動画から遊びへ、泣かずに切りかえるコツ

多くの家庭では、画面そのものより、消す瞬間が問題です。さっきまで落ち着いて夢中になっていた子が、次の瞬間には世界の終わりのように泣きさけぶ。画面から遊びへスムーズに切りかえる力は、育てる価値のある力です。画面をめぐるもめごとのほとんどが起きる、まさにその場所、「消す瞬間」に効くからです。

消す瞬間がむずかしい理由

画面から離れるのは、小さな子にとって本当にむずかしいことです。とても夢中になれる楽しいことから、誰かの都合で離れ、もっとゆっくりしたことに注意を切りかえなければならないのですから。画面は、ある状態をつくるのがとても得意で、その状態から抜けだすのをとてもいやがらせます。そのうえ多くの番組やおすすめの流れには、自然な区切りがないようにつくられています。着地が荒れるのは当然です。かんしゃくは反抗ではありません。脳がまだ準備できていない急な変化に、小さな人ががんばって向き合っている姿なのです。

消す前に予告を

いちばん効く習慣は、前もっての予告です。何の前ぶれもなく「はい、消すよ」と言えば、ガクンと衝撃が走ります。そうではなく、終わりが来る前に知らせましょう。「このお話が終わったら消して、電車のレールをつなげようね」。子どもの心が、不意打ちではなく、切りかえの準備をする時間をもてます。目で見えるタイマーでも、どの番組が最後かを伝えるだけでもかまいません。終わりが予測できるものになるからです。

次に向かう先を用意する

向こう側に楽しそうな何かがあると、切りかえはぐっと楽になります。画面を消して何もない、ではただ失うだけで、子どもは失うことに抵抗します。画面を消して、おやつ、お風呂、親とのゲーム、好きなお手伝いへ、なら交換になり、ずっと受け入れやすくなります。コツは、次のことを用意しておき、ちょっと魅力的にしておくこと。画面を取りあげるだけでなく、遊びに誘うのです。

寄りそって、着地をやわらかく

画面のあとの子どもは、少しぼんやりして、気持ちが整っていない状態です。現実の世界に戻ってくるのを、親が手伝う必要があることもよくあります。数分のあたたかく穏やかなつながりが、そのすきまをつないでくれます。

  • 消したら、その場を離れず、少しのあいだいっしょにすわる。
  • すぐに動きだすことを求める前に、だっこやおひざを。
  • 次の遊びを、最初の数分はいっしょに始める。
  • 親の声のトーンは、穏やかに、ゆったりと。子どもは親の状態を借りるからです。

このやさしい受けわたしで、かんしゃくそのものが起きずにすむことも多いものです。楽しいところから、急にひとりぼっちに落とされたと感じずにすむからです。

遊びに入りやすくしておく

画面から離れたがらないのは、代わりのことが面倒に感じたり、何もないように感じたりするからのこともあります。遊びを用意して受けとめれば、そのハードルを下げられます。積み木を少し、ねんど、小さな人形の箱など、かんたんなセットを出しておけば、手がすぐにやることを見つけられます。手のこんだ遊びはいりません。画面と遊びのあいだのすきまを、ぐらつかずにまたげるくらい短くする、入りやすい入り口があればいいのです。

大事なのは最初の10分です。親がいっしょに遊びを始めれば、退屈はたいてい本当の夢中に変わり、画面のことは忘れてしまいます。親が必要なのは始めるところで、1時間まるごとではありません。

流れを予測できるものに

切りかえは、なじみのある形をなぞると楽になります。画面の時間がいつも、たとえば外遊びやお昼ごはんの前にあれば、子どもはその流れを覚え、消す瞬間は不意打ちの交渉ではなくなります。予測できることが、気持ちの面の多くの仕事を引きうけてくれます。終わりが毎回いきなり持ちだされるのではなく、一日の流れに組みこまれているからです。自動再生をオフにしておくと、画面が自然に止まり、次へ移るきっかけが手に入るので、これも助けになります。

練習が必要だと知っておく

これは子どもが身につけていく途中の力で、力の育ちかたにはむらがあります。疲れ、空腹、刺激の多さによって、スムーズな日もあれば、そうでない日もあります。荒れた切りかえは、やりかたが失敗しているしるしではなく、子どもが人間であるしるしです。ぶれずに続ければ、うまくいく日がだんだん大変な日を上回っていきます。

相談したいとき

画面から離れにくいのはふつうのことです。でも、いろいろな場面で反応が極端で、長く続き、なかなか落ち着かない、画面だけが子どもを落ち着かせたり夢中にさせたりしているように見える、行動や気分、発達について広い意味で心配がある。そんなときは、かかりつけの小児科医や地域の保健師に、気軽にひと言相談してみましょう。よくある相談で、話すとほっとすることも多いものです。

画面から遊びへの切りかえが上手になるというのは、全部を作りなおすことではなく、むずかしい一つの瞬間をなめらかにすることです。前もって予告し、次に向かう先を用意し、少しのつながりですきまをつなぎ、遊びに入りやすくしておく。これを続けていけば、おそれていた「消す瞬間」は、少しずつ、子どもの一日のなかのふつうの切りかえの一つになっていきます。

ポイント: かんしゃくが起きるのは、消す瞬間。前もって予告し、次の楽しみを用意して、数分のあたたかいつながりで、すきまをつなぎましょう。

WHO, Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under five years of age

UNICEF, Babies and screen time