のりを使わない、その場かぎりの自然アート
あとに何も残らない、すてきなアートがあります。ベタベタの指も、のりのボトルも、しまう場所や捨てる罪悪感に悩む工作の山もありません。落ち葉、小石、花びら、小枝を集めて、もようや絵に並べる。それは遊んでいるあいだだけ続き、終わったらまた地面にもどします。つくることそのものが目的なのです。
その場かぎりのアートの価値
造形は何か残る物をつくるものと思いがちですが、子どもの創造の育ちの多くは、とっておくことではなく、することのなかで起きています。その場かぎりの自然アートには、完成品のプレッシャーがまったくありません。並べて、並べなおして、ながめて、手放す。今この瞬間を楽しむ、やさしい練習になります。何も残さなくていいので、散らかりも期待もなく、外の世界がくれる物でつくる楽しさだけがあります。
子どもといっしょに集める
楽しさの半分は、探すこと。庭や公園、雑木林のお散歩が、材料集めの宝さがしになります。いろいろな色の落ち葉、すべすべの石、松ぼっくり、小枝、種のついた穂、花びら、草。子どもの目にとまった物を選ばせてあげましょう。集めながら名前を言ったり比べたりすることで、注意力、仲間分け、ことばの芽が育ちます。この遊びでは、集めることも並べることと同じくらい大切な一部です。
かんたんな並べ方
かごいっぱいに集まったら、可能性は広がります。葉っぱを丸く並べる、石を大きさ順に一列にする、花びらと小枝で顔をつくる、道に松ぼっくりでうずまきをつくる。切り株、敷石、トレー、むきだしの土の地面。どれもいい台になります。きまりも型紙も正しいできあがりもありません。決めるのは子どもで、作品は何度でも好きなだけ変えられます。
子どもにまかせて、変えていい
何もくっつけないことのすばらしさは、全部が動かせるままであること。葉っぱを入れかえ、石を取りかえ、絵をまるごと10回つくりなおせます。きれいに整えたり、こう見えるべきと言ったりしたい気持ちはこらえて。どんなにでたらめに見えても子どもの並べ方についていけば、遊びはその子のものです。何度でも変えられる自由こそが、このアートを夢中にさせ、子どもの流れるような、試すような考え方にぴったり合います。
色、形、手ざわりを話す
自然にはゆたかなことばがあるので、ふたりで気づいたことを話しましょう。ごつごつの木の皮、すべすべの小石、とがった葉っぱ、赤いのが目立つこと。大きさを比べたり、色で分けたりすると、お勉強にせずに、数やことばの芽が楽しさに織りこまれます。見てわかる物をつくることより、観察して楽しむことに目を向け、会話は子ども自身のことばに導いてもらいましょう。
写真に残して、自然にもどす
作品はとっておかないので、子どもが誇らしく思った作品は写真に撮っておくといい思い出になります。家の中でくずれていく葉っぱをためこまずにすみます。いっしょにながめたら、材料をもとの場所にまいてもどしましょう。このもどすことも習慣の一部で、小さなやさしい考えを教えます。自然から借りて、自然に返す。片づけも本当にらくで、大人にとってのひそかなおまけです。
外で集めるときの安全
自然の中の遊びでは、いくつか確かめておきましょう。自然の物を口に入れないよう教え、まだ口に入れる小さな子からは目を離さないで。実、種、きのこ、植物のなかには毒をもつものがあります。きのこやあざやかな色の実は、まったくつまないように。とげ、イラクサのようなかぶれる草、とがった物に気をつけ、動物のふんがあったり薬がまかれたりしていそうな場所は避けましょう。遊んだあとは手を洗って。花粉症や植物のアレルギーがある子は、拾う物をよく選び、あとでしっかり手を洗いましょう。
必要なら家の中で
外でなくても楽しめます。雨の日は、前に集めておいた乾いた葉っぱ、松ぼっくり、石のかごを台所の机に持ってきて、トレーに広げましょう。子どもは家の中でも同じように楽しく並べ、終わったら材料は外か庭にもどします。きれいで乾いた自然の物を少し集めておけば、天気に関係なく、のりなしの自然アートはいつでも手の届くところにあります。
子どもが得るもの
このシンプルでごみの出ない遊びは、思いのほかたくさんのことをしてくれます。小さな物をつまんで置くことで指先の力が育ち、プレッシャーなしに創造が生まれ、自然とのつながりができ、美しさは永遠でなくても価値があると教えてくれます。しかも、ただで、地球にやさしく、汚れもない。何度でも「いいよ」と言える、いちばんかんたんな創作遊びのひとつです。
手放すことの、やさしい学び
その場かぎりの自然アートのいちばんすてきなところは、それが見せてくれることかもしれません。何かに力と心をこめ、思いきり楽しみ、そしてさらりと手放す。とっておくこと、集めることを求められる世の中で、それはひそかに価値のある体験です。しかもそれは、晴れた午後に葉っぱを並べるという、シンプルな楽しさにくるまれてやってきます。
ポイント: 子どもと落ち葉や石、花びらを集め、のりなしで並べてもようをつくる。つくる時間を楽しんだら、材料は自然にもどしましょう。
NHS, Physical activity guidelines for children (under 5 years)