毎日のバトルなしで、子どものスクリーンタイムを減らす

画面をめぐってもめるのは、子どもがむずかしい子だからではありません。楽しいことを、急に、しかも誰かの都合でやめるのは、何歳でもいやなものだからです。毎日のバトルなしでスクリーンタイムを減らしたいなら、コツは、毎日の午後に同じ言い争いで勝つことではなく、画面のまわりの仕組みを変えて、むずかしい瞬間そのものを減らすことです。

量より先に、終わりかたを

もめごとのほとんどは、画面を消す瞬間に起こります。だから全体の量を減らす前に、終わりかたを予測できるものにしましょう。最後に何を見るかを前もって決めておきます。あと1話、このステージまで、この歌まで。画面が消えるときではなく、始めるときにはっきり伝えます。始めから終わりがわかっていれば、子どもは不意打ちされるのではなく、心の準備ができます。

短い予告も役に立ちます。「あと2分で消して、おやつにしようね」。やさしいひと言が、小さな脳に切りかえる時間をくれます。終わりのあとに向かう先、たとえばおやつ、お風呂、絵本をつなげると、「失う」ことが「次に移る」ことに変わります。

取りあげるだけでなく、置きかえる

何もない午後は、またタブレットをねだるきっかけになります。画面をなくすときは、空いたところに何かを入れましょう。手のこんだものでなくてかまいません。洗面器に水を張る、段ボール箱、セロハンテープと古い雑誌、手紙をポストに出しに行く散歩。いったん夢中になれば、どれも意外なほど画面に負けません。

むずかしいのは最初の10分です。子どもは退屈して、なじみのものに手をのばそうとするからです。親がそばにいて、いっしょに遊びを始められれば、退屈はたいてい何かに変わっていきます。親が必要なのは始めるところで、1時間まるごとではありません。

いっぺんにではなく、少しずつ

いきなりゼロにすると、ほぼまちがいなくけんかになります。今、画面が一日のあちこちに入りこんでいるなら、1か所ずつ減らしましょう。まずは食事中の画面、次に近所への車移動、その次にお風呂前の時間。一つの変化が新しい「ふつう」になってから、次に手をつけます。

子どもは、急に何もなくなるより、少し量が減るほうをずっと受け入れやすいものです。画面を禁止するのではなく、画面の居場所を静かに決めなおしているのです。

ルールは親ではなく、一日の流れのものに

制限がいつもその場で親の口から出てくると、バトルは個人的なものになります。親対子どもの構図です。決める力を、親から一日の流れへと移しましょう。「画面は夕ごはんのあと」「タブレットは週末まで引き出しでおやすみ」。そうすれば境界は、その場で守らなければならない新しい判断ではなく、家のあたりまえになります。

絵で描いたかんたんな一日の流れが、この役目の多くを担ってくれます。外遊びが先で、短い番組はそのあと、と小さな子にも目で見てわかれば、「いま見ていい?」の答えは交渉のなかではなく、もう壁にあります。

いったん「ひどくなる」のは想定内

制限をきびしくした最初は、ねだるのが、よくなる前にひどくなることがよくあります。これはふつうのことです。前はうまくいった行動は、うまくいかなくなると、もっとがんばるものだからです。数日、あたたかく、ぶれずに続ければ、その波は過ぎていきます。途中で折れると、十分に押せばうまくいくと教えてしまい、次の波が長くなります。

完璧な説得より、穏やかなくり返しです。「そうだよね、すごく見たいよね。いまは画面の時間じゃないよ。こっちに来て、手伝って」。やさしく、同じように、たいていの日に言いつづければ、だんだん力が抜けていきます。

親のことも計画に入れる

画面が親の命綱になっているのには、ちゃんとした理由があります。料理をしたい、仕事をしたい、休みたい、大変な場面を乗りきりたい。そうした時間の手だてなしに画面を減らしても、ストレスが親に移るだけです。本当に頼っている画面の時間はどこかを正直に見きわめ、そのうちのいくつかは罪悪感なしに残して、ほかを減らしましょう。水曜日にはくずれてしまう大胆な禁止より、続けられる少なめの量のほうがずっといいのです。

バトルが画面だけの問題ではないとき

激しい反応の下に、何かがあることもあります。強い気持ちを落ち着かせる方法が画面しかないように見える、減らすと、なかなかおさまらない苦しさが出てくる、気分や睡眠、発達が広い意味で心配。こうしたときは、かかりつけの小児科医や地域の保健師に話してみましょう。ふつうの意志の強い時期なのか、もっと支えが必要なことなのかを見分ける手助けをしてくれます。相談は子育てのふつうの一部で、失敗のしるしではありません。

長い目で

いつも完璧にぶれずにいることはできませんし、その必要もありません。暮らしが大変で、画面が長くついている日もあるでしょう。それで大丈夫です。目指すのはしみ一つない記録ではなく、全体としてやさしくなっていくパターンです。

毎日のバトルなしでスクリーンタイムを減らすには、終わりかたを予測できるものにし、空いた時間を本物の何かで埋め、親の気力ではなく一日の流れにルールを担ってもらうのがいちばんです。それを地道に続ければ、毎日のにらみ合いは静かに消えていきます。子どもが画面を好きでなくなったからではなく、画面を消すことが、もう不意打ちではなくなったからです。

ポイント: バトルが減るのは、同じ言い争いに毎日勝つからではなく、終わりが予測できて、次に向かう先があるからです。

NHS, Physical activity guidelines for children under 5

AAP HealthyChildren, Healthy digital media use habits for babies, toddlers and preschoolers