寝る前の「問いかけ」で、子どもの心にそっと近づく

眠る前の数分は、ふしぎと気前のいい時間です。家は静かになり、明かりは落とされ、子どもはもう、きょうだいや画面や次の予定と、親の気持ちを取りあわなくていい。そのやわらかく急がない時間こそ、寝る前が親子の近さを育てるいちばんかんたんな場所である理由です。そして、昼間の長い会話より、やさしい問いかけをいくつかするほうが、ずっと心に届くことがある理由でもあります。

一日の終わりがうまくいくわけ

子どもは、気持ちをゆっくり消化することがよくあります。朝10時に保育園であったことが、じっと横になって、あたたかく、安心したところで、やっと浮かんでくることもあります。寝る前は、ちゃんとしなきゃというプレッシャーをとりのぞき、考えが追いつく余白をくれます。親はインタビューをしようとしているのではありません。ドアを開けておいて、どこまで入ってくるかを子どもに決めさせているだけです。

チェックリストより、あたたかさから

めざすのは近さで、情報集めではありません。質問がアンケートのように感じられると、たいていの子はひと言で答えて、ごろんと向こうを向いてしまいます。だから、中身より先に、声の調子から始めましょう。ゆっくりした声、背中にそえた手、心からの興味のほうが、正確なことばえらびより大切です。寝る前の問いかけでよいのは、ひらかれていて、答えやすく、気軽なもの。はい、いいえではなく、おはなしを引きだすような質問です。

そっとドアを開ける問いかけ

長いリストはいりません。2つか3つの問いかけを、本当に興味をもって使えば、じゅうぶん届きます。いくつかためしてみて、子どもが乗ってきたものを残しましょう。

  • 今日、どんなことで笑った?
  • ちょっといやだったことや、ずるいなって思ったことはあった?
  • 誰と遊んだ?何して遊んだの?
  • 今日を色にしたら、何色かな?
  • 明日、楽しみなことは何?

「色」の質問は、小さな子がまだ名前をつけられない気持ちを表せるので、とても役に立ちます。灰色の日と、明るい黄色の日。子どもが説明しなくても、それだけでたくさんのことが伝わってきます。

その下にあるものに耳をすます

子どもが答えたら、解決したり、教えたり、正したりしたくなる気持ちはこらえましょう。お友だちが貸してくれなかったと言っても、今夜解決しなくていいのです。「それはいやだったね。もっと聞かせて」とシンプルに返せば、子どもは話しつづけます。寝る前の問いかけの価値は、きれいな答えにあるのではありません。自分の心の中のことは親にとって大切なんだ、という気持ちを、子どもが眠りの中へ持っていけることにあります。

答えが「べつに」のとき

肩をすくめるだけの夜もあるでしょう。それで大丈夫です。「なんにもなかった」と言う子は、親をこばんでいるのではありません。疲れているのかもしれないし、ただことばが出てこないのかもしれません。そんな夜は、たずねるのをやめて、さしだす側に回ってみましょう。親の一日の小さなできごとを話すのです。ちょっとうまくいかなかったこともふくめて。親が心を開く姿を見せることは、そっと「話していいんだよ」と伝え、次の夜にはことばが出やすくなることがよくあります。

おたがいにたずねあう習慣に

やりとりがおたがいに行き来すると、近さは育ちます。子どもにも、親に質問してもらいましょう。4歳の子が「ママは今日、何がうれしかった?」とたずねるようになるのは、すてきなことです。つながりは大人が子どもにするものではなく、おたがいのものなのだと教えてくれます。親からひとつ、子どもからひとつ、という小さな決まった形を続けると、面倒な用事にならずに習慣になっていきます。

正直に、そして軽やかに

何年も続くかもしれない習慣をつくっているのですから、重くなく、心地よくなければなりません。毎晩の寝かしつけを、深い心のふり返りの場にするのはやめましょう。どの恐竜がかけっこで勝つかを考えるような、ばかばかしい質問ばかりの夜もたくさんあっていいのです。その遊び心は近さのじゃまではなく、近さの一部です。あたたかさと笑いは、まじめな話と同じくらい子どもを安心させます。

寝る前の話で、もっと大きなことが見えたとき

ときどき、こうした静かな時間に、聞くだけではすまないことが浮かびあがることがあります。子どもがいつもひどく心配そう、ほとんど毎日悲しいと言う、誰かがこわいと口にする、気分や眠りや食欲の変化が続く、という場合は、しっかり受けとめて、地域の保健師さん、かかりつけ医、園や学校に相談しましょう。その場ですべての答えを持っていなくていいのです。「話してくれて、ありがとう。いっしょになんとかしようね」と言うだけで、子どもの安全を守り、ドアを開けたままにしておけます。何かおかしいと感じたら、その勘を信じてください。

ずっと実をむすぶ、小さな習慣

完璧さより、続けることが大切です。たいていの夜にくり返すうちに、寝る前の問いかけは、子どもが親との関係を理解するしかたの一部になっていきます。自分の一日も、心配も、小さながんばりも、安心して着地できる場所があるのだと学ぶのです。何か月、何年とたつうちに、その見通しのある一日の終わりのまなざしは、親子をつなぐいちばんじょうぶな糸のひとつになります。数分の時間と、心からの問いかけだけで織られた糸です。

ポイント: 寝る前に、あたたかくひらかれた問いかけをいくつか。本当の興味をもって、目的なしにたずねると、子どもはわかってもらえたと感じ、つながった気持ちで眠りにつけます。

NHS, Children and young people's mental health: advice for parents

UNICEF, How to talk to your children