スマホを取りあげると泣く子どもに、どう向き合う?
スーパーのレジの列で、友だちの家で、やっと腰をおろした瞬間に、子どもがスマホを求めて泣きだす。これほど親の神経をすりへらすものは、なかなかありません。泣き声は大きく、突然で、まるで当然もらえるはずのものを取りあげられたかのように、なぜか親に向けられたものに感じます。なぜそうなるのかがわかると、折れることも、カッとなることもなく、ずっとこたえやすくなります。
涙がこんなに大きい理由
スマホは、すばらしく感じられるようにつくられています。明るくて、速くて、いつまでも変わりつづける。木の電車にはとてもまねできないやりかたで、脳のごほうびの仕組みを光らせます。がっかりする気持ちをまだ扱えない小さな子にとって、その刺激を失うのは本当に圧倒されることです。泣くのはかけひきではありません。抱えかたを知らない強い気持ちに、小さな神経があふれている姿です。
しかも、スマホは一日じゅう親の手の中にあります。家でいちばんおもしろい物が、何度もポケットの中に消えていくのを、子どもは見ているのです。欲しくなるのはまったく理にかなっています。親の仕事は、欲しい気持ちを消すことではなく、もらえなくても乗りこえられるように助けることです。
その瞬間は、どっしりと
泣きはじめたとき、その場でいちばん役に立つ道具は、親の落ち着きです。子どもの目の高さまでかがみ、声を低くして、起きていることを言葉にしましょう。「スマホ、すごく使いたかったね。でも今は使わないよ。つらいよね」。答えは変えずに、わかっているよと伝えられます。子どもは親の落ち着きを借ります。親が落ち着いていれば、最初のにぎやかな1分にはそう思えなくても、子どもは早く落ち着いていきます。
大泣きの最中に長い説明はしないこと。泣いている幼い子は、理屈を追えません。少ない言葉、あたたかい顔、ゆるがない制限のほうが、どんな上手な説得よりも効きます。
泣いたら答えが変わる、にしない
ここが、その先のすべてを形づくるところです。十分に泣くとときどきスマホが出てくるなら、子どもはごく理にかなって、泣けばスマホがもらえると学びます。次の抗議は、前回うまくいったぶん、もっと長く、もっと大きくなるでしょう。泣きはじめる前に答えを決めておき、それをやさしく守ること。それが、この先の場面を短くしてくれます。
線を守るというのは、冷たくすることではありません。気持ちにはどこまでもあたたかく、スマホについてははっきりと。「ここにいるよ。わかるよ。スマホは今はおしまい」。やさしくくり返せば、大きな気持ちは安全なものだということ、そして制限は本物だということが伝わります。
前もって、きっかけを減らす
この勝負の多くは、泣きはじめる前に決まっています。いくつかの習慣で、熱を下げられます。
- 食事、遊び、寝る前の時間は、親のスマホも見えないところに置いて、いつもの誘惑にしない。
- 画面をいつ使うのか、はっきり予測できる答えを決めておき、スマホが一日じゅうの「どうしよう」にならないようにする。
- おやつ、小さなおもちゃ、シールブックなど、むずかしい場面のための気分転換をいくつか持ち歩き、レジの列でスマホだけが手段にならないようにする。
- おなかがすいた、眠い、刺激が多すぎる、といったがまんの力がいちばん小さい時間帯に気づき、そのときにスマホのバトルを始めない。
目指すのは、スマホがすべての分かれ目になる場面を減らすことです。
その下にある力を育てる
子どもがスマホを求めて泣き、親が折れずにそれを乗りこえる手助けをするたび、画面のルールより大きなことを教えています。がっかりしても乗りこえられること、「だめ」が愛情といっしょに来ることもあること、気持ちは過ぎていくこと。これが気持ちを整える力で、たった一度の完璧なこたえではなく、こうしたふつうの場面を何百回も重ねて育っていきます。
落ち着いたら、短くだっこして「大変だったね。がんばったね」とひと言。それで締めくくれます。お説教はいりません。学びは、いっしょに乗りこえたことの中にあります。
もう少しよく見てみたいとき
スマホをめぐって泣くのは、たいていは幼い子らしい激しさで、ことばや自分をコントロールする力が育つにつれて落ち着いていきます。次のようなときは、かかりつけの小児科医や地域の保健師に気軽に相談してみましょう。子どもを落ち着かせられるのが画面だけ、いろいろな場面で苦しみかたが極端でなかなかおさまらない、ことば、睡眠、全体の発達が心配。聞いてみるのはおおげさではなく賢明なことで、たいていはシンプルな安心につながります。
自分にもやさしく
とくに疲れているとき、人前で見られている気がするときに、毎回落ち着いてこたえることはできません。それが人間です。一度ぐらついても、積み重ねたパターンは崩れません。長い目で見て子どもに必要なのは、一度もまちがえない親ではなく、たいていどっしりして、たいてい一貫している親です。
子どもがスマホを求めて泣くとき、その声の大きさは、子育てのまずさではなく、画面がどれほど気持ちいいかを表していると思いだしてください。あたたかく、答えはゆるがず、できるところできっかけを減らし、一つひとつを、がっかりに向き合う小さな練習として扱う。そうしていけば、泣くことは少しずつ小さくなり、子どもは、もう数分スクロールすることより、ずっと価値のあるものを手に入れます。
ポイント: 答えはゆるがず、あたたかさはたっぷりと。涙で曲がらない制限こそが、涙を少しずつ短くしていきます。