小さな「工作の棚」をつくる
工作好きな子に育てるのに、工作部屋はいりません。小さな手が届く低い棚がひとつあれば、材料をつめこんだ押し入れよりずっと役立ちます。よく考えた工作の棚は、創作を、大人に準備する元気があるときだけのものではなく、子どもが自分で選べるものに変えてくれます。
低くて開いた棚がいい理由
小さな子は、見えてさわれる物に手をのばします。紙、クレヨン、かんたんな道具が子どもの目の高さにあれば、お絵かきは特別なイベントではなく、毎日のお誘いになります。開いた棚なら物の住所もわかり、片づけが最後のけんかではなく遊びの一部になります。ねらいは静かな自立。子どもが何かつくろうと決めて、大人を待たずに始められることです。
わざと、種類を少なく
ぎっしりの棚は小さな子を圧倒し、たいてい全部いっぺんに引っぱりだされて終わります。太いクレヨン、少しの紙、スタンプ台、シールひと箱のように、選べるものは3つか4つから。選択肢が少ないほど、ひとつずつを本当に試すので、遊びが深まります。毎週入れかえれば、散らかりを増やさずに興味が新鮮に保てます。出しておく物が少ないほど、本当に夢中になれるのです。
子どもが扱える入れ物を選ぶ
工作の棚がうまくいくかは、入れ物しだいのことがよくあります。小さなふたのないかご、低いトレー、浅い缶なら、中が見えて、もどすのもかんたん。かたいふた、深い箱、ひとりで開けられない物は避けましょう。イライラする入れ物は使われなくなります。ひとつずつ、ひとりで持ちあげ、運び、もどせると、子どもは棚をずっとよく使います。
出しておく物と、大人が管理する物を決める
見守れるときだけのほうがいい材料もあります。はさみ、液体のり、絵の具、小さな部品がある物は高い場所に置き、いっしょにおろして使いましょう。開いた棚には、ひとりで使っても安全な物だけを。大人が先に決めた線引きの中で本当の自由があるので、一日中「だめ」と言わずにすみます。気を配って選んだ棚なら、自立と安全はぶつかりません。
汚れに合う場所を選ぶ
できれば、キッチンの一角やフローリングのような、ふける場所の近くに棚を置きましょう。横に小さな机か床のマットがあれば、作業する場所になります。カーペットややわらかい家具から離しておけば、たまのクレヨンの跡も気楽にかまえられます。家がせまいなら、本棚のはしや、横に倒したカラーボックスひとつでもじゅうぶんです。
片づけも遊びのうちに
物の住所がはっきりしていれば、子どもはもどすことを覚えられます。片づいた棚の写真を撮って近くに貼るか、ひとつずつもどすところをやって見せましょう。小さな子への期待はゆるやかに。できることもあれば、忘れることもあります。目標はぴかぴかの棚ではなく、つくることと片づけることがセットになったリズム。それが毎日の散らかりの山から棚を守ります。
足すのではなく、入れかえる
数週間ごとに、材料をひとつかふたつ、新しい物と入れかえましょう。クレヨンを水で落ちるマーカーにしたり、スタンプを下げてコラージュの切れはしのトレーを置いたり。入れかえれば棚はおもしろいまま、広がりすぎません。休ませている材料は、ラベルをつけた箱に入れて見えないところへ。このゆっくりしたサイクルで、子どもが何にひかれるかも見えてきて、次の選択を本当の興味に合わせられます。
安全についてひと言
小さな子の高さに置く材料は、さっと安全を確かめましょう。安全性の表示があり水で落ちる物を選び、ばらばらのビーズ、ボタン、動く目玉シールなど飲みこめる物は、口に入れる時期を過ぎるまで開いた棚には置かないで。棚そのものが安定しているか確かめ、できれば壁に固定して、子どもがもたれたり登ったりしても倒れないように。アレルギーがある、製品に反応が出た場合は使うのをやめて肌を洗い、心配なら薬剤師やかかりつけ医に聞きましょう。
棚も子どもといっしょに育てる
大きくなって手もとがしっかりしてきたら、少しむずかしい物も足せます。子ども用の安全なはさみ、穴あけパンチ、いっしょに使う小さなホチキス、自然の小物を集めたトレー。低い棚の基本は同じです。見えるように、扱えるように、そして子どもが圧倒されず、自分で動かせていると感じられる程度にしぼって。
ひそかなごほうび
よく考えた工作の棚は、小さいけれど力のあることをしてくれます。自分の思いつきは歓迎されていて、大人が準備したときだけでなく、毎日手の届くところにあると子どもに伝えるのです。何週間かたつと、子どもが自分から棚に向かい、色を選び、貼り、描き、材料をもどす姿が見られるかもしれません。どれも自分の好奇心から。その毎日の自立は、高価な工作キットよりずっと価値があります。
ポイント: 子どもの高さの、すっきりした低い棚に、材料をしぼって。創作が、毎日自分で選んで、自分で扱えるものになります。