子どもといっしょに動画を見ると、何が変わる?

画面についてのアドバイスの多くは、どれくらいの時間か、どんな内容か、に向いています。どちらも考える価値があります。でも、そのどちらよりも大切なことが多い、もっと静かな要素があります。小さな子が画面を見るとき、親がいっしょに見ることには大きな意味があります。思いやりのある大人のとなりで見る画面は、ひとりで見る同じ画面とはまったく別の体験だからです。その理由がわかると、スクリーンタイムとの付き合いかたそのものが変わるかもしれません。

小さな子は、人を通して学ぶ

字を読んだり筋道立てて考えたりできるずっと前から、子どもはまわりの大人に気持ちを向けて学んでいます。安全かどうかを知るために親の顔を見て、親のことばをまね、いっしょに同じものに注意を向けることで世界を理解していきます。画面だけでは、これができません。流れはしますが、子どもに気づくことも、とまどいにこたえることも、見たものを実際の暮らしと結びつけることもできません。親なら、できます。

だからこそ、同じ番組がたくさんのことを教えることもあれば、ほとんど何も教えないこともあるのです。誰かがいっしょに見て、話をしてくれるかどうかで変わります。内容は話の半分で、残りの半分はとなりにいる人です。

いっしょに見ると、何が加わるのか

いっしょに見て、関わりつづけると、役に立つことがいくつも同時に起こります。指さしたり名前を言ったりしながら、体験をゆっくりにできる。かんたんな問いかけで、受け身の流れを行ったり来たりのやりとりに変えられる。わかりにくいところやこわいところに気づいて、やさしく説明できる。そして画面の外へ考えを持ちだせます。「くまさん、かなしかったね。このあいだ、かなしいときがあったよね」。おはなしを、気持ちや世界について育ちつつある子どもの理解に、織りこんでいけるのです。

いっしょに見ることは、親子の関係も強くします。子どもが大好きなものを、その子のやりかたで分かち合うのは、小さくても本物のつながりです。自分が好きなことを親も大事にしてくれている、と子どもは気づきます。それには大きな価値があります。

さりげなく関わるのがいちばん

いっしょに見るというのは、毎秒実況することでも、アニメを授業に変えることでもありません。それでは楽しさがなくなってしまいます。そこにいて、こたえること。出たり入ったりしながら、子どもについていくことです。自然な習慣をいくつか持つだけで、大きな違いがあります。

  • コメントしたり、いっしょに笑ったりできるくらい近くにすわる。
  • 「見て、赤いバスだね」と、指さして名前を言い、ことばを育てる。
  • 「次はどうなると思う?」と、答えの決まっていない問いかけをして、答えを待つ。
  • おはなしを、知っている人、気持ち、場所など、子どもの暮らしと結びつける。
  • 見たあとに話題にする。それだけで、見ることそのものと同じくらい役に立つことがよくある。

やさしく続ければ、画面の時間は、ひとりぼっちのものではなく、あたたかい、いっしょの時間に感じられます。

ひとりで見るのとは、何が違うのか

料理をしたい、仕事をしたい、ただ息をつきたい。子どもがひとりで見るときもあるでしょう。それは家族の暮らしのふつうの一部です。ひとりで見る画面は禁止、ということではなく、得られるものがずっと少ない、ということです。画面とふたりきりにされた小さな子は、あまり吸収せず、長すぎる受け身の視聴にずるずる入りこみやすく、見ることを学びに変える会話もありません。これを知っていると、いつそばにいるかを決めやすくなります。とくに、本当に何かを得てほしいと思う内容のときには。

いちばん小さな子といっしょに見ること

赤ちゃんや、おおむね1歳半より前の子については、画面の時間はごく少なく、家族とのビデオ通話はうれしい例外、というのが目安の考えかたです。ここでも原則は同じです。ビデオ通話がうまくいくのは、いっしょで、人とつながるもので、おじいちゃんおばあちゃんがその場でこたえてくれるからです。この年齢では、親がそこにいることはおまけではなく、画面を使うなら、それこそがほぼすべての意味なのです。

現実的に

全部をいっしょに見ることはできませんし、そうしようとしなくていいのです。目指すのは、画面の時間のうち、意味のある部分にそばにいること。全部ではありません。番組の一部をいっしょに見て、何度かコメントして、あとで話題にするだけでも、価値はぐっと上がります。親の関わりは、守りきらなければならないルールではなく、できるときに上げるつまみだと考えましょう。

もう少しよく見てみたいとき

画面の習慣が医療の心配になることはあまりありませんが、いっしょに見ていると、伝えておきたいことに気づける特等席にいることになります。いっしょに見ているあいだに、ことば、集中、人とのやりとりで気がかりな様子に気づいたら、あるいは画面だけが子どもを夢中にさせたり落ち着かせたりしているように見えたら、かかりつけの小児科医や地域の保健師に話してみましょう。早めの質問はよくあることで、たいていは安心につながります。

小さな子が画面を見るとき、いっしょに見ることが大切な理由は、わかってみればシンプルです。子どもは人を通して学ぶようにできていて、画面だけではそれができません。できるときはいっしょに見て、話し、問いかけ、内容を実際の暮らしと結びつける。そうすれば、スクリーンタイムは罪悪感を覚えるものから、子どもを本当に豊かにするものに変わり、そのなかで、親子の距離も少し近くなります。

ポイント: 親がとなりで見て、少し問いかけたりコメントしたりするだけで、同じ画面をひとりで見るよりずっと多くを学び、つながることができます。

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