大人がリードする遊び、子どもがリードする遊び
まずは「つながりのためには、子どもがリードする時間を選ぶ」ことから考えてみましょう。小さな子は、探る、くり返す、動く、想像する、困りごとを解く、という体験を、こたえてくれる人と重ねながら学びます。大人がととのえるのは時間と安全と物。遊びの中身を考えるのは、どちらのリードでも、たいてい子ども自身です。
ふたつのちがい
子どもがリードする遊びでは、子どもが本当に自分で決められ、大人はその子の興味や工夫を見ることができます。大人がリードする遊びでは、安全のこと、新しい体の動き、家族で楽しむゲームを紹介できます。どちらかがどちらかに取ってかわる必要はありません。
使い分けかた
今どちらの遊びをしているのかをはっきりさせ、きっちり決めたレッスンを「自由遊び」と呼ばないようにしましょう。子どもについていく時間を多めにし、大人の思いつきは軽くそえる程度に。いやがったり、物をちがう使いかたにしたりしたら、それを次の誘いかたのヒントにします。
始める前の観察
どちらの遊びで生き生きするか、どう始めるか、どこまで続けるか、やりかたを変えるか、助けを求めるか、思いをどう伝えるか。年齢、ことば、気質、眠り、なれ具合で、向き不向きは変わります。最後のステップ「興味が落ちたら役を交代する」は、次につなげるためのもの。一回の遊びで発達を判定しないようにしましょう。
使い分けの4つのヒント
- つながりのためには、子どもがリードする時間を。
- 特定の力を育てたいときは、大人がリードするゲームを。
- 安全の線は、はっきり伝える。
- 興味が落ちたら、役を交代する。
大人がリードするときも、隠れた正解のある授業にはしないこと。ふだんは子どもがリードし、ボールのけりかたなど特定のことは大人のゲームで。子どもが試す時間を待ち、ヒントはいちばん小さく。ちがう方向に進んでも受けとめ、楽しいうちに終えましょう。
ヒントのつながり
子どもがリードする時間でつながり、必要なときは大人のゲームで新しいことを紹介し、どちらでも安全の線はゆずらず、どちらかが飽きてきたら役をかえる。見本を見せたりむずかしくしたりする前に、子どもの次の思いつきを待ちましょう。
家族で話しておくこと
育児パートナーや祖父母とは、「子どもがリードする時間をとる」「大人のゲームは目的をしぼる」のふたつをそろえておくと、子どもはわかりやすいかかわりを受けとれます。遊びかたの持ち味はそれぞれでいいのです。安全の線だけは、全員で同じに。
しばらく続けて、見なおす
一日だけで判断せず、ふつうの日に何度か両方の遊びを試してみましょう。どちらのときにどんな様子だったか、家族の負担はどうかを、短くメモする程度に。
見なおすときは「安全の線をはっきり伝えられたか」とくらべてみましょう。うまくいったバランスは残し、続けられないことはシンプルに、変えるのはひとつずつ。発達に心配があるときは、まず専門家に相談を。
まかせるところ、ととのえるところ
大人のゲームを出すとき、大人が決められるのは、時間、安全、物、そして自分の注意がちゃんとこたえているかどうか。子どもがそのゲームをどう受けとるか、どのくらい集中するかは決められません。やらない、同じことばかり、自分ルール、を受けいれる余地を残し、手を出すのは危険があるときか、受けとめきれないほどのイライラがあるときだけにしましょう。
見守りと安全
窒息、アレルギー、水、転落、ひも、毒性の危険を、その子と実際の物で確かめましょう。家の物がおもちゃより安全とはかぎりません。役を交代するときも、見守りを注意の連続にしないことが大切です。危ないかたちで口に入れたとき、息や肌に症状が出たときは、すぐにやめてください。
よくあるつまずき
子どもがリードしているはずが、いつのまにか大人が正解をつくっている。探るかわりに凝った道具をそろえる。考える前に助ける。一回の遊びを発達のテストにする。こうしたことで、どちらの遊びのよさも消えてしまいがちです。
こんな姿が見えたら
新しい工夫をする、ごっこ遊びがしなやかになる、大人を遊びに誘う、ちょっとした困りごとをがまんできる、あとで同じ遊びにもどってくる。そんな姿が育ちのしるしです。同じことのくり返しにも意味があるので、できたらすぐむずかしくしなくて大丈夫です。
相談したいとき
遊びかたがずっと同じところにとどまっている、身につけたことを失ってきた、まわりを探ることや人と注意を分かちあうことが少ない、見なれた物の使いかたがわからない様子がある、理解や動き、考える力のむずかしさが毎日に影響している。その場合は、地域の保健師さんやかかりつけの小児科医、発達の専門家に早めに相談しましょう。いくつかの場面の具体的な様子を持っていくと伝わります。
バランスのとりかた
めざすのは、いつも子ども任せでも、いつも大人の計画どおりでもありません。つながりのための、子どもがリードする時間から始め、安全を守り、長い目で見まもりましょう。ここに書いたことでわからない部分は、お子さま本人を見てもらえる専門家の評価にまかせましょう。
ポイント: まずは「つながりのためには、子どもがリードする時間を」。できる範囲で続けて、何が変わったか見てみましょう。
American Academy of Pediatrics, The power of play
WHO, Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under five