本当に続く「わが家のスマホルール」のつくりかた

画面の時間がこうだったらいいな、というイメージは、たいていの親がなんとなく持っています。そして、そのイメージの多くは、大変な午後にあっさり消えてしまいます。よい気持ちと毎日の現実のすきまを埋めるのが、家族のルールです。本当に続く「わが家のスマホルール」をつくるのは、厳しくすることではなく、落ち着いているときに一度だけ決めておくこと。そうすれば、毎日いちから画面の交渉をしなくてすみます。

よい気持ちより、決めたルール

「見すぎないように」というあいまいな気持ちは、子どもが大泣きして親もくたくたのときには、何の支えにもなりません。そういうときは、いちばん楽な道が勝ってしまいます。ルールが役に立つのは、決めることを大変な瞬間から、落ち着いた瞬間へと移してくれるからです。すでに決まっていれば、その場で気力をふりしぼるのではなく、決めたとおりにすればいいだけ。そのほうがずっと続けやすく、子どもにとっても対応が一貫します。

「何分」だけでなく「いつ」と「どこで」

いちばん役に立つルールは、細かな分数より、いつ、どこで画面を使うかに重きをおいています。そのほうが守りやすく、説明もしやすいからです。たとえば、画面は外遊びのあと、食事中は見ない、寝室には持ちこまない、寝るよりずっと前に終わり、と決めておく。その枠のなかで、短く、だいたい同じ時間帯に見るほうが、「あとでね」とあいまいにしておくより穏やかです。ストップウォッチではなく一日のなかの決まった場面に画面を結びつけると、子どもが覚えられるリズムが生まれます。

決めておきたいこと

ルールは長くなくていいのですが、大事なことを運まかせにしないために、いくつかの点は考えておきましょう。

  • 時間帯:一日のなかで、いつ画面を使い、いつ使わないか。
  • 場所:画面を使わない場所。たいていは食卓と寝室。
  • 内容:信頼できる番組やアプリをいくつかにしぼり、終わりのないおすすめの流れは見ない。
  • 設定:自動再生はオフ、子ども用モード、端末の使用時間の制限。
  • いっしょの時間:子どもをひとりにせず、いっしょに見るのはいつか。
  • 大人:親自身のスマホの使いかた。子どもがいちばんまねするところです。

こうした点にふれておくだけで、ふだんなら毎日の言い争いになる場面の多くを、そっと防げます。

命令ではなく、家族の約束に

上から言いわたされた命令は反発を生みやすく、みんなが少しずつ関わってつくったルールは長続きしやすいものです。年中さん、年長さんくらいになったら、今週見る2つの番組を選ばせたり、外遊びと番組のどちらを先にするかを決めさせたりと、少しだけ参加してもらうと、境界をゆずらずに「自分も決めた」という気持ちが育ちます。同じくらい大切なのが、パートナー、祖父母、シッターさんなど、子どもに関わるほかの大人とルールをそろえておくこと。部屋ごとに違うルールではなく、どこでも同じ期待に出会えるようにしましょう。

書いて、見えるところに

親の頭の中だけにあるルールは、忘れやすく、ゆるみやすいものです。冷蔵庫に数行はるだけでも、書いておくとルールは本物になり、家族みんなのものになります。小さな子には、絵で描いた一日の流れが同じ役割を果たします。外遊びが先で、短い番組はそのあと、と目で見てわかるように。壁にルールがあれば、「いま見ていい?」の答えはたいていそこに書いてあり、親の負担も交渉も減ります。

例外は、最初から決めておく

うまくいかないルールは、たいていきっちりしすぎたものです。実際の暮らしには、病気、旅行、大変な日、特別な日があるからです。よいルールは、自分の例外を最初から書いておきます。そうすれば、例外の日が「ルールが崩れた日」に感じられません。体調の悪い日や長い移動の日は別、ときどきの映画の夜はOK、と前もって決めておきましょう。柔軟さを計画に入れておけば、ゆるめた一日はただの「予定どおりの例外」で、全部がほどけていくきっかけにはなりません。

子どもの成長に合わせて見直す

わが家のルールは、石に刻んだ決まりではなく、育っていくものです。2歳に合うルールは5歳には合いませんし、ある季節にうまくいったことも、次の季節には少し変える必要があるかもしれません。ときどき見直して、うまくいっていることは残し、続けられないことは簡単にし、全部を一度に変えるのではなく1つずつ調整しましょう。少しずつ整えていくルールは続きます。完璧でも放りだされたルールは、誰の役にも立ちません。

相談したいとき

わが家のルールは、問題への対処ではなく、ふつうの子育ての道具です。それでも、家族の画面の使いかたを見なおしてみて、画面だけが子どもを落ち着かせる、睡眠や行動、発達が心配、減らそうとすると強い反応が出て無理に感じる、といったことに気づいたら、かかりつけの小児科医や地域の保健師に相談してみましょう。よくある相談で、話してほっとすることも多いものです。

本当に続くわが家のルールをつくる目的は、厳しい家庭にすることではなく、画面を穏やかで見通しのよいものにして、毎日が画面に振りまわされないようにすることです。いつ、どこでを先に決め、大事な点を押さえ、みんなでそろえ、書いておき、例外も計画し、子どもの変化に合わせて見直す。実際に守れるシンプルなルールのほうが、よい気持ちのままで終わる立派なルールより、ずっと家族の役に立ちます。

ポイント: ルールが役に立つのは、画面のことを落ち着いたときに決め、みんなでそろえておけるから。大変な日も、気力ではなくルールで乗りきれます。

AAP HealthyChildren, Family media plan

WHO, Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under five years of age