きょうだいのおもちゃの取りあい、どう止める?
「それ、ぼくの!」「さっきまで使ってたもん!」。ブロックひとつで、平和な午後があっという間に戦場になります。きょうだいの関係には、愛情も、いらいらも、張りあいも、仲なおりも、ときには数分のうちにぜんぶ入っているものです。安全と、どちらの子もちゃんとお世話されることを守るのは大人。子どもには、ずっと同じ役を背負わされずに、まざった気持ちのままでいられる場所が必要です。取りあいで最初にすることは、ひったくりやたたくのを止めることです。
ひと言でいうと
おもちゃの取りあいには、誰のものか、待つこと、遊びに入れてもらうこと、そのおもちゃがもう返ってこないかもしれないという不安がからんでいます。自分だけの持ち物とみんなのおもちゃを分け、小さな子どもだけで公平な解決を話し合わせるのではなく、大人が支える短い順番を使いましょう。
実際には
ひったくりやたたくのを止めたら、どちらがいい子かを決めずに、次に何をするかを伝えます。もめやすいおもちゃは、できるなら同じものをもうひとつ用意し、落ち着いて遊んでいるときに「入れて」のことばを練習しましょう。無理にさせたごめんなさいより、取ったものを返す、代わりのものをわたす、こわしたものを直す、といった具体的な仲なおりのほうが効きます。
はじめに見ておきたいこと
きっかけ、誰のものか、眠さ、場所のせまさ、大人の注目、ふたりの力の差、それぞれの子がその場から離れられるかを見て、大人が入ったあとどうなったかを書きとめましょう。順番をたのむひと言を教えるときは、気持ちがいっぱいいっぱいの最中にむずかしい解決を求めるのではなく、子どもが実際に使える力に合わせます。
取りあいのときのプラン
- まず、ひったくりやたたくのを止める。
- そのおもちゃが自分のものか、みんなのものかをはっきりさせる。
- 目に見える、具体的な順番のしかたを使う。
- 順番をたのむひと言を、ひとつ教える。
まずは止めることと、誰のものかをはっきりさせることから。裁判のような取り調べはせず、けがを止めて、その場の線をはっきりさせます。落ち着いたら、その場面に合った、たのみかた、順番、離れること、仲なおりを教えましょう。「タイマーが鳴ったら交代ね」「長い針が3になったらね」。毎回同じ時間や場所でもめるなら、子どもがつまずくようにできている状況のほうを変えます。
4つのステップのつながり
最初は、ひったくりやたたくのを止めること。次に、自分のものかみんなのものかをはっきりさせる。それから、具体的な順番のしかた。最後に、順番をたのむひと言。弱いほうを守るのが先で、教えたり仲なおりしたりするのは、体が落ち着いてからです。
ほかの大人とそろえておくこと
パートナーや祖父母とは、最初のふたつ、止めることと誰のものかをはっきりさせることをそろえておきましょう。同じことばを使わなくても、子どもにとって見ればわかる対応にします。小さいほうの子を誰が守るか、落ち着いたあとにどんな現実的な仲なおりをするかも決めておきます。
ためしてみる期間
止めることを最初にするやりかたは、たまたま穏やかな日や大荒れの日ひとつで判断せず、ふつうの日を何回か重ねてためしましょう。状況、子どもの反応、家族の毎日の回りぐあいを短くメモします。観察が新しいプレッシャーにならない程度の短さで十分です。
ふり返りでは、具体的な順番のしかたを使った場面とくらべてみましょう。安全に、わかりやすくなったことは残し、家族が続けられないことはかんたんにします。変えるのは一度にひとつ。健康、安全、発達に心配があるなら、まず専門家にみてもらいます。
大人にできることと、できないこと
誰のものかをはっきりさせること、見守り、取りあいになりやすいおもちゃの扱い、安全の線は、大人の仕事です。大人は、きょうだいに意見を合わせろとか、仲よく感じろとは求められません。でも、力の差を「おあいこのけんか」とまちがえないようにし、力が育つにつれて、少しずつ子どもに任せていくことはできます。
安全を先に
ひと言を教えるのは、体の安全が戻ってからにしましょう。たたく、首をしめる、危ない物を使う、こわがっている、その場から離れられない子がいる、というときはすぐに入ります。無理にさせたごめんなさいを、もう見守らなくていい証拠にはしないでください。
つまずきやすいこと
止めることから始めても、ひとりにずっと同じ役を押しつける、仲よくすることやすぐのごめんなさいを無理にさせる、まったく同じにすることだけを公平と呼ぶ、危なさや力の差があるのに子どもどうしで解決させる、といったことで、くずれてしまうことがあります。
よい変化の見つけかた
「たすけて」と大人を呼べる、取る前にひと呼吸おける、離れることを受け入れる、順番を待てる、大人の手を借りずに仲なおりできる。そうした様子が前進です。いつも仲よくしていることより、安全なけんかと早い立ちなおりのほうが大切です。けがやこわがることがくり返されるなら、専門家に相談しましょう。
メモをとるなら、きっかけ、ふたりの力の差、大人の対応、どう落ち着いたかを。責める材料ではなく、次に生かせるパターン探しの道具として使いましょう。
もっと支えが必要なとき
けががくり返される、こわがったりひどく取りみだしたりする、毎日の暮らしが大きく乱れている、家でも園でも同じパターンが続く、大人が安全を保てない、という場合は、小児科医や地域の保健師さん、子育ての相談窓口などの専門家に相談しましょう。今まさに危険があるときは、すぐに地域の救急の窓口へ。早めに相談しても、どちらかの子に一生の診断名がつくわけではありません。
覚えておきたいこと
完璧に言うことを聞く子も、一度もくずれない毎日も、目標ではありません。ひったくりやたたくのを止めるところから始めて、つながりと安全を大切にし、時間をかけて方向を見守りましょう。この子に何が起きているのか、一般的な助言ではわからないときは、その子をみてくれる専門家に相談しましょう。
ポイント: まずは、ひったくりやたたくのを止めることから。できる形で続けてみて、そのあとで変わったことを見直しましょう。
American Academy of Pediatrics, Preparing an older child for a new baby