知育アプリと動画、幼児にはどう違う?親が見ておきたいこと

広告を見ていると、ある画面は小さな天才を育て、ほかの画面は頭をだめにする、と言われているような気がしてきます。実際はもっと複雑です。知育アプリと動画を比べるときに見るべきなのは、アプリストアの「知育」のラベルだけではありません。中身がどう働くか、子どもがどう使うか、そして一日のなかにわざわざ入れる価値があるかどうかです。

「知育」とはどういうことか

知育をうたうアプリが、小さな子にとって自動的によいわけではなく、動画が自動的に悪いわけでもありません。大切なのは、その体験が能動的か受け身か、そして小さな子が本当に学ぶやりかた、つまり自分でやってみる、こたえる、人とつながる、に合っているかどうかです。

本当に役に立つアプリは、子どもに何かを求めます。選ぶのを待ち、子どものしたことにこたえ、名前を言う、分ける、組み立てる、解くといったことをうながします。受け身の動画は、ただ子どもに向かって流れるだけ。子どもは見ていますが、何も求められないので、学びの価値はぐっと下がります。いちばんわかりやすい問いは「これは知育か」ではなく、「うちの子は参加者か、それとも観客か」です。

よく選んだアプリのよいところ

よくできた双方向のコンテンツには、幼児にとって本当によいところがあります。お絵かきアプリなら自分で何かを生みだせます。シンプルなパズルアプリは、手ごたえと「できた」という小さな感覚をくれます。よくできた絵本アプリなら、タップしたり、次を予想したり、ことばをくり返したりできます。こうした体験は受け身の視聴より遊びに近く、子どもは学んだことを画面の外の世界に持ちだすこともよくあります。

とはいえ、どんなによいアプリも魔法ではありません。小さな子は、ことばや物の考えかたを、本物の物、本物の人、手を使った本物の遊びから、ずっと力強く学びます。アプリはそうしたものをおぎなうもので、代わりにはなりません。

受け身の動画で気になること

受け身の動画がいつのまにか定番になるのは、誰にとっても手間がかからないからです。子どもは確実に夢中になり、疲れた親に何も求めません。心配なのは、お気に入りの番組そのものが害になることではありません。受け身の視聴、とくに自動で次々と流れる長い視聴が、小さな子に必要な能動的な体験を押しのけてしまい、返ってくるものが少ないことです。

つくりの問題もあります。多くの動画サービスは、見つづけてもらうように設計されていて、1本の動画が次の動画へと流れていきます。短い番組のつもりが終わりのない流れになり、受け身の時間は、与えた分だけふくらんでいきます。

どちらでも見ておきたいポイント

画面を「よい物」「悪い物」に仕分けるより、一つひとつを次のような点で見てみましょう。

  • 子どもにこたえてくれるか、それともただ流れるだけか。
  • 小さな子がついていける落ち着いたテンポか、せわしなく刺激が強すぎないか。
  • きりよく終わるか、次の動画へと終わりなく続くか。
  • 子ども向けのしつこい広告や、アプリ内課金がないか。
  • 見たあとに、子どもが何かをするか。話す、まねして遊ぶ、何かをつくる。

こうした点で合格するアプリや動画は、知育のバッジをつけているだけの物より、ずっと価値があります。

親がそばにいると価値が変わる

多くの親が驚くのがこの点です。子どもが何を見るかより、親がそこにいっしょにいるかどうかのほうが大切なのです。となりにすわって、起きていることを言葉にし、問いかけ、実際の暮らしと結びつければ、ごくふつうの番組でもいっしょに学ぶ体験になります。小さな子をひとりで画面の前に置けば、どんなに賢いアプリでも、作り手が言うほどの効果はありません。

ですから、完璧な知育アプリを探しつづける必要はありません。できるときはいっしょに見て、見たことについて話し、画面を子守り役ではなく、会話のきっかけとして使いましょう。

どちらにしても、量はほどほどに

どんなによい双方向のアプリでも、スクリーンタイムであることに変わりはありません。世界保健機関(WHO)や米国小児科学会(AAP)などが示す1日の目安は、アプリが知育だからといって変わるわけではありません。いっしょに見て話題にする少しのよいコンテンツなら、体を動かし、遊び、休む一日のなかに無理なくおさまります。どんなに賢い物でも、量が多くなれば、そうした時間を押しのけはじめます。

小さな赤ちゃんについて

おおむね1歳半より前の子には、アプリか動画かという議論はあまり意味がありません。どちらも、実際のやりとりに比べればずっと小さな存在だからです。例外は、家族とのビデオ通話。受け身ではなく、人とつながる、いっしょの体験だからです。この年齢では、親の顔と声こそが最高の知育です。

相談したいとき

画面の選びかたが医療の問題になることはあまりありません。それでも、ことばや人とのやりとりがゆっくりに思える、画面が気持ちを落ち着けたり時間をつぶしたりするおもな手段になっている、減らすと手に負えないほどいやがる、といったときは、かかりつけの小児科医や地域の保健師に相談してみましょう。早めの相談はよくあることで、ほっとすることも多いものです。

知育アプリと動画をどう考えるかは、シンプルな見かたの切りかえに行きつきます。子どもが参加できるコンテンツを選び、できるだけいっしょに見て、全体の量はほどほどに。そして、どんなにうまくつくられた画面も、親子のあいだで、実際の世界で起きる学びにはかなわないことを覚えておきましょう。

ポイント: ただ見るだけの画面より、子どもが参加できる画面を。そして、どんな知育のラベルより、親がそばにいることが価値を生みます。

AAP HealthyChildren, Media and children

WHO, Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under five years of age