子どもが果物を食べないときに試したいこと
みかんの季節なのに、皮をむいてもひと房も口にしない。りんごは「シャリシャリがいや」と出してしまう。果物を食べない子には、まず形を変えてみることから。生、加熱、つぶす、冷凍と、いろいろな形があります。食べることは、食欲、栄養、口の動き、感覚で学ぶこと、食卓の空気が重なりあってできています。大人は安全でバランスのよい食事を決まった時間に出し、食べるかどうか、どれだけ食べるかは子どもが決めます。医師からその子に合わせた食事の指示が出ているときは、そちらを優先しましょう。
果物ぎらいの多くは「形」の問題
果物は熟し具合、温度、食感、酸っぱさがそれぞれ違います。生のりんごを食べないからといって、果物全部がだめとは限りません。ごく少量を何度も出し、果物を切ったり食べたりする様子を見せてあげましょう。「体にいいから」と薬のように出さないのがコツです。
生でも冷凍でも
生、冷凍、食べやすく調理した物は、どれも果物を食べる経験になります。地域の目安と、のどにつまらない工夫に合わせて選びましょう。ジュースは果物を食べる経験とは別物で、好きなだけ飲めると食欲を奪うこともあります。
はじめに見ておきたいこと
何日分かの食事を通して、食べられた物と食感、牛乳やおやつの時間、体重、元気さ、水分、食べるときの気持ちを見てみましょう。痛み、便秘、せきこみ、のどにつまりかける、飲みこんだあとのゴロゴロした声、発疹、吐くといった様子もメモします。こうしたサインは、なじみのない物へのふつうの警戒とは違う対応が必要です。果物を毎回かくさないという最後のステップは、子どもが果物そのものを知り、異変にも気づきやすくするためでもあります。
試してみたい4つのこと
- 生、加熱、つぶす、冷凍など、いろいろな形で出してみる。
- ほんのひと口分だけ出す。
- 洗う、選ぶといった準備に子どもを誘う。
- 毎回かくして食べさせることはしない。
小さく始めて、食事が食事のままでいられるように。まずは形を変えてみます。焼きりんご、冷凍したバナナ、つぶしたいちご、などです。次に、量をほんのひと口に。大人のひと言はさらっと。満腹やいやがるサインが出たらそこで終わりにし、取引なしで片づけて、次の食事やおやつでまたバランスのよい物を出しましょう。
4つのつながり
いろいろな形を試し、量はほんの少しにし、スーパーで選んだり洗ったりする役を子どもに任せ、毎回かくすことはしない。この流れで、果物は少しずつなじみのある物になっていきます。いやなときは取引なしでやめ、次の決まった時間にまた出しましょう。
家族ともそろえて
祖父母や保育園とは、「いろいろな形で出す」「ほんの少しにする」の2つをそろえておきましょう。言葉まで同じでなくてかまいません。すわる場所、のどにつまりやすい物(ぶどうやミニトマトは小さく切るなど)への注意、やめるサイン、食事の終わりかたは誰でも同じにします。
しばらく続けて、ふり返る
形を変える工夫は、特別な1日で判断せず、ふつうの食事で何回か続けてみましょう。そのときの状況と子どもの反応、家族の手間をひと言メモする程度で十分です。記録が親子の負担にならないように。
ふり返りでは、洗う、選ぶといった準備にどれだけ参加できたかとも比べてみます。安全に、わかりやすく食卓に参加できた工夫は残し、続けにくいものは簡単に。変えるのは1つずつです。体調、安全、発達の心配があるときは、工夫より先に相談を。
大人の役目と子どもの役目
ほんの少しだけ出すのは、大人の側の工夫です。何を出すか、いつどこで食べるか、調理と見守りは大人が決め、食欲と食べるかどうかは子どもの体が決めます。この分担があると食卓の圧が減り、体重や痛み、飲みこみの問題もごほうびで隠れずにすみます。
安全と、子どもの気持ち
果物を毎回かくさないことと合わせて、まっすぐすわる、そばで見守る、今のかむ力に合った形とかたさにする、年齢に合った応急手当を学んでおく、を続けましょう。息ができない、重いアレルギー反応が疑われる、というときはすぐに119番を。体重、水分、痛み、飲みこみの心配は早めに医療者へ。
つまずきやすいこと
形を変えて出しても、「一口だけ食べて」とせかす、同じ食事のなかで代わりを次々出す、食べた量でごほうびをあげる、食べないのはわがままだと考える。こうしたことで工夫が台なしになりがちです。痛み、成長、アレルギー、飲みこみの心配は、説得ではなく診てもらうことが必要です。
前進のしるし
果物となかよくなる途中では、そばにあってもいやがらない、さわる、においをかぐ、新しい食感に慣れる、空腹や満腹を伝えられる、食べる物の幅が広がる、といった変化が見られます。1皿でなく数週間で判断しましょう。体重、水分、痛み、アレルギー、飲みこみの心配があれば、早めに動いてください。
専門家に相談したいとき
体重が増えない、脱水、痛み、何度もせきこむ、のどにつまりかける、飲みこんだあとのゴロゴロした声、アレルギーの疑い、食べられる物が急に減る、食事が成り立たないほどいやがる。こんなときは医師や栄養士に相談しましょう。小さな子は口の中の感じを説明できません。保護者の心配だけでも、聞いてみる理由になります。
覚えておきたいこと
目指すのは、果物を言われたとおりに食べる子でも、完璧な食卓でもありません。いろいろな形で出すことから始め、つながりと安全を守り、変化の向きを長い目で見ていきましょう。一般的な情報でわからないときは、その子をみてもらうのがいちばんです。
ポイント: 果物は形を変えて、ほんの少しから。続けやすくして、変化を見ていきましょう。