家でできる、幼児の記憶あそび
記憶あそびは「2つか3つから始める」のが鉄則です。探る、くり返す、動く、想像する、困ったことを解く。小さな子は、そうした体験を、こたえてくれる人とのあいだで積みかさねて学びます。大人がととのえるのは時間と安全と、子どもが動かせる物。覚えかたを工夫するのは子どもです。
どんな遊びがあるか
記憶あそびには、何枚かのカードで神経衰弱をする、トレーにのせた物を見てから隠して何があったか当てる、動きの順番をまねする、ごっこのお買いものリストに品物をひとつずつ足していく、といったものがあります。むずかしさは少しずつ上げて、失敗のなかで当てずっぽうになるのではなく、自分なりの覚えかたを使えるようにしましょう。
遊ぶときのコツ
1回は短く、ときには子どもに遊び方を教えてもらい、大人は「赤いのはここだったね」と気づいたことを声に出してみせます。覚える力は、ことば、注意、眠り、なれ具合で変わります。遊びの点数は、頭のよさの評価ではありません。
その子の今を知る
どの遊びに乗ってくるか、どう覚えようとするか、どこまで粘るか、やりかたを変えるか、助けを求めるか、どう伝えるか。年齢やことば、体調で結果は大きく変わります。最後のステップ「イライラする前にやめる」は、次も楽しむためのもの。一回の結果で、記憶力を判定しないようにしましょう。
記憶あそびの4ステップ
- 2つか3つから始める。
- 神経衰弱や、隠して探す遊びを使う。
- よく知っている歌の、ぬけたことばを当てる。
- イライラする前にやめる。
テストではなく、遊びをひとつ。まず2つか3つで、それから神経衰弱や物かくしへ。子どもが思いだそうとする時間を待ってから、いちばん小さなヒントを。自分ルールで遊びはじめても受けとめ、楽しいうちに終えましょう。
ステップの流れ
少ない数から始め、合わせる遊びや隠す遊びにし、「げんこつやまのたぬきさん」のような、よく知っている歌の途中で止めて続きを言ってもらい、イライラする前にやめる。数を増やす前に、子どもの次の工夫を待ちましょう。
ほかの大人とも
祖父母や育児パートナーとも、「2つか3つから」「合わせる遊びと隠す遊び」だけそろえておくと、子どもはだれとでも楽しめます。ルールの言いかたは、それぞれでかまいません。
何回か遊んでから見なおす
とてもよくできた日や、まったく乗らなかった日だけで判断せず、ふつうの日に何度か遊んでみましょう。どんな状況で、どう反応したかを、軽くメモする程度に。
見なおすときは、「歌の続き当て」のような軽い遊びとくらべて、どれがいちばん楽しめたかを見ます。楽しかった遊びは残し、むずかしすぎたら数を減らし、変えるのはひとつずつ。発達に心配があるときは、まず専門家に相談しましょう。
大人がにぎるハンドルは、ここまで
どの遊びを出すか、何枚使うか、安全、そして自分がちゃんとこたえているかは大人が決められます。でも、子どもがどう覚えるか、どのくらい集中するかは決められません。やりたくない、同じのをもう一回、自分ルール、を受けいれる余地を残し、手を出すのは危険があるときか、受けとめきれないほどのイライラがあるときだけに。
安全に遊ぶために
カードや小物によるのどにつまる物、アレルギー、水、転落、ひも、毒のある物の危険を、目の前の子と実際に使う物でひとつずつ確かめましょう。家にある物を隠す遊びでも、おもちゃより安全とはかぎりません。やめどきを見るときも、見守りを注意の連続にしないことが大切です。危険な口の入れかたをしたとき、また息苦しさや肌の症状が出たときは、ただちにやめることが大切です。
楽しさが消えるとき
大人が正解を急かす、いきなりカードを増やす、思いだす前に答えを言ってしまう、一回の結果を発達のテストにする。こうなると、記憶あそびはただのテストになってしまいます。
うれしい変化
自分なりの覚えかたを見つける、ごっこ遊びに取りいれる、家族を誘う、まちがえても続けられる、あとでまた遊びたがる。そんな姿が育ちのしるしです。同じ遊びのくり返しにも意味があり、できるたびにむずかしくする必要はありません。
専門家に聞いてみたいとき
遊ぶ力の育ちがゆっくりなまま、できたことが失われた、探ることや注意を分かちあうことがまれ、身近な物をうまく使えない、理解、体の動き、問題を解く力のむずかしさが日々の暮らしに影を落としている。気になるときは、地域の保健師さんやかかりつけの小児科医、発達の専門家に相談を。家で記憶をテストするより、いくつかの場面の具体的な様子を伝えるほうが役立ちます。
記憶あそびで大切なこと
めざすのは、高得点でも、完ぺきな毎日でもありません。2つか3つから始め、つながりと安全を守り、長い目で見まもりましょう。どの家にもあてはまる話には限りがあるので、迷ったらその子を見てくれる専門家へ。
ポイント: まずは「2つか3つから」。背のびせずに続けて、ときどきふり返ってみましょう。
American Academy of Pediatrics, The power of play
WHO, Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under five