食事中のテレビや動画、ながら食べをやめるには
はじまりは、たいてい「助け舟」です。子どもがまったく食べない、親はくたくた。だから番組をつけたら、急にスプーンが口に入った。うまくいったので、また次も。そして今では、タブレットが夕ごはんの一部になっている。食事中の画面をやめたいと思っているなら、まず、何もまちがったことはしていないと知ってください。大変な場面を乗りきったのです。そして今度は、別の場面を乗りきる番です。
画面のない食卓のほうがいい理由
食べることは、カロリーをとるだけのことではありません。おなかがすいた、いっぱいになったに気づくこと、新しい食感をためすこと、おしゃべりすること、家族の食卓の一員になること。それを学ぶ場所です。画面は、その学びの多くを静かに止めてしまいます。動画を見ながら食べている子は、自動運転のように食べ、「もういっぱい」という合図を見のがし、口に来たものをよく味わわずに飲みこんでしまいます。
画面のない食事は、会話も弾みやすくなります。タブレットがなければ、子どもは家族の話を聞き、親の食べかたを見て、食卓を囲む小さなリズムを身につけます。そうした時間が積み重なって、ことば、つながり、そして食べものとのよりよい関係になっていきます。
画面が何をしてくれていたのか
画面をなくす前に、それがどんな役目を果たしているのか、正直に考えてみましょう。じっとしていられない幼い子を、食べ終わるまでいすにすわらせておくため?野菜を食べさせる唯一の方法?親が自分のごはんを食べる静かな時間を手に入れるため?本当の理由がわかれば、何を代わりに用意すればいいかがわかります。手だてなしに画面をなくすと、もとの問題がもっと大きくなって戻ってくることが多いからです。
一晩でなく、少しずつ
毎食いきなり禁止にすると、大げんかになりがちです。少しずつ減らすほうがやさしいやりかたです。まずはいちばんやりやすい食事、多くの場合は朝ごはんか週末のお昼から始めて、その1回を画面なしにします。子どもがその食事にはタブレットがないと思うようになったら、次の食事へ、またその次へと広げていきます。一つのステップがふつうになってから、次へ進みます。
変えることは、ごはんが出てきたときではなく、前もって落ち着いて伝えましょう。「これからは夕ごはんのとき、タブレットはおやすみして、みんなで食べようね」。家のあたりまえとしてシンプルに伝えると、お皿の前での交渉より、ずっと受けとめてもらいやすくなります。
食事の時間そのものを楽しく
画面のいちばんの代わりは、親の関心です。動画ではない何か楽しいことが起きていると、子どもは食卓でずっと落ち着いていられます。こんなことが役に立ちます。
- 子どものまわりで立ち働くのではなく、すわっていっしょに食べ、食事を「いっしょの時間」にする。
- 量は少なめにして、お皿を見ただけでうんざりしないようにする。
- テーブルをふく、水をつぐ、コップを選ぶなど、手伝ってもらって一員だと感じられるようにする。
- 食事は短めにし、食べ終わったら席を立っていいことにする。動画がないとすわっていられないほど長く引きとめない。
- 「今日の公園で、いちばん楽しかったのはなに?」と、食べることへのプレッシャーではなく、やさしい会話を。
楽しく、プレッシャーの少ない食事なら、画面がなくてもちゃんと成り立ちます。
でこぼこの時期を覚悟して
画面なしの最初の数回は、食べる量が減ったり、もぞもぞしたり、いやがったりするかもしれません。それは慣れるための過程で、失敗のしるしではありません。見ながらならよく食べていた子は、はじめは少し食べる量が減るかもしれません。自動運転で食べるのは楽で、味わって食べるのは一つの力だからです。食欲は1回の食事ではなく、何日かで調整されると信じましょう。親がぶれずに、あたたかい雰囲気を保てば、たいていの子は1〜2週間で落ち着きます。
偏食は、別のこととして
画面が入りこんだおもな理由が偏食なら、タブレットに解決させようとせず、それはそれで別の取り組みにしましょう。新しい食べものは食べなれた物といっしょに出し、食べないときの反応は淡々と。子どもが新しい味を受け入れていくのを助けるのは、プレッシャーや気をそらすことではなく、穏やかにくり返しふれることです。画面は偏食をかくしますが、解決はしません。
相談したいとき
画面なしの食事は、たいていただの習慣の切りかえですが、いくつかのことは、かかりつけの小児科医や地域の保健師に相談しておきましょう。えずく、のどにつまらせる、多くの食感をとてもいやがる。気をそらしているときしか本当に食べず、毎日の食事が大変。体重が減っている、成長曲線のパーセンタイルの線を下に横切っていく。食べることが家族に大きなストレスになっている。よくある心配で、実際的な助けが受けられます。
視野を広く
完璧である必要はありません。大変な日のレストランや、病気のときに画面を使っても、家で積み重ねたパターンは崩れません。目標は、ふだんの家族の食卓が、たいていの時間、ごはんと画面ではなく、ごはんとおしゃべりの場所であることです。
食事中の画面をやめるのは、いちばん報われる変化の一つです。食事が本来もっているものを、取りもどせるからです。ゆっくり進め、画面を親の関心に置きかえ、最初のぐらぐらした1週間を乗りきれば、夕ごはんは前より穏やかで、おしゃべりが増え、心もおなかも満たされる時間になっていくはずです。
ポイント: 画面なしの食卓は、1回の食事ずつ取りもどしましょう。タブレットの代わりに置くのは、「じっとすわって」という要求ではなく、親の関心です。
WHO, To grow up healthy, children need to sit less and play more