ベタベタが苦手な子のための感触遊び
ベタベタ、ぬるぬる、ぬれた物に手がふれたとたん、さっと手を引っこめる子がいます。必死でふく、加わろうとしない、本当につらそうになる。お子さまがそうなら、よくある「汚れる遊びをさせよう」というアドバイスは役に立たないどころか、つらく感じるかもしれません。手ざわりが苦手なのは本当に、よくあることです。やさしい関わり方は、汚れを押しつけることではなく、その子の心地よさに合わせ、決してわなに感じない入り口を用意することです。
何が起きているのかを知る
手ざわりが苦手な子にとって、ベタベタやぬるぬるの感覚は、ただ慣れていないだけでなく、不快だったり、圧倒されるほどだったりします。神経が、ほかの子よりこうした感覚を強く受けとっているのかもしれません。ドロドロに手をつっこませようとすると、感触遊びはこわいものだと教えてしまいます。反応はわがままや反抗ではなく本物だと知ると、こたえ方が変わります。まず尊重すること。そこからなら、子どもは自分のペースで探りやすくなります。
手をつっこませることは、決してしない
いちばん大切なきまりは、いやがる物をさわらせないことです。無理にさせると苦手がさらに強くなり、感触遊びについて大人を信頼できなくなることがあります。かわりに、どのお誘いも本当にやってもやらなくてもよく、かんたんにやめられるように。見ていてもいい、道具を使ってもいい、いつやめてもいいとわかると、プレッシャーが消えます。ふしぎなことに、求めるのをやめると、自分のタイミングで試す扉が開いたままになることがよくあります。
乾いた、しっかりした手ざわりから
ベタベタやぬるぬるがつらい子でも、乾いた、しっかりした素材ならまったく平気なことがよくあります。乾いたお米、パスタ、オートミール、砂、ポンポン、布の切れはし、わた。どれもいいスタートです。かためのねんど、さらさらしたキネティックサンドのような砂、なめらかなボールは、ドロドロやスライムよりらくです。心地よいところから始めると、感触遊びのいい体験が積みかさなり、それがのちに少しずつ受けいれられる幅を広げる土台になります。
手が汚れないよう、道具を
気のりしない子を仲間に入れるかんたんな方法は、指ではなく道具を使わせることです。スプーン、トング、筆、棒、カップがあれば、ぬれた物や汚れる物を、直接さわらずに探れます。指絵の具のかわりに筆で塗る、ドロドロをスプーンでかきまぜる。自分の条件で参加できます。道具のおかげで素材が安心でなじみのあるものに感じられると、やがて自分からさわることを選ぶ子もいます。
見ていることも参加のうち
とても慎重な子にとっては、加わらずに遊びの近くにいるだけでも本当の一歩です。大人やきょうだいが遊ぶのを見させてあげて、同じことをしなければという期待はなしに。大人が感じていることを、さそいこまずに、落ちついて淡々と話しましょう。見てなじむことで、こわさは少しずつ減っていきます。手ざわりが苦手な子の多くは、何週間もかけて、見る、道具を使う、指先でちょっとさわる、とすべて自分のペースで進んでいきます。
ふく物と水を手の届くところに
感覚の敏感な子が大きくおそれるのは、いやな感覚から逃げられないことです。すぐとなりにぬれぶきん、きれいな水を入れたボウル、タオルがあると安心できます。ふきたいとき、すすぎたいときにすぐできるとわかると、自分で動かせる感覚が生まれ、試す勇気がわいてきます。続けさせるために、ふく物を取りあげることは決してしないで。自分で動かせることこそが、小さな一歩をふみだす助けになるのです。
ゆっくり、小さな一歩ずつ
手ざわりへの心地よさを広げるのは、一度の勇気あるジャンプではなく、ゆっくりした道のりです。何回もかけて、乾いたお米から、少ししめった砂、かためのねんど、やわらかめのねんどへ、と進んでいくかもしれません。新しい物に指を1本ふれた、そんないちばん小さな一歩を喜び、次へ急がないこと。ここでの進歩は、小さな、自分から選んだ瞬間ではかります。調子の悪い日に後もどりしたら、安心できたところにもどればいいのです。
少し相談してみたいとき
手ざわりの苦手さには、気質のふつうの一部で、やさしく根気よくふれていくうちにやわらぐものもあります。ときには、もっと大きな意味をもつこともあります。手ざわりを避けるのが極端で本当につらそう、たくさんの食べ物を強く拒む、服がつらい、毎日の感覚に対処するのがむずかしいなど、ほかの場面にも広がっている場合は、地域の保健師さんやかかりつけの小児科医に伝えましょう。助言をくれたり、役立つなら作業療法士につないだりしてくれます。聞くのは大げさではありません。早めの支えが大きなちがいを生むこともあります。
心の体験を守る
何を用意するにしても、目標は、感触遊びが子どもにとっていい、プレッシャーのない体験でありつづけることです。一度無理にさせただけで、何週間ものやさしい進歩がふりだしにもどることがあるので、雰囲気を大切に守りましょう。子どもが手を引っこめても大人は落ちついて、どんなに小さな参加も成功として受けとめます。安心で、自分で動かせると感じられると、好奇心が育つ余地が生まれます。そしてその好奇心こそが、やがて苦手だった手ざわりへと子どもを運んでいきます。
もっと大きな意味
手ざわりが苦手な子を感触遊びで支えることは、汚れる遊びそのものより、自分の限界は尊重され、心地よさは大切にされると教えることです。その信頼は、どんな遊びをやりとげることよりずっと価値があります。根気と、乾いたしっかりした素材をたっぷり、手を汚さない道具、そしていつでも開いている出口。それがあれば、たいていの子は少しずつ受けいれられる幅を広げていきます。追いつめられてではなく、安心しながら。
ポイント: 手ざわりが苦手な子に、つらい物を無理にさわらせないで。乾いた素材、道具、いつでもやめられる出口を用意し、自分から選ぶ小さな一歩で心地よさを広げましょう。