偏食の子がいても、家族の食卓を楽しく

大人は焼き魚と煮物、上の子はカレー、下の子は白いごはんしか食べない。家族そろっての食事が、いつのまにか献立パズルになっていませんか。出発点は、その子が食べられる物を1つ食卓に入れることです。食べることには、食欲、栄養、口の動き、感覚、そして食卓の雰囲気が関係します。大人は安全でほどよくバランスのとれた食事を決まった時間に出し、食べるかどうか、どれだけ食べるかは子どもが決めます。医師から個別の指示がある場合は、それに従いましょう。

大切な考えかた

家族で食卓を囲むことは、全員が同じ物を同じ量だけ食べることではありません。食べなれた物を少なくとも1つ入れ、危ない食感だけは調整し、子どもがどれだけ食べたかを食卓の話題の中心にしないこと。それで十分、家族の食事に参加できます。

献立と食卓の工夫

子どもの好きな物を次々と作り直すのはやめましょう。かといって、食べられる物が何もないお皿にもしないこと。決まった流れと、さりげなく食べものにふれる機会は、家庭の食文化、家計、ほかの家族の好みとも両立できます。

はじめに見ておきたいこと

数日の食卓を通して、食べられた物と食感、牛乳やおやつの時間、体重、元気さ、水分、食事中の気持ちを見てみましょう。痛み、便秘、せきこみ、のどにつまりかける、飲みこんだあとのゴロゴロした声、発疹、吐くといった様子も書きとめます。こうしたサインは、知らない物へのふつうの警戒とは違う対応が必要です。だからこそ、食事をつながりの時間にするという最後のステップは、安心して様子を伝えられる場づくりでもあります。

4つの工夫

  • 食べられる物を1つ入れる。
  • できるときは、料理を混ぜずに分けて盛る。
  • 子どもの前で、食べた量の話をしない。
  • 食事を、家族がつながる時間にする。

大がかりにせず、食事が食事のままでいられる範囲で。まず食べられる物を1つ入れ、次に料理を分けて盛ってみます。たとえば肉じゃがなら、じゃがいもとにんじんと肉を別々の小皿に。大人のコメントは淡々と。満腹やいやがるサインが出たら終わりにし、取引なしで片づけて、次の食事やおやつでまたバランスのよい物を出しましょう。

工夫の順番

食べられる物を1つ入れることから始め、料理を分けて盛り、食べた量の話をやめ、最後に食卓をつながりの時間にしていきます。やめたいときは取引なしでやめてよく、次の決まった時間にまた食事を出します。

祖父母や保育園と話しておく

「食べられる物を1つ入れる」「分けて盛る」の2つは、祖父母や預け先とも共有しておきましょう。同じ言葉を使う必要はありません。子どもが同じような対応だと感じられればよいのです。すわる場所、のどにつまりやすい物への注意、やめるサイン、食事の終わりかたは全員でそろえます。

しばらく続けてみる

食べられる物を1つ入れる工夫は、うまくいった1日や大変だった1日で判断せず、ふつうの食事で何度か続けてみましょう。状況、子どもの反応、家族の暮らしへの影響を短くメモするくらいで十分です。記録が新たなプレッシャーにならないように。

ふり返りでは、子どもの前で食べた量の話をしなくなったかも見てみます。安全に、わかりやすく参加できた工夫は残し、続けにくいことはもっと簡単に。変えるのは1回に1つだけ。健康、安全、発達の心配があれば、先に専門家にみてもらいましょう。

大人が決めること、子どもが決めること

料理を分けて盛るのは、大人の側の工夫です。何を出すか、いつどこで食べるか、調理と見守りは大人の担当。おなかがすくか、食べるかどうかは子どもの体が決めます。この線引きがあると食卓の圧が減り、体重や痛み、飲みこみの問題もごほうびで隠れずに見えてきます。

安全と、子どもの尊厳

食事を家族がつながる時間にしながらも、安全の基本は変わりません。まっすぐすわる、そばで見守る、今のかむ力に合った形とかたさにする、年齢に合った応急手当を学んでおく。息がつまったときや重いアレルギー反応のときは119番へ。体重、水分、痛み、飲みこみの心配は、早めに医療者に相談しましょう。

つまずきやすいところ

食べられる物を1つ入れても、「あと一口」と言ったり、同じ食事で代わりの物を次々出したり、食べた量でごほうびをあげたり、食べないのは全部わがままだと考えたりすると、工夫が台なしになりがちです。痛み、成長、アレルギー、飲みこみの心配は、説得を強めるより、診てもらうことが必要です。

前に進んでいるサイン

偏食の子との家族の食事で見たいのは、近くの食べものをいやがらない、さわってみる、新しい食感に慣れる、空腹や満腹を伝えられる、食べる物がだんだん広がる、といった変化です。1皿ではなく何週間かで判断しましょう。体重、水分、痛み、アレルギー、飲みこみに心配があるときは、すぐに動いてください。

専門家に相談したいとき

体重が増えない、脱水、痛み、何度もせきこむ、のどにつまりかける、飲みこんだあとのゴロゴロした声、アレルギーの疑い、食べられる物が急に減る、食事が成り立たないほどの苦痛。こうしたときは医師や栄養士に相談を。小さな子は食べるときの感覚を説明できないので、保護者の心配そのものが相談の理由になります。

覚えておきたいこと

目指すのは、言うことを聞く子でも、完璧な献立でもありません。食べられる物を1つ入れることから始め、つながりと安全を守り、長い目で変化を見ていきましょう。一般的な情報で足りないときは、その子をみてもらうことです。

ポイント: まずは食べられる物を1つ食卓に。無理のない形にして、変化を見ていきましょう。

CDC, Picky eaters and what to do

CDC, Choking hazards

WHO, Complementary feeding guideline