子どもの前でのスマホ、親が見せたい使いかた

子育てのなかで、ちょっと耳の痛い真実があります。子どもは、親の話を聞くよりも、親を見て、ずっと多くを学ぶということ。だから、自分のスマホはほとんど手から離れないのに、幼い子に「タブレットを置いて」と言えば、子どもはちゃんと気づいています。親が見本になるスマホの使いかたを考えるのは、罪悪感や完璧さのためではありません。親とスマホの関係そのものが、何が「ふつう」なのかを、子どもに静かに教えていると気づくためです。

子どもが読みとるのは、ルールより親の視線

画面の時間のルールがわかるずっと前から、子どもは親が自分を見てくれているかどうかに、とても敏感です。遊び、食事、いっしょの時間にスマホを手にしていると、赤ちゃんにさえ伝わる合図になります。今は、あの画面の中のほうが大事なんだ、と。端末に引っぱられて、つながりやことばを育てる、小さくてふつうのやりとりがとぎれとぎれになる、と言われることもあります。でもうれしいことに、逆もまた同じくらい強い力をもちます。スマホをしまって子どものほうを向けば、子どもはそれを感じとり、画面より人が先なんだと学びます。

完璧より、正直に

スマホに一切さわらない人になる必要はありません。現実的でもないし、必要もないうえ、ふりをすれば子どもにも伝わります。見本になるというのは、完璧であることではなく、意識して使うことです。スマホをよく使っていても、子どもにわかる形で使えばいいのです。決まった時間に、はっきりした理由で、いつのまにかずっと、ではなく。子どもは「メッセージを1つ返したら、あとはずっといっしょだよ」なら、ちゃんと受けとめられます。混乱するのは、体はそこにいるのに、心はいつもどこか別のところにいる親です。

スマホを置く時間を、いくつか

一日をまるごと変える必要はありません。スマホを置く時間をいくつか決めておくだけで、ほとんどの効果があります。

  • 食卓でのごはん。スマホはしまって、見えないところに。
  • 寝る前の時間。親の注意をまるごと子どもに。
  • 保育園や仕事から帰って再会した最初のひととき。何か確認する前に、まず子どもに「おかえり」を。
  • 床に座って遊ぶ時間。スマホは伏せてそばに置くのではなく、別の部屋に。

このうち1つか2つを、たいていの日に続けるだけで、人がいちばん先になる時間があることを、子どもは学んでいきます。

よい選択を、声に出して

子どもは習慣を、言葉で聞くことでも身につけます。スマホをしまうとき、声に出してみましょう。「ちゃんと遊びたいから、スマホは台所に置いてくるね」。見たいのをがまんしたときも、言葉にしてかまいません。見えない自分のコントロールが、子どもにも見える形になり、いつかまねできるものになります。スマホはわざと置くことができる。それこそが、子どもに育ってほしい力そのものです。

無意識に手がのびる瞬間に気づく

スマホを使うのは、決めて使うというより反射のことが多いものです。手持ちぶさたなときに手がのびる、通知が鳴るたびにちらりと見る。子どもはそのリズムを、大人ってそういうものだと吸収していきます。自分の無意識の手ののびに気づき、ときどき手をのばさないことを選ぶ。それは、退屈な瞬間や通知に、すぐこたえなくてもいいという大切なことを見せることになります。家族の時間はスマホを消音にする、別の部屋に置いておく、といった工夫で、反射がつかまえる物を減らせます。

うっかりしたら、やりなおす

間の悪いときにスマホに夢中になってしまうこともあるでしょう。人間ですし、毎日は忙しいのですから。それは見本として失格ということではなく、そのあとどうするかも学びの一部です。「ごめんね、スマホに夢中になっちゃった。もう大丈夫、ここにいるよ」。このひと言で、人はまちがえても戻ってこられること、画面がいつのまにか勝つわけではないことを、子どもに見せられます。やりなおしは、最初からうまくやるのと同じくらい多くを教えてくれます。

親の習慣が、子どもに受けつがれる

親は、スマホとどう暮らすかについての、子どもにとって最初の、そしていちばん長いお手本です。細かなルールが忘れられたずっとあとも、家の中の空気、つまりスマホが家族に仕えているのか、家族がスマホに仕えているのかが、子どもの感覚をつくります。見本になることはゆっくりで、積み重ねで、ほとんど目に見えません。それでも、どんなルールよりも大きな働きをしています。

自分のスマホ使いが手に負えないと感じたら

たいていの親にとっては、意識の持ちかたと小さな工夫の問題です。でも、自分のスマホ使いがやめられない、減らすのがむずかしい、気分や睡眠、子どもと向き合う力に影響していると感じるなら、それは真剣に受けとめる価値があり、かかりつけ医に話してみる価値もあります。恥ずかしいことではありません。こうした端末は手放しにくいようにつくられていますし、必要なら支えも受けられます。

親が見本になるスマホの使いかたを正直に考えることは、子どもの将来の画面との付き合いかたのために、親ができるいちばん力強いことの一つです。そしてそれは、子どもではなく親から始まります。スマホを置く時間をいくつか守り、自分の選択を声に出し、無意識に手がのびる瞬間に気づき、うっかりしたらあたたかくやりなおす。子どもはいつも見ています。親がスマホでしていることが、静かに、その子の「ふつう」になっていきます。

ポイント: 子どもは親のスマホの扱いかたをまねします。スマホを置く時間をいくつか守り、選択を声に出すことが、どんなルールより多くを教えます。

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