「わかってもらえた」が子どもを落ち着かせる。毎日の聞き方のコツ

聞いてもらえていると感じることは、人間のいちばん基本的な必要のひとつで、それは驚くほど小さいうちから始まります。ちゃんとした会話ができるずっと前から、子どもは、まわりの大人が本当に自分に気持ちを向けているかどうかを感じとっています。聞いてもらえていると感じる子は、落ち着いていて、協力的で、しっかりした愛着をもちやすいのです。うれしいことに、これは「いいよ」と言うかどうかとはほとんど関係がありません。どう聞くかが、すべてです。

聞いてもらえることと、思いどおりになることは別

いちばん気が楽になるのは、子どもが聞いてもらえたと感じるのに、親が賛成する必要はない、とわかることです。子どもに必要なのは、わかってもらうこと。お菓子はだめと言っても、子どもに、すっかり聞いてもらえたと感じさせることはできます。子どもの気持ちに寄りそうとは、ふだんからまぜこぜにしているふたつのことを分けることなのです。お願いへの答えと、そのお願いにこめられた気持ちへのこたえ方です。

手を止めて、本当に気持ちを向ける

子どもは、親が気持ちを向けてくれているのか、ただそこにいるだけなのかを、一瞬で見分けます。子どもが何かを伝えに来たら、していることをいったん止め、子どものほうを向いて、一瞬でも目を合わせてみましょう。どうしても手が離せないときは、正直に言います。「すごく聞きたい。1分だけ待ってね、これを終わらせたら、ぜんぶ聞くからね」。そして、ちゃんと戻ってきます。その小さな「戻ってくる」が、自分のことばは待ってもらう価値があるのだと、子どもに教えます。

聞いたことを、言いかえて返す

いちばんシンプルで力強い道具のひとつは、子どもが言ったことを、親自身のことばで返すことです。お友だちが貸してくれなかったとかけこんできたら、「ゆうとくんがボールを持ってて、順番をかわってくれなくて、ずるいって思ったんだね」と言ってみましょう。解決しているのではありません。ちゃんとついてきているよ、と見せているのです。この言いかえこそ、子どもの気持ちに寄りそうことの芯です。ただうなずいているのではなく、本当に聞いていたのだと証明してくれるからです。

直す前に、気持ちをそこにいさせる

大人はすぐに解決策やはげましにとびつきます。「気にしない、明日遊べるよ」。でも、急いで直そうとすると、子どもはあしらわれたと感じることがあります。まず、気持ちに名前をつけて、そこにいさせてみましょう。「すごくがっかりしてるんだね。そうだよね」。自分の気持ちが受けとめてもらえたと感じてはじめて、子どもはたいてい、困りごとの解決に向かえます。そして、気持ちに行き場ができると、自分で解決してしまうこともよくあります。

助けになる、小さな習慣

いくつかのやさしい習慣で、聞いてもらえることが毎日の一部になります。

  • かがんで、子どもの目の高さに。上から遠くで聞かない。
  • 「うんうん」「それで?」「もっと聞かせて」と、小さなあいづちを。
  • 子どもの文を先回りして言ったり、急かしたりしない。
  • 話している最中に、おはなしの細かいところを直さない。
  • 子どもが話しかけてきたら、スマホは画面を下にして置く。

だめと言わなければならないとき

子どもをがっかりさせなければならないことはよくあります。それでも、聞いてもらえたという気持ちは残せます。コツは、答えを伝える前に、ほしい気持ちを受けとめることです。「もっと公園にいたいんだよね。ここ、すごく楽しいもんね。そして、もうおうちに帰って夕ごはんの時間だよ」。線ははっきり、ぶれずに。その裏にある気持ちは、ちゃんと歓迎されています。ほしい気持ちをまずわかってもらえると、子どもは「だめ」をずっと受けとめやすくなります。

行動が伝えていることを見る

とても小さな子は、ことばより行動で話すことがよくあります。べったりの朝、急な大爆発、寝る前のぐらつき。どれもメッセージかもしれません。子どもの気持ちに寄りそうことには、行動をただ止めるものとしてではなく、伝えようとしているものとして扱うこともふくまれます。「ずっと壁をたたいてるね。何かいやなことがあるのかな。ママ、ここにいるよ」。しかることばならバタンと閉じてしまうドアを、これは開けてくれます。完璧に読みとけなくてもかまいません。聞こうとすることそのものが大切なのです。

聞くだけではたりないとき

たいていの場合、聞いてもらえたと感じることこそが、子どもに必要なものです。でもときには、もっと支えが必要なことを、ことばや行動で伝えている場合があります。ずっと悲しそう、こわがっている、引きこもっている、誰かに痛いことやこわいことをされたと口にする、気分や食事や眠りの変化が続く、という場合は、しっかり受けとめてください。話してくれたことにありがとうを言い、落ち着いてこたえ、地域の保健師さん、かかりつけ医、園や学校に相談しましょう。聞いてもらえていると感じている子は、本当に何かがおかしいとき、ずっと親のところへ来やすくなります。

その手間をかける価値

いつも根気よく上手に聞けるわけではありませんし、完璧にできる親はいません。でも、大事なのはパターンです。いつも確かに聞いてもらえていると感じながら育つ子は、自分の声には意味があること、自分の気持ちは親のところで安全なこと、何でも持ってきていいことを学びます。その土台は、子どもの自信と心の健康と親子の関係を、この先何年も支えてくれます。毎日の、本当に聞くというシンプルな選択から、それは建てられていくのです。

ポイント: 子どもに必要なのは、言うことを聞いてもらうことではなく、わかってもらうこと。直したり断ったりする前に、まるごと聞いて気持ちを返せば、答えがだめでもつながりは保たれます。

NHS, Children and young people's mental health: advice for parents

UNICEF, How to talk to your children