幼児に見せる動画やアプリの選びかた

ある程度の画面は今の家族の暮らしの一部だ、と受け入れると、考えるべきことは「どうやめさせるか」から「どうよくするか」へと変わります。小さな子に見せる動画やアプリを上手に選べば、見たり遊んだりする時間が、より穏やかで、やさしく、価値のあるものになります。それだけで、家の中のスクリーンタイムの空気がまるごと変わります。

中身の違いは思った以上に大きい

同じ30分でも、中身によって子どもへの影響はまったく違います。ゆっくりした穏やかな番組なら、見たあとリラックスしておしゃべりになる子が多いもの。速くて、音が大きく、目まぐるしく編集された内容だと、興奮して落ち着きにくくなり、終わったときにかんしゃくを起こしやすくなります。画面の大きさは同じでも、体験は同じではありません。最初に少し手間をかけて選ぶ価値があるのは、このためです。

ゆっくりしたテンポを選ぶ

小さな子によい内容かどうかを見分ける、いちばん確かな目じるしの一つがテンポです。ゆったり進み、小さな子が追えるくらい1つの場面を長く映し、はっきり話す番組は、数秒ごとに切りかわる短い動画より、育ちざかりの脳にずっと合っています。見ている親が少しせわしなく感じる番組は、幼い子にはたぶん刺激が強すぎます。

ゆっくりした内容は、いっしょに話しやすくもあります。指さしたり、名前を言ったり、「なんだろうね」とつぶやいたりする余裕があり、おはなしが先に走っていってしまわないからです。

暮らしにつながる内容を

小さな子向けのよいメディアは、子どもがすでに知っている世界とつながっています。家族、気持ち、動物、毎日の習慣、ちょっとした困りごととその解決。こうした内容は、子どもが自分の遊びに持ちこめることばや考えをくれます。やさしさを見せる、気持ちに名前をつける、登場人物がやってみて、失敗して、またやってみる。そんな番組は、楽しませながら、そっと教えてくれます。

再生ボタンを押す前のチェック

数分の確認で、あとの後悔がずっと減ります。新しい番組やアプリを考えるときは、次の点を見てみましょう。

  • テンポが穏やかで、おはなしが追いやすい。
  • ことばがはっきりしていて、テーマが年齢に合っている。
  • 何かを買わせようとせず、子ども向けの広告やアプリ内課金がない。
  • 自動で次へ流れず、きりよく終わる。
  • 見たあと、子どもが興奮ではなく落ち着いている。
  • 親がとなりで一部を見ていても、気持ちよく見られる。

いくつも当てはまらないなら、別の物を探してみる価値があります。探しはじめれば、穏やかでていねいにつくられた番組やアプリはたくさんあります。

自動再生のわなに気をつける

よい内容でも、見つづけさせるように設計されたおすすめの仕組みにのると、問題になることがあります。多くのサービスでは、1本の動画がそのまま次へと流れ、仕組みが注意を引きつけるものを追いかけるうちに、質はだんだん流されていきます。自動再生をオフにする、終わりのないおすすめではなく番組をまるごと選ぶ、アプリの子ども向けの場所を使う。そうすれば、せっかく選んだ内容が、仕組みの好みのものにすべっていくのを防げます。

信頼できる小さなライブラリーを

毎回いちから探すと、選ぶのに疲れて、最初に出てきた物になりがちです。信頼できる番組やアプリを、短いリストにしておきましょう。小さな子はくり返しが大好きなので、なじみのお気に入りがいくつかあることは制限ではなく、まさに子どもが楽しむものです。決まったリストがあれば、子どもを待たせながらその場で中身を確かめる必要もありません。基準がゆるみがちなのは、そういう瞬間です。

親が関わると、どんな内容も深まる

どんなにていねいに選んでも、質をいちばん高めてくれるのは親自身です。となりで見て、起きたことを話し、子どもの世界と結びつければ、受け身の視聴がいっしょの学びに変わります。毎分すわっている必要はありません。ときどきのぞいて、ひと言コメントし、あとで話題にするだけで、ふつうの番組もぐっと豊かになります。画面は親子のあいだの壁ではなく、会話のきっかけになります。

相談したいとき

番組選びは医療の問題ではありませんが、広い意味で気になる様子があれば、かかりつけの小児科医や地域の保健師に伝えておきましょう。画面のあとに目立って乱暴になる、こわがる、気持ちが乱れる。ことばや人との関わりの発達が遅れているように思える。画面が、落ち着かせたり時間をつぶしたりする唯一の確かな方法になっている。よくある心配なので、早めにみてもらうのはおおげさではなく、賢明なことです。

現実的に

いつもうまく選べるわけではありません。子どもがせがむのはせわしない番組のこともあるし、疲れて何も確かめられない日もあります。それで大丈夫です。目指すのは完璧なメディアの食事ではなく、子どもが見るもののたいていが、たいていの時間、穏やかでやさしい種類であることです。

小さな子に見せる動画やアプリを選ぶことは、番組をふるいにかけるだけでなく、家族のスクリーンタイムの感じかたそのものをつくることです。ゆっくりしたテンポ、暮らしにつながるテーマ、きりのよい終わりを選び、信頼できる小さなライブラリーをつくり、できるところで関わる。そうすれば、見せている画面の時間を、心から安心して見守れるようになります。

ポイント: よいスクリーンタイムは、ゆっくりでやさしく、広告のない内容を、いっしょに見ることから。おすすめまかせではなく、信頼できる小さなリストに。

AAP HealthyChildren, Healthy digital media use habits for babies, toddlers and preschoolers

UNICEF, Babies and screen time