愛情は引っこめずに、ぶれない線を。あたたかい叱り方

しつけといえば、親がいつもより冷たく、きびしくなること。そう信じて育った人は多いかもしれません。上がった眉、引っこめられたあたたかさ、行いがよくなるまで愛情はおあずけ、という感じ。だから、きっぱりしようとすると、同時によそよそしくもなってしまいます。でも、いちばん効果があって愛情深い子育ては、反対だと思われがちなふたつを同時に持っています。はっきりとゆるがない線と、とぎれないゆるぎない愛情です。

ぶれなさとあたたかさは、反対ではない

子育てを、やさしいからきびしいまでの一本のつまみで考えたくなります。でも実際は、あたたかさとぶれなさは別々のふたつのつまみで、いちばんいいのは両方を高く上げることです。まるごと愛情深く、まるごとはっきりしていることは、同時にできます。愛情が伝わる線引きは、やさしくて、なおかつぶれない親から生まれます。言いなりと、きびしすぎの間を行ったり来たりする親からではありません。子どもは、線か愛情かを選んでほしいのではなく、両方がほしいのです。

愛情を引っこめると、裏目に出るわけ

約束ごとを守らせるために冷たくなる、無視する、口をきかない、言うことを聞くまであたたかさをおあずけにする。そうすると、つらいことを教えてしまいます。親の愛情は、よい行いと引きかえなのだ、ということです。それを吸いこんだ子は、不安になったり、まちがいをかくすようになったり、本当に協力するのではなく、必死に親の機嫌をとろうとしたりすることがあります。行動は短いあいだはよくなるかもしれませんが、安心と引きかえです。愛情が伝わる線引きとは、線を守らせているあいだも、つながりは変わらずにある、ということです。

あたたかい線引きは、こう聞こえる

かなめは、だめと言っているあいだも、愛情が耳に聞こえ、目に見えるようにしておくことです。砂を投げる子を止めるふたつのやり方をくらべてみましょう。冷たいほうは、きつい「今すぐやめなさい。そんなことする子とは話さないから」。あたたかく、ぶれないほうは、かがんで、そっと手をとり、「砂を投げるのはさせないよ。人に当たると痛いからね。ほかに投げてもいいものをさがそう」。どちらも行動は止まります。でも、そのあいだも子どもが愛されていると感じていられるのは、片方だけです。

冷たくならずに、線を守るには

いくつかの習慣があると、その場の熱の中でも、ぶれずに、あたたかくいやすくなります。

  • 声と体を、上げるのではなく下げる。落ち着いていることは、甘いこととは違う。
  • 線は、お説教なしに、はっきり短く伝える。
  • 行動の裏にある気持ちを受けとめる。「すごく怒ってるんだね。それでも、たたくのはさせられないよ」
  • 止めるだけで終わらないように、次にどうするか、代わりにしていいことをさしだす。
  • 背を向けずに、体を近くに、いつでも受けとめられるようにしておく。

線は、子どものためにある

そもそも、なぜ線引きが大切なのかを思いだすと助けになります。はっきりして変わらない線は、愛情の反対ではなく、愛情の表れです。はしのない世界は、小さな子にとってこわいものです。みんなを安全に守ってくれる、どっしりした大人が必要なのです。落ち着いて、やさしく線を守るとき、親は子どもに伝えています。よりかかっていいよ、あなたのいちばん大きな気持ちも、くずれたり爆発したりせずに受けとめられるくらい、わたしは強いよ、と。それは、とても大きな安心です。

行動と、その子自身を分ける

冷たいしつけは、たいていこのふたつをごちゃまぜにします。だから子どもは「その行動はだめ」ではなく「あなたは悪い子」と聞いてしまいます。分けておくことで、線もきずなも守れます。たたくのは許されないとはっきり伝えながら、ひとりの人としての自分はまるごと愛されているのだと、子どもが決して疑わないようにできます。「大好きだよ。そして、たたくのはだめ」。自然に口から出るまで練習する価値のあるひと言です。このやり方のすべてが、この短いことばに入っています。

やりなおしが、つながりを守る

いつもあたたかくぶれずにいられるわけではありません。きつく約束ごとを守らせたり、冷たくなったり、かっとなったりする日もあるでしょう。それはふつうのことで、つくろえます。あとで短く正直にやりなおしましょう。「さっきは言い方がきつすぎたね、ごめんね。約束はそのままだけど、大好きだよ」。つながりが戻り、大切なことのお手本にもなります。あたたかさを持って何度でも戻ってくるかぎり、愛情が伝わる線引きは、たまのきつい瞬間くらいでこわれたりしません。

行動が心配なとき

あたたかくぶれない線引きで、毎日の行動のほとんどは扱えます。でも、ときには行動が、もっと支えの必要な何かを指していることもあります。心配になるほどひんぱんに乱暴になったり、手がつけられなくなったりする、行動や気分が急にはっきり変わった、ずっと楽しくなさそう、精いっぱいがんばっても毎日の暮らしが本当に回らない、という場合は、地域の保健師さん、かかりつけ医、園や学校に話してみましょう。相談することは、線引きに失敗したしるしではなく、子どもをしっかり大切にすることの一部です。

いちばん大事なこと

あたたかい親か、ぶれない親か、どちらかを選ばなくていいのです。いちばん安心している子の親は、たいてい、その両方を同時に持っています。確かに愛情深く、確かにはっきりしている。やさしく線を守り、だめと言っているあいだも愛情のスイッチを入れたままにしておくと、子どもがいちばん必要としているふたつ、安全と無条件の愛情を、いっしょに渡せます。そして、きちんとした約束を守るよう求められることと、大切にされることは、まったくぶつからないのだと見せられるのです。

ポイント: はっきりした線を守らせているあいだも、愛情は変えずに。子どもがいちばん安心するのは、あたたかく、同時にぶれない親です。

NHS, Dealing with child behaviour problems

CDC, Positive Parenting Tips