「見て見て」は小さなサイン。子どもがつながりを求める瞬間に気づく

子どもは、親が思っているよりずっとたくさん、つながりを求めています。「いっしょにいてくれる?」とはっきり言うのではなく、ふつうの一日にちらばった、見のがしやすい百もの小さなしぐさで。かかげて見せる絵、とつぜんの質問、そでをくいっと引っぱること。こうした小さな「手のばし」に気づけるようになると、家族の暮らしの静かな手ざわりが、ほかの何よりも大きく変わります。

つながりを求めるサインとは

ここでいうサインとは、親の注目や愛情や関わりを得ようとする、子どもの小さなこころみのことです。ことばのこともあれば、目つき、ふれること、行動のこともあります。「見て、ジャンプするよ!」はサインです。1歳の子が靴を持ってくること、4歳の子が急に「空はどうして青いの?」と聞くこと、子どもがそっと親の足にもたれかかること。どれもサインです。こうしたつながりのサインがいつも起きているとわかると、あちこちで見えるようになり、これまでどれだけ通りすぎてきたかに気づきます。

こたえ方の3つの形

子どもがサインを出すと、親はたいてい、考えずに3つのうちのどれかをしています。あたたかさと注目を向けて、そちらを向く。気づかずに、あるいは無視して、そっぽを向く。いらいらでこたえて、はねつける。すべてのサインに向きなおれる人はいません。そんなことは無理です。でも、出したサインがたいてい、たいていのときに受けとめてもらえる子は、大好きな人はいつも確かにそこにいる、と感じながら育ちます。きずなを形づくるのは、ひとつひとつの瞬間ではなく、全体の割合です。

小さなサインほど大切なわけ

つながりは、大事な話しあいや特別なお出かけでできると思いがちです。実際には、ふつうの瞬間のぽたぽたとしたしずくでできていきます。小さなサインに向きなおるたびに、信頼の小さな貯金をしているのです。何千もの小さな瞬間を重ねるうちに、子どもは深い信念をもつようになります。親に手をのばせば、ちゃんとそこにいてくれる。その信念が、安心できる愛着の静かな土台で、それは一日のいちばん地味な瞬間から組みたてられていきます。

静かなサインに気づく

大きな声のサインは、かんたんです。「遊んで!」は見のがしにくい。見すごしやすいのは、ささやかなサインです。あまり要求してこない子は、そっとしか求めないぶん、気づいてもらえないことがあります。こんな姿に目を向けてみましょう。

  • 脈絡のなさそうな質問。実は関わってほしいというお願い。
  • 見せたい物、分けたい物を持ってくる。
  • とくに理由もなく、体を親に近づけてくる。
  • 「見て」「これ見てて」をくり返す。
  • いたずらの姿に変装したサインとしての、行動の変化。

すべてを放りださずに、向きなおる

サインにこたえることは、していることを毎回すべて放りだすことではありません。できるときには、まるごとのこたえ方もすてきですが、少し向きなおるだけでじゅうぶんなことがよくあります。お鍋をまぜながらの、あたたかい「わあ、すごいね!」でもちゃんと届きます。「見せてくれてうれしい。2分だけ待ってね、そしたらちゃんと見に行くね」と言えば、つながりは生きたままです。子どもを傷つけるのは、たまの「今はちょっと」ではなく、何度も見てもらえないというパターンです。

見のがしつづけてしまったとき

どんな親も、気が散っていたり、疲れていたり、電話中だったりして、そっぽを向いてしまうことがあります。まったくふつうのことで、長く残る害はありません。いくつものサインを続けてあしらってしまったと気づいたら、いつでも戻れます。「さっき、タワーを見せたかったのに、ママ忙しかったね。今、見せてくれる?」。このやりなおしが大切です。瞬間を見のがしても、つながりは取りもどせるのだと教えます。それ自体が、大事な学びです。

サインは、困った行動に見えることも

ここは少し立ちどまって考えたいところです。ぐずる、まとわりつく、わざと困らせる、話のじゃまをする子は、もっとなめらかな形では受けとめてもらえなかった、ぶきっちょなつながりのサインを出していることがとても多いのです。奥にある必要を満たすほうが、正すよりも早く行動がおさまることがよくあります。罰を考える前に、そっと自分にたずねてみると助けになります。「この子は今、つながってって言っているのかな?」。答えがイエスであることは、本当によくあります。

サインが消えたり、終わりがないと感じたりするとき

たいていのパターンは、ただの性格です。でも、ふたつの変化にはやさしく注意を向けてもいいでしょう。ふだんは関わってくる子が、手をのばしてこなくなり、何週間も引きこもりがち、元気がない様子が続くなら、その変化には気づいておきたいところです。同じように、いつもつながりを必要としていて、たっぷり関わっても落ち着かない、不安が続いている、という場合も、誰かに話してみると助けになるかもしれません。どちらの場合も、地域の保健師さんやかかりつけ医が、安心させてくれたり、支えてくれたりします。その子にとって何がいつもどおりなのか、親の感覚を信じてください。

すべてを変える切りかえ

すべてのサインにこたえることはできませんし、そうでなくていいのです。でも、子どもの小さな手のばしを、それが何なのかわかって見られるようになると、自然と、もっと多くのサインに向きなおるようになります。つながりのサインに気づいて、少しだけ多くこたえる。そのひとつの変化が、親子の関係を内側から静かに強くしていきます。ほとんど何もかからず、いちばん忙しい日にもおさまり、子どもがいちばん知りたいことを、何度も何度も伝えます。ちゃんと見ているよ、ここにいるよ、と。

ポイント: 子どもは一日じゅう、見のがしやすい小さな形で親に手をのばしています。その小さなサインにもう少し多く向きなおるだけで、信頼はふつうの瞬間ごとに育っていきます。

NHS, Children and young people's mental health: advice for parents

CDC, Positive Parenting Tips