全のこと、発達のことで気になる点があれば、工夫より先に専門家へ。

大人にできることと、できないこと

その子に合った期待をもつのは、大人の仕事です。大人は、ことば、期待、機会のわけかた、違いへの反応を変えられます。でも、きょうだいをそっくり同じにすることも、公平を「まったく同じ」として感じさせることもできません。理由がはっきりしていて敬意があるなら、ひとりに合わせた支えはひいきではありません。

尊厳を守る

言いなおすことは、子どもの尊厳を守ることです。とくに、できること、気質、体、園や学校での様子、どちらの親になついているかがくらべられるときは。発達の心配はふたりのときに具体的に話し、どちらかの子に、目立つなとか、見せびらかせとか、もう一方の気持ちに責任をもてとは求めないようにしましょう。

つまずきやすいこと

順位をつけないつもりでも、ひとりにずっと同じ役を押しつける、仲よくすることやすぐのごめんなさいを無理にさせる、まったく同じにすることだけを公平と呼ぶ、危なさや力の差があるのに子どもどうしで解決させる、といったことで、くずれてしまうことがあります。

よい変化の見つけかた

順位をつけることばが減る、声かけが具体的になる、子どもがきょうだいを引きあいに出さずに自分の必要を言える、大人がくらべっこをすぐに言いなおせる。そうした様子が前進です。めざすのは違いを消すことではなく、その違いを家族の中のずっと続くキャラクターにしないことです。

メモをとるなら、何がきっかけか、ふたりの力の差、大人の対応、どう落ち着いたかを。誰が悪いかを決めるためではなく、くり返す流れに気づくためのメモです。

もっと支えが必要なとき

レッテルが根づいてしまっている、どちらかがいつもはずかしめられたり、のけものにされたりしている、不安やひきこもりが強まっている、きょうだいの対立が毎日を占めている、大人がパターンを止められない、という場合は、家族や子どもを支える専門家に相談しましょう。どちらかの子が問題だと決めつけずに、関係に目を向けて支えてもらえます。

覚えておきたいこと

めざすのは、完璧に言うことを聞く子や、完璧な家の毎日ではありません。順位をつけずに行動を伝えるところから始めて、つながりと安全を大切にし、時間をかけて方向を見守りましょう。一般的な助言で答えが出ないときは、その子をみてくれる専門家に相談します。

ポイント: まずは、順位をつけずに行動を伝えることから。続けやすい形にしたら、あとは変化をふり返るだけです。

American Academy of Pediatrics, Preparing an older child for a new baby

American Academy of Pediatrics, Positive discipline