イライラして怒りすぎたあとに。子どもとの信頼を取りもどすやりなおし方
声を荒らげてしまった。どなったのかもしれないし、きついことを言ったのかもしれないし、戸棚を思っていたより強くバタンと閉めたのかもしれません。今、子どもは小さくなって傷ついた顔をしていて、親は、正直な親なら誰でも知っている、罪悪感と自己嫌悪の重たいまざりあった気持ちをかかえています。まず知ってほしい、ほっとする真実があります。イライラして怒ってしまうことで、子どもがこわれることはありません。とても大切なのは、そのあとに何をするか。そしてやりなおしは、身につけられる力です。
こじれるのはふつう、大切なのはやりなおし
いつも落ち着いていられる親はいません。関係は、一度もまちがえないことで築かれるのではなく、まちがえて、それを正すことで築かれます。この「こじれて、やりなおす」くり返しは、子育ての失敗ではなく、子育てそのものです。イライラして怒ったあとに心からのやりなおしがあると、子どもはかけがえのないことを学びます。愛情はぶつかりあいを乗りこえること、傷つけあった人どうしも、また近づけること。怒りすぎたあとのやりなおしを身につけると、落ちこむ瞬間が、立ちなおる力を学ぶ時間に変わります。
近づく前に、自分を落ち着かせる
怒りが残っていたり、罪悪感であわてていたりする状態からは、やりなおせません。まず自分に少し時間をあげましょう。何回か息をする、水を一杯飲む、自分の体が落ち着くのを待つ。まだくすぶっているうちの急いだ謝罪や、不安でくどくど説明しすぎる謝罪は、うまく届きません。ことばが意味をもつには、まず親の落ち着きが戻ってきたことを子どもが感じる必要があります。急がなくて大丈夫です。1時間後のやりなおしでも、ちゃんと働きます。
本当のやりなおしは、こんなふうに
よいやりなおしは、シンプルで、正直で、「でも」がありません。子どもの目の高さまでかがんで、たとえばこう言ってみましょう。「どなっちゃって、ごめんね。よくなかったし、あなたのせいじゃないよ。ママ、いらいらしてて、それが大きくなりすぎちゃったの」。これが何をしているか見てみてください。起きたことを言い、責任を引き受け、そして何より、親の反応を子どものせいにしていません。怒りすぎたあとにやりなおすときは、「でも、あなたがすごく悪い子だったから」と足したくなる気持ちをこらえましょう。謝ることと、子どもの行動のことは、別のふたつの話です。
子どもに親をなぐさめさせない
ささいに見えて、大切なポイントです。罪悪感があふれていると、子どもに安心させてもらおうとしたり、重々しく謝りすぎて、結局子どもが親をなだめる側になってしまったりしがちです。やりなおしは、親の気持ちを楽にするためではなく、子どものためのものにしておきましょう。短く、あたたかく、心からの謝罪が、子どもに必要なものを渡します。大きな感情の場面にして、子どもに「いいよ、ママ」と言わせてしまうと、傷ついた小さな人に、また荷物を背負わせることになります。
やりなおしと、約束ごとは分けて
自分のふるまいを謝っても、もとの線引きが消えるわけではありません。どなったことを心から謝りながら、たたくのはだめだということは守れます。「どなってごめんね。でも、弟をたたくのは、やっぱりさせられないよ。もっといいやり方を、いっしょに見つけようね」。子どもは両方を受けとめられます。むしろ、親が自分の分を認めながら線をぶれずに守る姿を見ることで、責任をとることと、ぶれないことは、ちゃんと両立するのだと学びます。
子どもなりのこたえ方を待つ
やりなおしのあと、抱っこしてほしがる子もいれば、少し距離がほしい子も、何もなかったように遊びつづける子もいます。どれでもいいのです。決まった反応を求めたり、すぐに近づこうと押したりしないでください。あたたかく、いつでもそこにいるようにしておけば、子どもは自分のペースで戻ってこられます。子どもが望んだとおりにこたえても、こたえなくても、心からさしだした瞬間に、やりなおしはその仕事を終えています。
次を起きにくくする
やりなおしは欠かせませんが、何が自分を限界にさせたのかに気づいて、起きる回数を減らすことも大切です。イライラが爆発するときには、たいてい燃料があります。疲れ、空腹、ストレス、ずっとさわられつづけてもう限界、ひとりでかかえすぎ。自分の引き金に正直に目を向けて、できるところで支えや休みやひと息を増やすことは、子どもを大切にすることの一部です。親は機械ではありません。自分を大事にすることはわがままではなく、なりたい親でいるための土台です。
怒りをコントロールしにくいと感じるとき
ときどきどなってしまうのは、人間らしいことです。でも、しょっちゅう自分を見うしなう、自分の怒りの強さにぞっとする、子どもを傷つけてしまうかもしれないと心配になる、という場合は、はずかしいことではなく、助けを求める合図として受けとめてください。かかりつけ医や地域の保健師さんに話せば、責めずに力になってくれます。子どもを傷つけてしまいそうだと感じたときは、子どもの安全のためにその場を離れ、その日のうちに、かかりつけ医や自治体の子育て相談の窓口、児童相談所に連絡してください。ここで助けを求めることは、親ができる、いちばん勇気があって、子どもを守る行動のひとつです。
長く残るメッセージ
人間ですから、これからもイライラして怒ることはあるでしょう。そして子どもは、そのあとに親がすることのおかげで、それを乗りこえていきます。怒りすぎたあとにやりなおすたびに、親はまちがいを取り消しているというより、深い教えを伝えているのです。完璧な人はいないこと、ごめんねと言うのは強さであること、親の愛情はどんな悪い瞬間よりも大きいこと。やりなおされたきずなは、一度もためされなかったきずなより、じょうぶであることも多いのです。
ポイント: イライラして怒っても、子どもがこわれることはありません。そのあとの落ち着いた正直なやりなおしが信頼を建てなおし、愛情はぶつかりあいを乗りこえると教えてくれます。
NHS, Children and young people's mental health: advice for parents