きょうだいがいても「ひとり占め」の時間を。短くても効く理由
子どもがひとりなら、まるごとの注目は自然に生まれます。ふたり目、3人目が加わると、大切なものが静かに消えていきます。親を自分だけのものにできる体験です。どの子も親を分けあい、取りあい、自分の番を待つようになります。それは家族の中で育つことのふつうの一部ですが、その解毒剤、つまり親をまるごとひとり占めできる小さな時間は、つながりにとっても、きょうだいのけんかをおだやかにするためにも、いちばん力のある道具のひとつです。
ひとりずつの注目が大切なわけ
きょうだいの張りあいの多くは、根っこのところで、親の愛情と注目の取りあいです。ひとりの人としてしっかり満たされていると感じられると、親をめぐるけんかがやわらぐことがよくあります。きょうだいそれぞれとのひとり占め時間を守るのは、ぜいたくでも甘やかしでもありません。本物の必要を満たし、親の心の中で自分だけの場所があるのだとどの子も安心でき、家の中全体がおだやかになることも多いのです。親を取りあわなくていい子どもたちは、おたがいに争う理由も少なくなります。
長くなくていい
いちばんの思いこみは、ひとり占め時間とは、お出かけやごほうびや、空けた午後のことだ、というものです。そうではありません。本当にまるごと向き合う10分か15分を、くり返しさしだすほうが、たまの大きなお出かけよりずっと価値があります。ひとり占め時間を決めるのは、長さでも中身でもなく質です。この時間はこの子だけのもので、親の気持ちはぜんぶその子に向いていて、きょうだいに引っぱられない。いつだって、たまに豪華より、短く何度も、です。
もうあるすきまを見つける
もういっぱいの一日に、新しい時間をつくりだす必要はありません。今の毎日の流れの中にかくれた、1対1の瞬間をさがしてみましょう。
- 寝る時間を少しずらして、ひとりずつ親と数分すごせるようにする。
- 子どもがひとりだけいっしょの、園や学校への送り迎え。
- ひとりがお昼寝や遊びをしているあいだに、もうひとりと料理をする。
- 早起きの子には、ほかの子が起きる前の静かな10分を。
- お風呂を分けて、ひとりずつ親をまるごと独占できる番をつくる。
時間の中身は、その子にまかせる
この数分を本当に心が満ちる時間にするには、いっしょに何をするかの主導権を少し子どもに渡しましょう。いつもと同じくり返しの遊びでも、その子の選んだことについていくと、子どもは自分には力があって、大切にされていると感じます。これはその子の時間なので、教えたり、直したり、用事をすませたりするのに使いたくなる気持ちはこらえて。伝えたいメッセージは、シンプルで深いものです。今この瞬間、ママが考えているのはあなたのことだけだよ。
名前をつけて、特別な時間に
子どもは、名前と形のあるものを大切にします。「ふたりのとくべつタイム」「ママとふたりの時間」のように名前をつけると、たまたまの瞬間ではなく、確かで、楽しみに待てる決まりごとに感じられます。順番がきたときの遊びをそれぞれの子に選んでもらう、ちょっとした習慣をくっつけておく、といった工夫が助けになる家族もあります。見通しがあると、それはかならずやってくるのだと伝わり、親の気を必死に引こうとすることが減っていきます。
ひとりに向き合うあいだ、ほかの子は
いちばんの困りごとは、ひとりが親をひとり占めしているあいだ、ほかの子がどうするかです。できれば、自然なすきまを使いましょう。お昼寝の時間、ほかの大人の手、ほかの子が何かに夢中になっている瞬間。それができないときは、シンプルで正直なしくみが助けになります。「今はお兄ちゃんのとくべつタイムね。あなたのは、お昼ごはんのあとだよ」。自分の番が本当にくると信じられれば、子どもはずっとうまく待てます。その約束を守ることこそが、すべてをうまく回すかなめです。
完璧な公平はめざさない
どの子のひとり占め時間も、長さも中身もぴったり同じにしようとするのは、親をくたくたにするわなです。子どもに必要なのは、ストップウォッチでくらべられることではなく、ひとりの人として愛されていると感じることです。大切なのは、どの子もくり返し本物の向き合う時間をもらえていることで、それがまったく同じであることではありません。自然とそれぞれ違う、その子ならではの必要にこたえること。それこそが、本当に意味のある公平です。
張りあいやつらさが深いとき
きょうだいのあいだのある程度のやきもちやけんかは、まったくふつうで、健やかでさえあります。でも、ときにはそれ以上になることもあります。ひとりの子がずっとみじめそう、仲間はずれ、不安そう、きょうだいげんかがひんぱんで本当に乱暴、関わりや安心を増やしてもつらさがやわらがない、という場合は、誰かに話してみると助けになります。地域の保健師さん、かかりつけ医、園や学校が、支えと新しい見方をくれます。ふつうの張りあいが、もっとよく見たほうがいい何かに変わったときは、その感覚を信じてください。
選ばれることの、静かな力
時間が無限になることはありませんし、自分を完璧に分けることもできません。でも、そうしなくていいのです。家族の暮らしにくり返し織りこまれた、きょうだいそれぞれとの小さなひとり占め時間は、どの子にも、いちばん聞きたいことを伝えます。自分は何人かのうちのひとりではなく、親にとって、たったひとりのかけがえのない子として愛され、わかってもらえているのだ、と。その安心が張りあいをしずめ、ひとりひとりとのきずなを深め、大家族のにぎやかな暮らしを、その中のどの子にとっても、親はみんなに行きわたるくらいたっぷりいる、と感じられるものにしてくれます。
ポイント: ひとりずつに、短くても定期的な、まるごと向き合う時間を。親とのあいだの自分だけの場所に安心でき、きょうだいの取りあいもやわらぎます。
NHS, Children and young people's mental health: advice for parents