仕事から帰ると子どもがぐずる。おむかえ後につながりなおすには
再会の場面を、うれしそうに腕の中へかけてくる姿で思いえがいていた。なのに実際は、知らんぷりされる、ぐずぐず言われる、なんでもないことで大泣きされる、まるで親が来たせいで一日が台なしになったかのような態度をとられる。玄関を入る瞬間、あるいはおむかえの瞬間が、夕方でいちばんつらい時間になっているなら、それはあなただけではありません。一日の終わりの再会は、とげとげしやすいことで有名です。そして、そのわけがわかると、ずっと向き合いやすくなります。
再会がむずかしくなりやすいわけ
一日じゅう、子どもは親なしでがんばってきました。保育園で、シッターさんと、もうひとりの親と。親はその子の安心できる人で、親が姿を見せた瞬間、それまで扱ってきた気持ちがどっとあふれだすのです。玄関や園の門での大泣きは、こばんでいるのではありません。その反対です。この人の前ならくずれても大丈夫だ、というしるしなのです。それがわかると、仕事から帰ったあとのつながりなおし方が、まるごと違って見えてきます。
まず、自分の温度を下げる
親は一日をかかえて帰ってきます。書きかけのメール、大変だった会議、夜の段取りの頭の中のリスト。子どもは親の状態を一瞬で読みとり、ぴりぴりして気もそぞろな親には、たいていぴりぴりして手のかかる子がやってきます。できれば、入る前に2分だけとりましょう。車の中で座る、息をする、仕事の頭をコートのようにぬぐ。少しでも落ち着いて帰るだけで、どんな気のきいたテクニックより再会が変わります。
段取りより、つながりから
つい、入ったとたんに質問と指示をくりだしたくなります。靴をぬいで、手を洗って、夕ごはん何がいい?でも最初の瞬間、子どもに必要なのは管理する人ではありません。親です。夜の実務の機械が動きだす前に、数分だけ、まじりけのない、まるごとの再会の時間をあげてみましょう。目の高さまでかがみ、心からうれしそうに迎え、チェックリストより先に近さをくるようにします。仕事から帰って子どもとつながりなおすには、本当に、つながりが先でなければならないのです。
小さな再会の習慣が助けになる
子どもは見通しがあると育ちます。再会のときのなじみの小さな習慣は、みんながあてにできる形をその瞬間にくれます。ごく小さなものでかまいません。
- いつも言う、とくべつな「おかえり」「ただいま」のことば。
- 何より先に、ソファで10分、抱っことおしゃべり。
- その日のことを話してもらいながら、いっしょにおやつ。
- ひみつのタッチや部屋をぐるっと追いかけっこなど、ちょっとしたふたりのおふざけ。
どんな習慣かより、確かにくり返されることのほうがずっと大切です。毎日くり返すうちに、子どもが楽しみに待つ錨になっていきます。
ぐらつくのは想定内、親はどっしりと
再会は一日ためこんだ気持ちを解きはなつことが多いので、大きな気持ちが出てくることを覚悟して、自分へのこばみだと受けとらないようにしましょう。玄関で「あっち行って!」とさけぶ子は、たいてい、親がほしくてたまらないのです。それを傷ついた顔やいらいらではなく、落ち着いた「いっぱいいっぱいなんだね。ここにいるよ」で受けとめると、気持ちはずっと早く流れていきます。親がどっしりしていることで、この嵐はここなら安全だと伝わります。
完璧な夜は手ばなす
一緒にいられる時間が短いことに罪悪感をもって、仕事のあとの毎晩を特別で充実したものにしようとする親はたくさんいます。そのプレッシャーは裏目に出ることがあり、親はくたくた、子どもは親の無理を感じとってしまいます。ふつうで、のんびりして、急がない時間をいっしょにすごすこと、たいしたことは何もしていなくても、そのほうが、あせって質のいい時間をつくろうとするよりつながれます。子どもに楽しませ係はいりません。夜が流れていくあいだ、落ち着いて、いつでもそこにいてくれる親が必要なのです。
1対1の小さな時間を守る
子どもが何人かいると、再会は親の取りあいになって、みんながいらいらすることがあります。できるなら、夜のうちに、お風呂や寝る前など、ひとりずつ短くても1対1の時間をつくりましょう。取りあわなくていい、まるごと向き合う数分は、みんなで分けあう一晩よりも、子どもの心のコップを満たしてくれます。
再会がずっと大変なままのとき
大変な再会はふつうのことで、たいていは時間とともにやわらぎます。でも、ときには、もう少し見てみたい何かのサインのこともあります。別れと再会をめぐるつらさが何週間たってもおさまらない、ずっと不安そう、引きこもりがち、眠りや食欲の変化が続く、切りかえが楽になるどころか大変になっている、という場合は、気軽に話してみましょう。園の先生に話し、何かおかしいと勘が告げるなら、地域の保健師さんやかかりつけ医にも伝えてください。早めに別の目で見てもらうのは、筋の通った、思いやりのある選択です。
もっと大きな目で
毎日うまく再会できるわけではありませんし、そうでなくていいのです。くたくたで帰ってきてきつく当たる夜もあるでしょう。それはふつうの子育てで、あとの抱っこと静かなごめんねでつくろえます。子どもが覚えているのは全体のパターンです。毎日毎日、親は帰ってきてくれて、自分に会えてうれしそうで、つながりなおすための小さな場所をつくってくれた。その確かな「帰ってくる」が、親がさしだせるいちばん深い安心で、どんな大変な夜よりも長く続くきずなを、静かに建てていきます。
ポイント: とげとげした再会は、たいてい親がその子の安心の場所だというしるしです。段取りより先に数分のあたたかいつながりを。そして、その習慣を確かにくり返しましょう。