料理や洗たく、毎日の家事が親子のつながりの時間に

子育てのアドバイスの多くは、わざわざとっておく特別な時間を思いえがいています。工作のテーブル、公園へのお出かけ、計画した遊び。でも家族の暮らしのほとんどは、特別な時間ではありません。お皿、洗たく物、そうじ、買ってきたものの片づけ。でも、ひそかな真実があります。こうしたふつうの家事こそ、親子が近づくいちばん豊かなチャンスのひとつなのです。数がとても多く、毎日くり返されるからこそです。

家事がこっそり、きずなに効くわけ

横に並んでいっしょに手を動かすと、向かいあって話すプレッシャーが消えます。「どんな気持ち?」と聞かれると口を閉ざす子も、ボウルをまぜたり、くつしたの組をさがしたりしながらなら、楽しそうにおしゃべりすることがよくあります。いっしょに手を使って何かをすると気が楽になって、ことばが出やすくなるのです。家事をいっしょにすると、子どもが強く求めているものも渡せます。見はられているだけでなく、本当に役に立っているという感覚です。

じゃまものではなく、本物のお手伝いさんに

忙しいと、自分でさっさとやって、小さな手は遠ざけておきたくなります。それは自然なことですが、子どもは暮らしの一部ではなく、暮らしのじゃまなのだ、というメッセージをそっと送ってしまいます。ペースが落ちても仲間に入れると、その反対が伝わります。2歳の子はスプーンを引き出しに入れられます。4歳の子はテーブルをふいたり、量っておいた小麦粉をボウルに入れたりできます。きれいにはいきませんが、それが目的ではありません。

小さな人に合う、小さな仕事

年齢に合わせて、本当にできる仕事を選びましょう。いらいらではなく、できた、で終わるように。

  • 小さな子は、割れない物を運ぶ、洗たく物を洗たく機に入れる、洗たくばさみを手わたす。
  • 3歳から5歳くらいの子は、お箸やお皿を並べる、植物に水をやる、洗ったスプーンを分ける、テーブルをふく。
  • もう少し大きな子は、まぜる、量る、タオルをたたむ、メモを見ながら物を取ってくる。

めざすのは、ただ働きの人手ではありません。並んで、おしゃべりをはさみながら、同じ目的をいっしょにもつことです。

手を動かしながら、話す

家事のリズムを、つながりの背景に使いましょう。していることを実況し、子どもの意見を聞き、話があちこちへ行くのにまかせます。「おばあちゃんが来たら、どのコップにする?」という問いかけは、子どもを家族の暮らしの中へさそいます。家事をいっしょにすることで、ほとんど偶然に、ことば、順序立て、自信も育っていきます。でも、本当の贈りものは、関係そのものです。

少しの遊び心を

ふつうの家事が、まじめくさったものである必要はありません。歌が終わるまでに積み木をどっちがたくさん片づけられるか競争する、へんてこな声で実況する、洗いながら野菜に名前をつける。そうすると、面倒な作業が、ふたりとも楽しみに待つものに変わります。洗いもののたらいの前でいっしょに笑うことは、計画した遊びと同じくらい確かにきずなを強めますし、子どもは、お手伝いを小言ではなくあたたかさと結びつけて覚えます。

期待は、やさしく

子どもが手伝うことと、大人の基準でよくできることは別のものです。両方を心にとめておくと、近さが守られます。毎回、目の前で直されたりやりなおされたりすると、やる気はすぐにしぼんでしまいます。がんばりにありがとうを言い、不完全さには目をつぶり、ぐしゃっとたたまれたタオルはそのままにしておきましょう。今年の目標は、子どもが「やりたい」と思うことで、押し入れのタオルがぴしっとそろうことではありません。

本当に時間がないとき

洗いものをとにかく速く、きっちり終わらせないといけない日もあります。それでかまいません。すべての家事をきずなづくりにしなくていいのです。そんな日でも、「ママがこれやってるあいだ、そばにいてくれる?」と声をかければ、手伝うプレッシャーなしに、子どもを近くに、仲間に入れておけます。そばにいること、作業しながらのおしゃべり、それだけでもちゃんと数に入ります。近さは、すべての瞬間をうまくやることではなく、何週間もかけたパターンでできていくものです。

安全について、ひと言

毎日の家事には、小さな子にとって本物の危険があります。考えて仲間に入れましょう。コンロ、熱いお湯、包丁、洗剤、熱いオーブンからはしっかり遠ざけ、何かを取りに行くあいだも、小さな子を台所や浴室にひとりで残さないこと。洗剤などの薬品は、かぎのかかる手の届かない場所にしまいます。いつになく不器用に見える、事故がたびたび続く、体の動かし方や発達に何か心配がある、というときは、地域の保健師さんやかかりつけ医に話してみましょう。お手伝いは、いつも安全で、しっかり見守られた場所の中で。

そっときずなを育てる習慣

いっしょにした家事のひとつひとつを、親も子どもも、ほとんど覚えていないでしょう。残るのは、積み重なった気持ちです。そばにいてほしいと思われたこと、本物の仕事をまかされたこと、作業しながら、いっしょにいるのを楽しんでもらえたこと。何百ものふつうの日々に織りこまれた、家事をいっしょにするというシンプルな選択は、子どもが家族の中での自分の場所を理解するしかたの一部になっていきます。親の暮らしのじゃまではなく、暮らしの相棒なのだ、と。

ポイント: 毎日の家事に、子どもをとなりでさそいましょう。急がずにいっしょにする作業は、時間を足さなくても、近さと居場所の感覚を育てます。

NHS, Play ideas and reading with your child

UNICEF, How play strengthens your child's mental health