ごっこ遊びで育つ力と、大人の加わりかた

ごっこ遊びに加わるときは「子どもが決めた役にしたがう」ことから。小さな子が学ぶのは、探って、くり返して、体を動かして、想像して、困りごとを解く、そんな体験を、こたえてくれる人といっしょに重ねるなかでです。大人がととのえるのは時間と安全と小道具。おはなしをつくるのは子どもです。

ごっこ遊びで育つもの

ごっこ遊びでは、ひとつの物や動きで別のものを表したり、役になりきったり、おはなしを組みたてたりします。ことば、しなやかな考え、気持ちを表す力を支えてくれますが、大人がひとつひとつの場面に隠れたメッセージを読みとる必要はありません。

加わりかた

まずは見て、子どもがわりあててくれた役を受けとり、取ってかわらずに思いつきをひとつだけ足しましょう。ぬいぐるみにごはんをあげるようなシンプルな流れが、手のこんだおはなしの前にやってきます。心配があるときは、ごっこ遊びだけでなく、ことばや発達全体のなかで考えます。

まずは、よく見ることから

どんな役やテーマを選ぶか、どう始めるか、どこまで続けるか、展開を変えるか、助けを求めるか、どう伝えるか。年齢、ことば、なれ具合で、おはなしの長さは大きくちがいます。最後のステップ「くり返すテーマに好奇心をもって気づく」は、次につなげるためのもの。一回の遊びだけで発達を判断しないことが大切です。

ごっこ遊びへの4つの加わりかた

  • 子どもが決めた役にしたがう。
  • 思いつきは、ひとつずつ足す。
  • ふだんの安全な物を小道具に。
  • くり返すテーマに、好奇心をもって気づく。

台本のある劇ではなく、誘いをひとつ。「お客さんね」と言われたらお客さんになり、思いつきは「おなかぺこぺこです」とひとつだけ。子どもが展開を考えるのを待ち、ちがう方向へ進んでも受けとめ、楽しいうちに終えましょう。

加わりかたのつながり

役にしたがい、ひとつずつ足し、空き箱やタオル、なべやおたまを小道具にして、何度も出てくるお医者さんごっこやお店やさんごっこのようなテーマに、そっと気づいておく。展開をむずかしくする前に、子どもの次の思いつきを待ちましょう。

大人どうしで合わせること

祖父母やサポーターとは、「子どもが決めた役にしたがう」「ひとつずつ足す」のふたつをそろえておけば、子どもはだれとでもおはなしを楽しめます。演じかたはそれぞれの持ち味でかまいません。

何回か遊んでから

とくに盛りあがった日や、のってこなかった日だけで判断せず、ふつうの日に何度か加わってみましょう。どんな役やテーマだったかを、軽くメモする程度に。

見なおすときは「くり返すテーマ」に何か気づいたかとくらべます。楽しめた加わりかたは残し、続けられないことはシンプルに、変えるのはひとつずつ。ことばや発達に心配があるときは、まず専門家に相談しましょう。

決めるのは大人?子ども?

思いつきを足すとき、大人が決められるのは、時間、安全、小道具、そして自分がちゃんとこたえているかどうか。子どものおはなしの中身や、どのくらい続くかは決められません。役をことわられる、同じ場面ばかり、急な展開、を受けいれる余地を残し、手を出すのは危険があるときか、受けとめきれないほどのイライラがあるときだけに。

安全のために

窒息、アレルギー、水、転落、ひも、毒性の危険を、その子と実際の小道具で確かめましょう。台所の物や布など家の物がおもちゃより安全とはかぎらず、とくにひもやベルトは首にかけないように。テーマに気づくときも、見守りを注意の連続にしないことが大切です。物を危ないかたちで口に入れたり、息や肌に異変が出たりしたら、その場ですぐ中止しましょう。

うまくいかなくなるとき

大人がおはなしの「正しい」展開をつくる、凝った衣装やセットを買いそろえる、子どもが考える前に助ける、一回のごっこ遊びを発達のテストにする。こうなると、想像の世界はしぼんでしまいます。

変化に気づくには

新しい展開を考える、見立てがしなやかになる、だれかを遊びに誘う、思いどおりにいかなくても続けられる、前のおはなしの続きをしたがる。そんな姿が育ちのしるしです。同じ場面のくり返しにも意味があります。

専門家に聞いてみたいとき

遊ぶ力がなかなか伸びない、一度できたことが消えてしまった、探ることや、親と同じものに注意を向けることがほとんどない、身近な物をふつうに使えない、理解、動き、問題解決のむずかしさが暮らしに響いている。そう感じたら、かかりつけの小児科医や地域の保健師さん、発達の専門家に声をかけてみましょう。いくつかの場面の具体的な様子を伝えると役立ちます。

ごっこ遊びで大切なこと

めざすのは、上手に演じる子でも、完ぺきな遊びでもありません。子どもが決めた役にしたがうところから始め、つながりと安全を守り、長い目で見まもりましょう。記事で答えきれないことは、その子に合わせた専門家の見立てを頼りにしてください。

ポイント: まずは「子どもが決めた役にしたがう」。毎日の暮らしにはまる形にし、変化に目を向けましょう。

American Academy of Pediatrics, The power of play

WHO, Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under five