シール貼りで指先を育てる創作遊び

シールは、工作の棚でいちばん見すごされている道具かもしれません。安くて、いつも人気で、絵の上手さもいらない。それでいて小さな子の手をたっぷり動かしてくれます。はがして押すシンプルな楽しさのうしろで、シール貼りは、のちにボタンをとめる、お箸やスプーンを使う、鉛筆を持つことを支える指先の力を、静かに育てています。シール1枚は、子どもを静かにさせておく以上の仕事をしているのです。

シールにかくれた手の力

台紙からシールをはがすのは、小さな指には本当にむずかしいことです。つまむ力、根気、そして片手でシートを持ち、もう片手ではがす両手の協調が必要です。好きな場所に貼ることで、思いどおりに動かす力と正確さも加わります。どれも、字を書くことや身のまわりのことに必要な筋肉と動きそのものを強めます。何気ない遊びに見えて、じつは子どもが喜んで取りくむ、プレッシャーのない、すぐれた指先の練習です。

その子の段階に合うシールを

扱えるシールは子どもによってちがい、うまく選べばイライラを防げます。小さな子には、細かいシールより、大きくてはしがめくりやすいシールのほうがずっとやさしい。スポンジシールや丸シールは厚みがあって扱いやすいです。大きくなるにつれ、小さくて細かいシールが、育ってきた正確さにちょうどいい手ごたえになります。3歳の子にとって小さなシールの台紙をはがすのは本当の「できた」なので、むずかしさは成長に合わせてゆっくり上げていきましょう。

試してみたいシール遊び

計画はいりませんが、いくつかのアイデアで新鮮さが続きます。白い紙、紙皿、段ボール箱を好きなように飾る。かんたんな形や丸を描いて、その中に貼ってもらうと、ねらう楽しさが加わります。自分で色を塗った背景にシールを足して場面をつくる。シールブックをわたして自由に貼らせる。小さな子がいちばん楽しむシール遊びは、たいてい、いちばん自由なものです。

ねらう楽しさを少し

はがして貼るのがかんたんになったら、プレッシャーなしに、思いどおりに動かす力をのばせます。点、線、かんたんな道を描いて、ひとつずつシールを貼ってと誘いましょう。大きな数字を描いて、その数だけシールを貼ってもらえば、数の芽も育ちます。線にそって貼ることは、字を書くのに必要な手の動きを支えます。こうしたチャレンジは軽く、やってもやらなくてもいいように、課題ではなくゲームとして。遊びは楽しく、子どもが主役のままです。

子どもにまかせる

ほかの創作遊びと同じように、子どもが進めるほど価値は大きくなります。きれいなデザインに並べたり、どこに貼るか言ったりしたくなっても、こらえて。20枚重ねて貼りたい、自分の手をシールでおおいたい、それでいいのです。目的は、すること、選ぶこと、練習することで、きれいなできあがりではありません。導くのではなくついていけば、子どもは夢中のまま、指先の力といっしょに自信も育てます。

シールの安全について

シールは危険の少ない遊びですが、大事な点がいくつかあります。小さなシールは、まだ物を口に入れる赤ちゃんや小さな子にはのどにつまる危険があるので、しっかり見守り、この年齢には大きなシールを。シールをはがして食べようとする子もいるので、目を離さないで。目や口のまわりの肌には貼らないこと。のりに反応する子もいるので、肌に貼ったところが赤くなったら、はがして洗い流しましょう。家具に貼られたシールは、こびりつく前に早めにはがして。

造形が苦手な子の入り口に

シールは、お絵かきをいやがる子や、絵の具の汚れが苦手な子への、すてきな入り口です。失敗する技術も、きらいな汚れもなく、すぐに満足できる結果が出ます。白い紙を前に固まってしまう子も、シールなら喜んでうめることがよくあります。その、跡をつけるいい体験が、あとでほかの造形を試す自信になります。手ざわりが苦手な子や慎重な子にとっても、シールは乾いたきれいな手のままできる創作遊びです。

ほかの遊びと組みあわせる

シールは、子どもがもう楽しんでいることとまぜると、さらに広がります。手づくりカードの飾りに、段ボール作品の名札に、色を塗った動物の水玉に、手づくりすごろくのしるしに。シールの表は毎日の習慣を楽しくもしてくれますが、本当の創造の価値は、自由に飾る遊びにあります。ほかの遊びにシールを織りこむと新鮮さが保たれ、はがして貼る練習をする新しい理由ができます。

すぐ出せる少しのストックを

とても役に立って、とても好かれているので、シールを少し手もとに置いておく価値があります。いろいろな大きさをまぜて、何枚か引き出しに入れておけば、静かな時間に、外食の待ち時間に、ふつうの午後に出せます。ときどき柄を入れかえて、興味を保ちましょう。大人の手間はほとんどなく、毎日の遊びにしっかりした指先の練習をしのびこませる、いちばんかんたんな方法のひとつです。

もっと大きな意味

シールはただの気そらしと思われがちですが、ちゃんと役目があります。のちのたくさんの力を支える手の力と動きを育て、造形が苦手な子や慎重な子をつくることに迎えいれ、お金もほとんどかかりません。はがして押した1枚1枚のうしろには、手の協調の小さな勝利と、楽しすぎて学んでいることに気づかない子どもがいます。

ポイント: シールをはがして貼ることで、字を書くことや身のまわりのことを支える、つまむ力と手の動きが育ちます。年齢に合うシールで、自由に貼らせましょう。

CDC, Positive parenting tips

NHS, Play ideas and reading