3歳から5歳の子と、気持ちを確かめあう毎日のひと言
3歳から5歳くらいの子は、小さな体で、とてつもなく大きな気持ちを感じています。そして、それを説明することばは、まだほとんど持っていません。3、4歳の子は、数秒でごきげんからどん底まで落ちることがあり、自分でもなぜかわかっていないことがよくあります。やさしく、くり返し気持ちを確かめあうことで、大きな気持ちに名前と居場所ができます。そして、気持ちははずかしいものではなく、気づいて話すものなのだと、そっと子どもに教えていきます。
小さいうちから気持ちに名前をつける意味
自分の感じていることにラベルをはれると、気持ちは少しだけ扱いやすくなります。気持ちにことばをあてると、嵐がおさまりやすくなるのです。「おこってる」と言える3歳の子は、おもちゃを投げるまでに、もう一歩の距離があります。子どもにいつも自分を分析させようとしているのではありません。気持ちが大きくなったときに手をのばせる、小さな語彙をつくっているだけです。
軽く、ふだんどおりに
この年ごろの子との気持ちの確かめあいは、決してまじめな面談のようになってはいけません。いちばんうまくいくのは、毎日の中に織りこむことです。お風呂で、買いものへの道で、おやつを食べながら。小さな子からは、まじめで熱心な調子より、気軽で明るい調子のほうがずっと多くを引きだせます。テストのように感じると、子どもは心を閉じてしまいます。遊びやおしゃべりのように感じると、乗ってきます。
かんたんな確かめ方
特別な道具はいりません。好きな子もいますが。その子に合うものをためしてみましょう。
- 気持ちのメニューを出す。「今、うれしい?かなしい?おこってる?しんぱい?」この年ごろは、ひらかれた質問より選択肢のほうが答えやすい。
- 体を使う。「にこにこの顔、見せて。じゃあ、ぷんぷんの顔は?」遊びにすると安心できる。
- かんたんなものさしを使う。「ちょっとかなしい?それとも、すごーくかなしい?」
- 登場人物を使う。絵本のこいぬがどんな気持ちかを話してから、「そういう気持ちになったこと、ある?」と声に出して考えてみる。
ことばだけでなく、子どもまるごとを読む
この年ごろの子は、ことばにできる前に、体で気持ちを表すことがよくあります。急にべったりになる、病気でもないのにおなかが痛いと言う、赤ちゃんのようなふるまいに戻る、いつになくはげしく遊ぶ。どれも、出口をさがしている気持ちかもしれません。上手な気持ちの確かめあいには、こうしたサインに気づいて、そっとことばをさしだすこともふくまれます。「おなかが痛くて、ずっと抱っこしてほしいんだね。今日はちょっと大変だったのかな」。はずれてもかまいません。体と気持ちを結びつけることを教えているのです。
いやな気持ちも、歓迎する
悲しみや怒りから、さっさと元気な気持ちへ子どもを連れだしたくなるものです。でも、どんな気持ちも持っていいのだと子どもが学ぶのは、大人がつらい気持ちにもいっしょにいてくれるときだけです。解決しなくていいのです。「公園に行けなくて、すごくがっかりしてるんだね。いやな気持ちだよね。ママ、ここにいるよ」。このほうが、あわてて気をそらすより多くのことをしてくれます。気持ちを受け入れることは、困った行動を受け入れることとは違います。気持ちを歓迎しながら、線は守れます。
親の気持ちも、シンプルに話す
子どもは、気持ちのことばを聞くことで覚えていきます。親が扱える程度の自分の気持ちを声に出してみましょう。「バスが遅れて、ちょっといらいらしちゃった。だから大きく息をしてるの」。大人にも気持ちがあること、それを扱う方法があることが子どもに伝わります。小さく、年齢に合った内容にとどめましょう。お手本を見せているのであって、親の心配ごとを小さな子に背負わせているのではありません。
たまに深くより、少しずつ何度も
深さより、続けることが大切です。保育園からの帰り道など、毎日同じふつうの瞬間に、短く、あたたかく気持ちを確かめあう。それが、子どもがあてにできるなじみのリズムになります。何か月も続けるうちに、自分の心の中にもっと気づけて、何かあったときに親に言える子が育っていきます。それは、小学校へ、そしてその先へと育っていく子への贈りものです。
もう少し注意して見たいとき
大きくゆれる気持ちは、この年ごろにはまったくふつうのことです。でも、ときにはもっと支えが必要なこともあります。ほとんどいつも悲しそう、こわがっている、引きこもっている、心配のせいで毎日のことができない、急に行動が変わってそれが続く、子どもの心の元気について親の不安がずっとぬけない。そんなときは、地域の保健師さん、かかりつけ医、園の先生に話してみましょう。子どものことをいちばん知っているのは親です。早めに相談するのは、大げさではなく、思いやりのある、筋の通った一歩です。
長く残るメッセージ
気持ちの確かめあいの目的は、一日じゅう気持ちの話をする子を育てることではありません。静かで、じょうぶな信念を植えることです。気持ちはふつうのもので、名前をつけられて、自分を愛してくれる人たちは、それをわかりたいと思っている、という信念です。やさしく、何度もくり返す気持ちの確かめあいは、その信念を少しずつ育て、子どもに豊かな心の中と、親とのより強いつながりの両方を渡してくれます。
ポイント: ふつうの瞬間に、短くて遊び心のある気持ちの確かめあいを織りこみましょう。子どもは気持ちに名前をつけることを覚え、どんな気持ちも受けとめてもらえると信じられるようになります。
NHS, Children and young people's mental health: advice for parents