幼児のスクリーンタイム、どのくらいからが多すぎる?
小さな子にとって、画面はどのくらいからが多すぎるのか。そう考えるのは、とてもまっとうなことです。多くの親が、画面について小さな罪悪感を抱えています。たいていはスマホを手にしながら。正直な答えを言えば、何分見たかより、その時間に何を見ているか、そばに誰がいるか、その時間が一日のなかの何と入れかわっているかのほうが大切です。
目安として示されていること
公衆衛生の機関が示しているのは、厳しいルールではなく大まかな目安です。世界保健機関(WHO)は、1歳未満はスクリーンタイムなし、2歳から4歳は1日およそ1時間まで、少なければ少ないほどよい、としています。米国小児科学会(AAP)も同じような考えで、生後18か月から24か月ごろまではビデオ通話以外の画面はほとんど避け、2歳から5歳は質のよいコンテンツを1日およそ1時間、としています。
これらの数字は目安で、合格か不合格かの線ではありません。長い移動の日に少し超えたからといって、それまでの子育てが台なしになるわけではありません。数字が示しているのは進む方向で、秒単位で従わなければならないストップウォッチではないのです。
分数は全体の一部にすぎない
同じ時間見ていても、体験はまったく違うことがあります。ひとりで、半分眠そうに、次々と短い動画をスクロールしている子。親といっしょにおはなしを見て、あとでその話をする子。ストップウォッチの数字は同じでも、中身の価値は違います。
画面が問題になるのは、おもに小さな子にいちばん必要なものを押しのけてしまうときです。体を動かすこと、睡眠、ゆっくりした遊び、会話、そして想像力に変わっていく退屈な時間。体をよく動かし、よく眠り、そこそこ食べ、まわりの人とつながっているなら、ほどほどのスクリーンタイムは健康な一日を決めてしまうものではなく、その一部におさまっています。
バランスがくずれてきたサイン
数字にとらわれるより、画面がその子にどう影響しているかを見てみましょう。次のような様子があれば、見直してみる価値があります。
- 画面を終えるたびに、ほぼ毎日、大泣きやかんしゃくになる。
- 起きたとたんに画面をほしがり、いつも交渉してくる。
- ごっこ遊び、お絵かき、外遊びの時間がいつのまにか減っている。
- 画面が、食事、近所への車移動、寝る前の時間にまで入りこんでいる。
- 寝つきが悪くなった、全体的にいらいらしやすくなった。
どれも、何かが壊れたという意味ではありません。今のリズムを、やさしく整えなおすといい、という合図です。
年齢によって変わること
おおむね1歳半より前の赤ちゃんには、役に立つ量はほぼゼロに近いと考えましょう。例外はおじいちゃんおばあちゃんとのビデオ通話で、人とつながる、いっしょの体験だからです。幼児には、ゆっくりでシンプルな内容を、少しだけ、いっしょに見るのがいちばん合っています。3歳から5歳になれば、短い番組やよくできたアプリを楽しめるようになります。できれば親がそばにいて、話しながら見られるとよいでしょう。小さな子は、どんな画面よりも親の顔と声からずっと多くを学びます。だからこそ、時間の長さについてのどんなルールより、いっしょに見ることのほうが大きな意味をもつのです。
わが家の上限を、現実的に決める
完璧な数字を追いかけるより、わが家のふつうの平日がどんな形かを決めてみましょう。多くの親にとっては、「どれくらい」だけでなく「いつ見るか」を決めるほうが楽です。たとえば、画面は外遊びのあと、食卓では見ない、寝るよりずっと前に終わり、と決めておく。その枠のなかで、短く、毎日だいたい同じ時間帯にしておくと、「あとでね」とあいまいにしておくより穏やかで、何度もねだられることも減ります。
だいたいの計画を、家族みんなが見える場所に書いておき、ほかの大人とも共有し、子どもの成長に合わせて変えていくつもりでいましょう。大切なのは正確さより、大人の対応がそろっていることです。
少し手助けがほしいとき
画面の習慣だけで医療の心配になることはあまりありませんが、次のような様子は、かかりつけの小児科医や地域の保健師に伝えておくとよいでしょう。ことばや人とのやりとりが遅れているように思える、睡眠がずっと乱れている、画面だけがつらい気持ちを落ち着かせる、減らそうとすると強い反応が長く続いて無理に感じる。こうした相談はよくあることで、早めに聞くのは失敗ではなく、強さです。
視野を広くもつ
今の子どもたちは、人の注意を引きつけるようにつくられた世界で育っています。アプリは、人に見つづけてもらうことが仕事のチームがつくっています。だから計画が必要なのは、親がだめだからではなく、現実を見ているからです。完璧ではなく、「まあまあ」を目指しましょう。
小さな子にとってスクリーンタイムがどのくらいから多すぎるのか、すっきりした一つの答えはなかなかありません。完璧な上限を探すことが、それ自体ストレスになることもあります。それより、睡眠、体を動かすこと、遊び、人とのつながりを守り、画面の時間はできるだけ短く、いっしょに見るようにして、細かな分数は実際の暮らしに合わせてゆるめていきましょう。
ポイント: いちばん健康的な上限は、完璧な分数ではありません。睡眠と体を動かすこととつながりを守り、できるだけいっしょに見ることです。